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 (この記事はhttp://blogs.yahoo.co.jp/marty1010921/29694578.htmlの続きです)

司馬遷が残した「史記」のなかで、すさまじい殺戮が語られます。有名な項羽と劉邦の物語の一節です。


両雄の戦いは熾烈を極め、秦に立てこもった劉邦を追った項羽軍が、険しい山間部の崖沿いの細い道を

前進していた時、劉邦軍が山上から無数の大岩を項羽軍に向けて落とします。

項羽軍は崖下に次々に転がり落ち、峡谷には傷ついた兵士達が重なり合い、圧死し、あっという間に

項羽は「20万人」の兵卒を失った、というのです。(・・・確か記憶によると20万人です。2万人ではなく)

漢字にしてたかだか20文字程度で語られる、この部分を読んだ時に血の気が引いたのを思い出します。

すさまじい殺戮の様子を呆れるほど少ない字数で表現した司馬遷の筆力に恐れ入ったと同時に、

情景の凄まじさについて行けなかったのです。


人類は多くの血を流してきました。項羽と劉邦の戦いも凄いのですが、最も血塗られた歴史を持つのは

多分、まぎれもなく西欧でしょう。


モーゼに率いられたイスラエルの民を追って海に呑まれたエジプト軍は一体何万人だったのでしょう?

ローマによる地中海支配の途上滅ぼされたのは何十万人なのでしょう?

アイルランドに平穏に暮らしたケルトの民はどの位居たのでしょう?



思い出すのが嫌になるほどに多くの例証がありますが、最悪の時代は近代であり、20世紀でした。

1900年前後から姿を現す「帝国主義」と「イデオロギー専制」は、科学の進歩が故に、一瞬にして数十万の命を

失うにいたります。

いえ、「イデオロギー専制」は長きに渉り、数千万人の精神的死滅を導きました。

悲しむべき、暗黒の時代です。


ブルックナーの交響曲代7番では、第4番の時のような緑溢れる西欧の風景は豹変し、

木枯らしの吹きすさぶ大地と、立ちすくむ人々を思い浮べることができます。

第7番の第2楽章の壮大な葬送曲は、あたかも滅び行く旧き良き時代の終焉を告げているかのようです。


第9番交響曲では、既に緑に包まれた大地は何処にも無く、冷たくなった大地の上を軍靴の音が逃れようのない

勢いで迫り来たります。凄まじい最強音で表現される恐怖の第2楽章。

サーチライトをかいくぐり逃げ惑う人々の上に降り注ぐ、吹雪のような第3楽章。

失意の中、息を潜ませながら、はかなく消え行く「夢」と「安寧」を見つめる、第4楽章・・・


これが近代でした。



ベートーベンが熱っぽく問いかけた和平は夢と消え、ブラームスの抱いた夢と憧れは、進軍する「体制」

という「暴力」の前に破壊されました。

ブルックナーの予感した「恐怖」は、ショスタコービッチに受け継がれ、その交響曲により、

さらに詳細に描かれたのだと思います。


   それは、「自由」の終焉でした。


   アントン・ブルックナー作曲  交響曲 第9番

   指揮 カルロ・マリア・ジュリーニ ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

   レーベル ドイツグラモフォン


しばらくお休みを頂き、体力回復を待って、澄み切ったバッハの世界へ戻ってみようと思います。

                            ・・・・   スピン。

  • ゆっくり出来たら、戻ってきてくださいね。お帰りお待ちしてます♪

    [ あきの ]

    2006/3/17(金) 午後 6:49

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    第二次大戦を描いたある外国映画で、防空壕の中で人々が肩寄せ合って祈るような面持ちでラジオから流れてくる曲に耳を傾けているシーンがあり、そこで流れていたのがブルックナーの9番だという話を聞いたことがあります。この曲はそういった極限状態に相応しい何かがあると学生時代からずっと思っていました。第2楽章のスケルツォなどこれ以上怪奇な怖ろしい音楽はない!だが、この曲と20Cそしてショスタコービッチとの関係までは思い至らなかったなぁ。

    gustav

    2006/3/18(土) 午後 9:56

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    お返事くらいは許してくれそうです。最近NHKでやった「氷壁」で7番が出てきたときは笑いました。9番の第4楽章がショスタコービッチの最終交響曲のラストに酷似しているのに気づいたのが「スピン的驚きの音楽史」の始まりでした。私的にはベートーベンの7番の第4楽章のような人生を目指したいと思います・・・はて、さて、どうなりますことやら!?

    スピンネーカ

    2006/3/19(日) 午前 0:20

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    ちょうど只今、NHK教育でブルックナー7番をやっています。ルツェルン音楽祭・指揮はアバドさんです。華燭の音楽祭の観衆向けでしょうか、上手で流麗で軽妙な演奏です。精神性を追っかけたチェリビダッケやジュリーにとはまるで違う演奏ですね。壮大な葬送曲が淡い悲嘆の曲になっています。アーア。自己レスでした。

    スピンネーカ

    2006/5/21(日) 午後 11:36

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    Guten abend(*'-'*) いい演奏ですね☆好きですジュリーニの第九。

    [ z_f**ncesc*tti ]

    2006/8/8(火) 午後 11:50

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    Zさん、(すみません、どうお呼びすればいいか判らず…)ご来訪ありがとうございます。こんな風なよくわからない文章を書いております。 どうぞよろしくお願いいたします。ジュリーニは淡々としているだけに、なお更、曲想が濃いと感じ大好きな指揮者の一人です。

    スピンネーカ

    2006/8/9(水) 午後 0:36

    返信する

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