丸いウォンバットの観察日記@

月末は忙しいのでなかなか更新できません orz

過去の投稿日別表示

[ リスト | 詳細 ]

全1ページ

[1]

本日はスウィさんのリクエストにちゃんと応えて
スウィさん抜きで物語が進行します。

あと、かみえさんのリクエストにも多少、応えています。
(BLぢゃないよww)



王子さまは来ない


澄みきった風が舞うある晴れた日の昼下がり、
眼下に紺碧の海を見下ろす高台にある白い洋館。

そこに住む美しい女主人は暇を持て余していた。

「かみえ様、丸井と名乗る男が
 是非、かみえ様にお会いしたいと参っておりますが」

執事のセバスがよく通る声で屋敷の主人、かみえに来客を告げた。
セバスはかみえが自ら面接をし選んだ執事である。
かみえが彼を採用した理由はもちろんその端整な甘い顔立ちであった。

ちなみにかみえが描いているセバスのタイプは誘い受けである。

「丸井?」

(ああ、確か以前、同人誌即売会で出会った
 キモイオッサンがそんな名前だったな)

「よい。通せ」

頬杖をついた、かみえはセバスに来客を通すよう端的に指示した。
彼女があまり好感を抱いていない男の来訪を許したのは、
ひとえに退屈が彼女に苦痛を与えていたからにほかならない。

「げへへっ、こんちでやんす。かみえ様」

下卑た笑いを浮かべたにやけた男は
幇間のように揉み手をしながら、かみえの前に現れた。

(あいかわらず気持ちの悪い男だ)

「どんなご用件でしょう? 丸井さん」

「げへっげへっ、実は折り入って
 かみえ様にお願いがありやしてめえりました。ぐへへっ」

「まさか同人誌を一緒に作ろうと言うんじゃないでしょうね?」

「そんな守備範囲が違いすぎますよ」

確かにそうだ。
BLとツンデレコスプレフェチ、水と油のような存在だ。

では、丸井の「願い」とはいったい?

「実はでゲスねぇ・・・・・・」


丸井の願いとは、
街外れの森にある、かみえの所有する別荘を
住居として貸して欲しいという事であった。

かみえは国内外を問わず、多数の別荘を所有しており
森にある別荘はもう十年以上使っていない。
したがって、丸井に貸す事はなんら問題はなく、
かみえは鷹揚な気持ちで丸井の願いを聞き入れた。


「ところで丸井さん。
 私がいくら格安であの別荘を貸すと言っても
 それより安い金額で街に借家なりアパートなりを
 借りる事ができるでしょう?」

「ぐへへっ、
あの別荘には地下室が・・・・・・
 いっ、いえ、私は先日、宝くじに当選しやして
 そこそこの金を手にする事ができやした。
 で、人付き合いにも疲れたので
 ひと気のない森で余生を過ごそうと思いやして。
 ぐへっ、ぐへへっ」

そう言った丸井は、かみえに家賃3ヶ月分を前払いして
屋敷を後にした。


「・・・・・・かみえ様」

丸井が去った後、セバスはかみえの耳元に来て囁いた。

「どうしたのセバスちゃん」

「あの丸井という男、あまりいい噂を聞きません。
 なんでも街一番の美人にしつこく付きまとっているとか」

「許せないわねっ!」

かみえはセバスを睨みつけた。

「えっ・・・・・・」

突然のかみえの激高に驚いた様子だ。

「誰が街一番のビ・ジ・ン・だって?」

かみえはとろけるような瞳でセバスを見つめている。
そのかみえの態度でセバスは全てを理解し、かみえに告げた。

「もちろん街一番の美人はかみえ様でございます」

「うふふっ、可愛い子・・・・・・」

そう甘く囁いたかみえは、セバスの頬を指先で淫靡になでまわした。



三日後の夕刻。

「丸井さ〜ん。注文の品が届いてるよ〜」

そう丸井を呼び止めたのは、
鉄妃(てっぴ)金物店の女店主であった。

「そうでゲスか、ぐへへっ。
 助かるでゲス」

「はい、注文の首輪とクサリ。
 ところでこんなものどうするのよ?」

「いや〜、泥棒に入られたら困るから
 犬を飼う事にしたんでゲス」

「ふ〜ん。
 で、あと注文にあった大きな檻と手錠は明日届く予定だから」

「明日、取りにくるでゲスよ〜」

「犬を飼うのに檻は分かるんだけど、
 手錠って何に使うの?」

「ああ、それはファッションでゲス。
 都会のオサレさんはみんな左手に手錠をはめてるでゲスよ」

「へぇ〜、そうなのかぁ。
 あたしゃそんな流行に疎いからねぇ〜。
 丸井さん、オシャレになって
 例のあの娘に好かれようと思ってるんだね?」

女店主は明るく笑った。

「いえいえ、そんな事ねえでゲスよ。
 あの娘は高嶺の花だと思ってますから。
 ぐへへっ」

丸井の笑いは暗く、陰湿なモノだった。

「そう言えば最近あの娘を見かけないねぇ?」

(ぎくっ)

丸井はほんの一瞬、動きを止めた。
しかし、何事もなかったように女店主の方を見て

「きっといい男でも見つけて
 どっかに旅行に行ったんでゲスよ〜
 ぐへっ、ぐへへっ」

そう無理に笑った。

「そうだよねぇ〜、あれだけの器量良しだ。
 若い男がほっとく訳ないもんねぇ〜」

「ぐへへへへ〜っ」

「あはははは〜」

店の前で対照的な笑い声を上げる二人。

「じゃあ、あっしはもうけえるでゲス」

そう言って金物屋を後にした丸井は
隣りのホカ弁でからあげ弁当を二つ買って家路についた。

ひと気のない森の「地下室のある家」に・・・・・・。

全1ページ

[1]


.
丸いウォンバット
丸いウォンバット
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について

ブログバナー

1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!
話題の新商品が今だけもらえる!
ジュレームアミノ シュープリーム
プレゼントキャンペーン

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事