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現在私が住んでいるマンション。
主人がその見晴らしとバルコニーの広さに一目惚れして約1年半前に新築で購入したもので、
過去の記述にもあるように主人がマンションの理事長を務めている。
建築的にまあ問題の多いマンションで、一体何回工事のやり直しをしたことかわからない。
それも主人があれこれ交渉してやっとその重い腰を上げる始末で、何とも頼りない。
さて、今度はどんな問題が起きたかというと、キッチンの水道の蛇口に関してである。
マンションに入居して3ヶ月も経たない内に水道の蛇口の根元が茶色に変色したのに気がつき、
こんなに早くサビがでるものかしらと不審に思いながら
とりあえず100円ショップのメラミンスポンジで擦ってその場しのぎをやっていた。
その際、一級建築士ゆえに建物関係では全幅の信頼を置いている主人に相談したところ、
新築なのにまだサビがでるはずがないと一蹴されたのだが、
それから1年経った今年の2月、メラミンスポンジでは歯が立たなくなり、
再び主人にその窮状を訴えると、確かに赤サビだとやっと取り合ってくれた。
持ち前のフットワークの良さで早速蛇口メーカーにクレームの連絡をし、
2日後、メーカーの人が来て蛇口一式を無償で新品に交換してくれ、
蛇口がピッカピカになって少し得した気分にはなった。実際は得も何もしていないのだが。
主人に聞くと、蛇口の交換は自費だと10万くらいかかるらしい。おーこわっ。
さて、問題発生→クレーム連絡と、ここまでは誰でもやる。
主人の凄いところは、赤サビの原因を電子顕微鏡等で解明して調査報告書を作成させ、
根本的な問題の解決と説明をメーカーの技術担当者に理路整然と主張したところだ。
その一方でこのマンションの理事長でもある彼は、
即座に掲示板に他の住戸でも同じような被害の戸はないか写真付きで張り紙をし、
住民とマンション全体の財産価値の保持のために危機管理を怠らない。
案の定、張り紙をして一週間もしない内に全体の1/3の住戸からサビの報告が寄せられた。
一ヵ月後、メーカーの技術担当者が来て説明を聞いたところ、
蛇口のステンレス部品の製造過程で分子レベルでサビが発生しやすいものができ、
それが流通していたことが判明した。
ついては自動車部品のリコールと同様、全戸の蛇口セットを無償で取り替えてくれることとなり、
結果主人の主張が100%通った形となった。
主人は、これでこのマンションの住人も少しは危機感を持って
理事会の活動に参加協力してくれると涼しい顔で言う。
傍で彼を見ている私から言わせれば、マンションの理事長なんて、
主人がどんなに努力して、時間をかけて、専門知識を持って問題解決に奔走して建設会社と折衝して、
時間給にすれば1000万分位働いているのに、住民の中には何の注意も敬意も感謝もない人もおり、
時々何だか貧乏くじを引いたような虚しい気分になったりもするのだが、
当の本人はその理事長職を楽しみながらやっているようで、そのポジティブシンキングが少し羨ましい。
「このマンションを日本一住み易いマンションにしてみせるよ」
主人の自信は一体どこから生まれてくるのだろうか。
まあ私は建築関係はさっぱりなので事務的なことをサポートする位しかできないのだが、
とりあえず主人がやりたいようにやれるよう、適当に励ますだけである。
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