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物語と空間

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「夏への扉」を読んで

 僕の飼っているネコのピートは冬になると決まって夏への扉を探しはじめる。いえにあるいくつものドアのどれかひとつが、夏に通じていると信じているからだ。1970年12月の3日、かくいうぼくも夏への扉を探していた。」

こういう書き出しで始まる失恋の失意に落ちている主人公の情景から、恋愛小説だと思っていたら読み進めると意外や意外、おおよそ60年前に書かれたものだと思えないほど未来を見通したSF小説だった。(夏への扉/1957/ロバート・A・ハインライン著)

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 ここに登場する「ハイヤードガール」という機器は今の「掃除機ロボット・ルンバ」であるし、キーボードを叩くと線が引ける「製図機ダン」はいつも私が仕事で使用しているCAD(キャド)とまったく同じ機能である。これについては現在より進化して3Dプリンターなるものまで登場している。

ここまでは彼が思い描いた60年後の世界とシンクロするが残念ながら、未来の世界に肉体を保存する「コールドスリープ」(冷凍睡眠)や過去に戻れる「タイムマシン」等は60年後の現在でも実用開発されていない。

しかしそんな事はお構いなしに面白いのは、過去に戻った主人公が限られた時間で過去に裏切られた恋人と友人から財産を守り、彼を慕う少女リッキィの為にその財産を残したり、ネコのピートの行方、自分の発明を守り通すため未来に戻るギリギリの時間までハラハラドキドキとサスペンチックにストーリーが展開するところ。

あまりの面白さに長編なのに一気に読んでしまった。

「コールドスリープ」(cold sleep)はNASA関係の企業が研究しているようで、ある条件下で人間も冬眠出来る事例があるようだ。
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コールドスリープには興味は無いけれど、寒~い日の朝、このまま布団の中から出たくない気持ちになる。熊のように食いだめをして冬眠できれば最高だろうなと思ったことは多々ある。

こんな事考えている奴は永遠に冬眠しとけ!と言われそうだが・・・・
オチがついたのでこれにて失礼!
 ある人から「1☆9☆3☆7」という本を進められた!
かなりショッキングな本であるようだったので試しに著者である辺見庸氏の初期の本から読んでみることにした。

兼好法師「徒然草」の一説「飲食・便利(排泄)・睡眠・言語・・・止むことを得ずして、多くの時を失ふ」と人間行動のトップにあげた「飲食」=「食う」をテーマに世界中を著者が体当たりしながら廻ったドキュメントである。
これが20年前の作品とは思わないほどショッキングな内容である。

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それはそうである。
ここで登場する内容は人びと(日本人)が見て見ぬふりをしてきた話。

バングラデシュの残飯の再販売。
旧日本軍がフィリピンの人を喰っていた話。
作っている輸出用猫缶より安い食費のタイの少女。
ソマリアで栄養失調と結核でもう食べることすら出来ない少女
エイズに感染した母親の乳を飲むしかないウガンダの乳児。
ピストルを持ちながら聖パンを食べる修道士。
チェルノブイリの立ち入り禁止地区に戻り住まう老人たちの食。

つい最近、名古屋で産業廃棄物になった食品を偽装しておろしていて大問題になっていたが、そんなものこの本では屁でもない!
そんな小さな問題でマスコミが騒いでいたけど一度でもここに書かれた世界の食について騒いだマスコミいただろうか?

「僕達は何も見ていない?」と痛感した。

この本のいいところは「食」の「暗」だけでなく「?」「明」も捉えているところである。

例えば、
世界一の集客数があるタイのレストラン。
ワインがよく廻る世界一古い観覧車の食事。
アフリカのコーヒーロードのコーヒー習慣。
ブガンダ国王の庶民的な好物。
ポーランドの炭鉱での絶品スープ。
禁断のジュゴンの肉。

いわゆる旅雑誌には決して載っていない内容ばかり、
とにかくあらゆる意味で刺激的な本であった。
 岐阜の痴人から先月もらった本が筒井康隆の本だった。

読むとほんまに面白い。

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「遊歩道」
子供の頃に誰もが体験している2次元的な遊びからこんな4D(時空を越えるような)な物語に仕立てた作者に脱帽する。

子供の頃、水溜まりを踏むと底なし沼のように吸い込まれるとか、商店街や地下街にある色の付いたタイルしか踏めないそれを外すとアウトになると決めつけて遊ぶ体験。その踏み外すと蟻地獄になるような心境をブラックジョークにまとめたこの世界はロアルド・ダールの世界感に近いように思う。

「酔いどれの帰宅」
これ読んだときにどこかでこういうの読んだと思った。
鈍感な自分がそれを思い出すのに数日かかった。

これは乾くるみの「イニシエーション・ラブ」の手法と同じではないか?
っていうか時代からして逆でこちらが先なのか?とにかく本でしか有りえないトリックに感心した。

とってもこの本が今、新鮮である。
 この物語(1988/パオロ・コエーリョ著/山川紘矢+山川亜希子訳/角川文庫)素晴らしい!今年読んだ本ではベスト12である。(まだ2ヶ月あるけど、因みにもう一つはスタインベック著「ハツカネズミと人間」http://blogs.yahoo.co.jp/marufujikentiku/46985380.html参照)

主人公の少年サンチアゴは夢を求めて旅に出る、その夢を求める為に様々な困難や逆境にも耐え夢を実現していく物語である。

この物語には少年の体験を通して、人の世界を啓示しているような言葉に溢れている。

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ここでそれらの言葉を2〜3ピックアップしたい。

・・自分の一番大切な夢を追求するのがこわいのです。自分はそれにあたいしないと感じてるか、自分はそれを達成できないと感じてるからです。・・・」

と恐れる少年に対して錬金術師は

「傷つくのを恐れることは、実際に傷つくよりもつらいものだと、おまえの心に言ってやるがよい。」と諭し「夢を追求する一瞬一瞬が神との出会いだ。」と少年に語る。この素晴らしいセリフに感動した。

 また人や自然を観察することで情報を得る主人公に対し、書物で情報を得るイギリス人の友人に対して

「人は誰でも、その人その人の学び方がある。・・・彼のやり方は僕と同じでなく、僕のやり方は彼と同じでないのではない。でも僕達は2人とも自分の運命を探求しているのだ。だからそのことで僕は彼を尊敬している。」

と価値観が違う相手を少年は認める。
これには何でも自分の型にはめたがる自分ももう少し広い視野でものを見ようと考えさせられた。

 砂漠を横断するキャラバンの頭が200人を超える隊員や旅人に対して出発前にこう述べる。

「ここにはいろいろ違った人達が集まっている。そしてみんなそれぞれ自分の神様がいる。私が仕えるのはアラーだけだ。彼の名に誓って私はもう一度砂漠に勝ち抜くため出来る限りのことをすると誓う。あなた方もそれぞれが信ずる神様にかけてどんなことがあろうと私の命令に従うと誓ってください。」

これの何が凄いというとお互いの人種や宗教を認めあっている。
一致団結しないと砂漠では死を意味するからである。

これらは理想で物語だからとかたづけてはいけない。
この物語の言葉でいうと

「マークトゥーブ」
それは書かれている。」という意味だがニュアンスはムスリムの人に聞くかこの本読まないと解らない。このような世界はきっと来る。

因みに著者のパオロ・コエーリョ(ブラジル)のデビュー作は「星の巡礼」(1987)は「西洋のお伊勢参り」であるサンチャゴ・デ・コンポステラートへの巡礼を体験を描いたものらしい。いつも立ち寄ると御馳走になる三河の建築家M夫妻もこの巡礼路を歩いていてこの旅路の素晴らしさは聞いている。
だからこの物語も機会があれば読んでみたいと思う。

閑暇休題、とにかく「アルケミスト」は訳も読みやすく素晴らしい本である!この物語は教科書にするべきである。
 この映画(1998/イタリア/ジョゼッペ・トルナトーレ監督)の音楽がいいとラジオで耳にしたのがきっかけで見てみた。
音楽はモリコーネが担当したので納得するが、この映画で流れる音楽より私はクリント・イーストウッド主演「荒野の用心棒」「さすらいの口笛」の方が好きである。

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あの曲がかかると私も戦わなければ!(誰と??)と勘違いしてしまう。
これはバカな私だけでなく世界的にそうである。
たしか映画、キルビルキックアスでも「荒野の用心棒」の曲が流れる。
曲が流れた途端、出入りが始まる(和風でいうと)のが相場である。



物語自体も味わい深く見応え有った。
ある客船で拾われ、その客船で育ち一度も陸に降りることも無かった主人公。
彼は客船楽団の天才ピアニスト。
そんな彼と客船の物語でラストシーンはなんとも、もの悲しい。

しかしピアノを弾いている窓越しの窓にシーンがアップされ彼女との回想シーンに映るところはよかったと思ってたら、さすがにYouTubeにそのシーン出てた。



この映画のジョゼッペ・トルナトーレ監督モリコーネニューシネマパラダイスもコンビで手がけている。実はこの映画、昔アルゴン先生に勧められていたのだが見ていないので、これも縁なので見て見ようと思う。





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