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数日前、私はある場所で、変なオッサンに出会いました。
これはその時の話です。
オッサンは人相の悪い、スキンヘッドの大男で、
自ら元正義の味方だと名乗りました。
オッサンは私の腕をつかむと
「この国の平和を守れるのは君しかいない
ぜひ正義のスーパーヒーローになってくれ」
とのたまいました。
元正義の味方だろうが、モト冬木だろうが、
突然正義の味方になれなどと言われても戸惑います。
私も彼がちょっと頭のおかしい人ではないかと思い
思わず一歩後退ってしまいました。
「いえ。間に合ってますから」
意味不明の返答をしてその場を立ち去ろうとする私。
「君はセーラー服は好きか?」
背後から私に投げかけられた一言に足をとめる。
そして、ゆっくりとふりかえり答える。
「ああ。三度のメシよりも」
「私もだ」
オッサンはふりかえった私に対して、
ニヤリと笑みを浮かべた。
男は、スーツケースから一着のセーラー服を取り出すと
野太い声で説明を始めた。
説明によるとそのセーラー服は、着るだけで正義の味方になれるアイテムで、
空を飛んだり、すごい力を発揮したり、
様々な超能力を使えるようになるとの事である。
彼は今までそれを着て影ながらこの国の平和を守ってきたのだが、
もう着ることができなくなったそうだ。
だから全身から正義感があふれる私に目をつけ、
このスーツを譲る事にしたらしいのです。
半信半疑ながら私は正義の味方になる事を引き受けました。
騙されている?
そうも思いましたが、セーラー服フェチに悪人はいません。
とりあえず私は彼を信じる事にしました。
次の日、さっそく真偽を確かめるチャンスが巡ってきました。
旅客機が機械トラブルで着陸できなくなった事件が発生したのです。
私はすぐにセーラー服を着て飛び立ちました。
問題の空港に着くと、その旅客機がまさに胴体着陸を決行しようとしている時でした。
私は「不可視モード」に移行すると、
機体の前方下部にもぐりこみ、機体を下から支えました。
そして、着陸の速度に合わせてゆっくりと機首を下げます。
滑走路に接し、火花をあげる機首。
徐々に減速していく機体。
支える腕にさらに力を込めます。
・・・・・・なんとか無事に着陸させる事に成功しました。
事件後、私は自宅に帰り、セーラー服を脱ぐと
風で乱れた髪の毛を直そうと櫛を入れました。
「バサッ」
数十本、いえ百本以上の大量の毛髪が抜け落ちました。
驚いた私はオッサンに電話をかけ、
この事を告げました。
それに対して、彼は冷静にこう答えました。
「ああ。言い忘れたが、その服を使うと副作用で毛髪が抜けるんだ。
そして、髪の毛が無くなった時、服は力を発揮しなくなる。
・・・・・・だいたい正義や平和ってものは
多大な犠牲を払わないと手に入れられないモノなんだよ」
私はそれ以来、セーラー服を着るのをやめました。
犠牲を強いられる正義の味方なんて性にあわないですから。
・・・・・・さて、このセーラー服ですがどなたかいりませんか?
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