(前回までのあらすじ)
マミりん王国に捕まり、
怪人バッタ男に改造された丸井。
再び人間になる為、
ムチが得意な妻のスウィと
息子のベ○の三人で旅を続ける。
「早く人間になりたい」
そう願う丸井が人間になる日は
果たしていつの日か?
〜第3話「脱走!」〜
「大変だ! スウィ、すぐに逃げよう」
私はスウィの部屋に飛び込んで叫んだ。
スウィはベッドに寝転がって唐揚げを貪っていた。
「なによ。そんなに慌てて。もぐもぐ」
「マミりん国王の暗殺に失敗した。
しかも、俺が犯人だとバレた」
私はシャンデリアを国王の頭上に落下させ
暗殺しようとしたのだが、
国王はシャンデリアの直撃を受けても
平気な顔で立っていた。
(某ウサギさんアニメのキレネンコかっ!)
「えー。私関係ないじゃない。
一人で逃げたら? もぐもぐ」
「国王を暗殺するって言ったら
スウィさんも賛成したじゃん。
私が次期国王になるって喜んで」
「冗談に決まってるじゃない。
まさか根性ナシのあんたがホントにするなんて
夢にも思わなかったし。
むしゃむしゃ」
なにげに酷い事をいうスウィ。
「一緒に逃げてくれないと
スウィさんが黒幕って言いつけるよ」
「・・・・・・それは困る。
ごくごく」
コーラを飲み始めるスウィ。
緊張感がなさ過ぎるよ。
という訳で、私とスウィの逃避行は始まった。
国王から支給された戦闘車両(スズキのマーボー)に乗って。
「この先の海底トンネルを抜けたら国外だ」
私はスウィに向かって安堵の表情を浮かべた。
「待って、なにかいるわ」
スウィはトンネルの入口を指差した。
道を塞ぐように1台のスクーターが停まっている。
「腐っ腐っ腐っ。
ここから先は通さないわよ」
「誰だっ!」
私は停めた車から降り、叫んだ。
「腐っ腐っ腐っ。
私はマミりん王国の暗殺部隊幹部
仮みえライダーよ」
くっ、彼女も私と同じバッタタイプの改造人間のようだ。
「スウィ。頼む」
私はポケットから単一電池を取り出し
スウィに渡した。
(単三でも良かったのだが、単一の方が強そうだから)
「えー。いやよ。・・・・・・汚い」
「我慢してくれこのままじゃ二人ともやられる」
「・・・・・・仕方がないわね。
えいっ。ズボッ」
「はうっ!! プラグインッ!」
私は電池のエネルギーでバッタ男に変身した。
「同じバッタタイプ同士、性能に違いはないはず。
どっちがバッタモンのライダーか見せてやるぜ!
ドライバーキーック!」
仮みえライダーと私は同時にジャンプして同じ技を繰り出した。
二人は空中で交差して着地する。
「・・・・・・バッタ」
私は音を立ててその場に倒れた。
「丸井さんっ!」
スウィが慌てて私に駆けよる。
「腐っ腐っ腐っ。
どうやらバッタモノはあなただったようね」
勝ち誇ったように仮みえライダーが笑う。
「なぜだ?
性能が同じなら少なくとも相打ちになるはずなのに」
「性能が同じ? 笑わせないでちょうだい。
同じバッタ目でも貴方はイナゴ、
私はトノサマバッタの遺伝子を受け継いでいるのよ」
「くそっ! もう一度勝負だ」
私はよろめきながら立ち上がる。
しかし、さっきの攻撃のショックで
変身が解けてしまっている。
「スウィ。もう一度頼む」
「無理よ。イナゴじゃトノサマバッタに勝てないわ。
・・・・・・それにもう電池がないの」
スウィの表情は彼女の絶望を表わしていた。
愛する女性にこんな顔をさせるなんて・・・・・・。
私は自分の不甲斐なさを呪った。
まだだ。
まだ何かやれるはずだ。
例え変身できずともこの手足が動く限り
彼女を守ってみせる。
その時、ふと視界にあるものが入った。
仮みえライダーがのっていたスクーターだ。
「!」
私はスクーターに向かってダッシュし、
バッテリーを外した。
「スウィ。・・・・・・頼む」
私はスクーターのバッテリーを彼女に差し出した。
「無理よ・・・・・・そんなの」
スウィはバッテリーから目をそらし呟いた。
「無理でもやらなきゃならないんだ」
「ダメよっ! そんな事したら丸井さんは・・・・・・」
「俺の事はどうなってもいい。
今、この窮地から抜け出すにはこれしかないんだ」
「・・・・・・わかったわ。
えっ、えいっ!」
スウィはバッテリーを強引に捻じ込んだ。
「ぐあぁーーーーっ! プ、プラグイン!」
12Vの電圧で私の体は飛躍的にパワーアップした。
「ドライバーキーック!!!」
私は渾身の一撃を仮みえライダーに放つ。
「鬼畜攻め萌え〜」
断末魔の叫びを上げ、仮みえライダーは倒れた。
スウィは動けなくなった私を助手席に乗せて車を走らせる。
このトンネルを抜けると二人は自由になれる。
この先には幸せな二人の未来が待っている。
「丸井さん。もうすぐ王国から出られるわ」
スウィが私にむかって声をかける。
なぜだろう?
すごく幸せなはずなのに体が震える。
ああ、そうか。
寒いんだ。
私は尻から大量の出血をしていた。
だんだんと意識が薄れていく。
「丸井さんっ、丸井さんっ!・・・・・・」
遠くで私を呼んでいるスウィの声が聞こえる。
なんで泣いているの?
もう自由になれるんだよ。
これから二人で幸せになれるんだよ。
「幸せになろうね」
私は最後の気力を振り絞ってそう囁いた。
そして私の意識はゆっくりと闇に溶け込んでいった。
おわり
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