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留学中の妹が、正月に帰国してました。
その時の話です。
「お兄ちゃん。入ってもいい?」
そう声をかけた時、
妹はすでに私の部屋にズカズカと入っていました。
「どうしたんだ?今日は友達と出かけるんじゃなかったのか?」
「うん。でもお兄ちゃんが一人で可哀想だから、
可愛い妹の私が、遊んであげようと思って断ったの」
「別に可哀想じゃないよ。行ってくれば良かったのに」
「ホントは嬉しいくせに。素直じゃないんだから」
さすが、長年一緒に暮らしてきただけの事はある。
妹は私の心理を的確に見抜いていた。
でも、素直ではない私は本心を決して出さない。
「そんな事ないぞ。一人の方がのんびりできていい。
ここ最近、うるさいのが家にいたからな」
「なによっ、その言い方!分ったわよっ。
出て行けばいいんでしょっ!」
「いや、そんな事はないけど・・・・・・」
妹の剣幕にしどろもどろになる。
「じゃぁ、どんな事よ?」
「・・・・・・いて下さぃ」
妹に勝てないダメな兄貴である。
「最初っからそう言えばいいのに。困ったちゃんねww」
こまったちゃんはお前だという喉元まで出かかったセリフを
かろうじて引っ込める。
妹はすこぶる機嫌が良くなったようだ。
「ねえ。向こうで撮った写真見せてあげる」
そう言うと妹は後ろ手に隠していた小さなアルバムを出し、
ベッドの上にひろげた。
私がいうのも何ですが、妹は美人である。
見慣れぬ異国の地で撮った写真は改めてそれを認識させる。
「おっ、この子は美人だなぁ。金髪でグラマーだし」
「お兄ちゃんのエッチ。キャサリンはダメよ。
性格が派手でお兄ちゃんとは合わないわ」
「いや、別に付き合う訳じゃないんだからww」
写真を見ていると、一つ気になる事があった。
妹のそばにいつも写っている男の存在だ。
けっこうハンサムだ。
しかも、背が高い。
「なあ、こいつ」
私は、さりげなく写真に写ったその男を指差した。
「ああ、ロバートね。彼、なかなかハンサムでしょ」
「俺には負けるがな」
「何いってるの? お兄ちゃん鏡持ってないの?」
容赦ない一言。ちょっとへこむ。
「仲がいいのか?」
「うん。いいよ。何度かデートしたし、
クリスマスに、付き合ってくれって言われた」
さらっと言った妹のセリフに激しく動揺する。
「へー。良かったじゃないか。で、なんて答えたんだ」
平静を装って言葉を吐く。声はかろうじて震えていない。
「ちょっと考えさせてって答えたわ」
妹は今まで男から何度も告白されているが、
返事を保留したことはない。
そう。すべて、即答で断ってきた。
「・・・・・・まんざらじゃないんだ」
「うん。だって、彼は頭も良くて、紳士で、スポーツマンで
おまけにハンサム。断る理由が見つからないわ」
「そうだな」
「卒業したら結婚したいんですって」
さらに追い討ちをかけられる。
顔から血の気が引いていくのが分る。
「国際結婚も悪くないかもね。
でもそうなったらお兄ちゃんともあまり会えなくなるね」
「お前が幸せならそれでいいんじゃないか?」
ダメだ。声が震えている。
「そうね。きっと幸せになれる気がする。
彼は将来有望だから」
「そう・・・・・・だな」
「お兄ちゃんは賛成してくれるのね?」
「・・・・・・」
「どうしたの? お兄ちゃん」
「・・・・・・断りなさい」
私は泣きそうな声でそう言った。
「はーーーーい」
なぜだか妹は嬉しそうだった。
帰ってきた妹は、
・・・・・・ホントにこまったちゃんである。
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