はてノ鹽竈

東北地方から日本史を眺めていきます。

蜂子皇子伝承―出羽三山信仰の原点

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妖艶な女神

 何故サルタヒコは境界の神様なのでしょうか。その答えは『日本書紀』の神代紀の中にあります。
 書紀によれば、天照大神の孫「瓊瓊杵(ににぎ)尊――天皇家の祖神――」が「三種の神器」を携えて降臨の際、八方に分かれる道の分岐点にサルタヒコが迎えにきており、天孫様御一行を道案内しております。ヤマト勢力の辺境進出の際、土地の神の怒りに触れないよう祈願した故事をその道案内に例えたものと思われます。
 その際サルタヒコは、天孫様御一行の中にいた女神「天鈿女(あめのうずめ)命」に素性を尋問されております。サルタヒコは天孫ニニギのお出迎えに来ていたにもかかわらず、その眼光の鋭さが災いして、怖気づいた神々に警戒されていたのです。
 しかし、アメノウズメはその威圧感をものともせず、自分の乳をさらけ出して近寄り、話しかけました。そして見事サルタヒコの本意を確認することが出来たのです。
やがて、サルタヒコはこのアメノウズメと結ばれることになります。サルタヒコの神様は色仕掛けに敗れたのでしょうか・・・。
 ちなみに、アメノウズメはそれ以前にも脱いでおります。
 『古事記』によれば、「天照(あまてらす)大神」が弟「素戔鳴(すさのお)尊」の狼藉に機嫌を損ね「天石窟戸(あまのいわやと)」に引きこもってしまったとき、アメノウズメは窟戸の前でストリップショーを演じました。そんな外の様子が気になったアマテラスは、ついつい窟戸を開いてしまったのです。アメノウズメは、脱ぐことによってアマテラスとサルタヒコという比類なき神々に心を開かせた、実に“エロカッコイイ女神”なのです。
 このことはアマテラスが男神である傍証としても有効なものと考えられます。
 ちなみに、宮城県内に三社ある式内社比定「志波姫(しわひめ)神社」のうち、大崎市古川桜ノ目のそれは主祭神をアメノウズメとしております。おそらく志波彦(しわひこ)をサルタヒコと考えてのものなのでしょう。
 しかし、古川桜ノ目以外のニ社の志波姫神社は、アメノウズメではなく木花開耶姫(このはなさくやひめ)を祀っております。コノハナサクヤヒメは、天孫ニニギの妻神にあたります。これを信じると、陸奥国の地主神でもある志波彦大神が――志波姫の夫であることから――天孫ニニギであるという逆算が成り立ってしまうのです・・・。ヤマト勢力に滅ぼされたと思われる陸奥志波勢力の祖が、畿内ヤマト勢力の祖と同一ということがあり得るのでしょうか。

 ところで、『猿田彦と秦氏の謎(彩流社)』では、著者の清川理一郎さんがそのタイトルどおり、この異形の相の神サルタヒコを秦氏と結びつけております。
 能除大師――蜂子皇子――が仮に私の想像どおり秦氏と関わりがあるのであれば、その異形も含めあながち荒唐無稽な説でもない気がいたします。
 アメノウズメにしても秦氏の属性の一つでもある「舞踊――芸能――」の要素があり、こちらも頭の片隅には入れておきたいところです。
 由良海岸に漂着して八乙女の舞に誘われた異形の相を持つ高貴な人物譚は、アメノウズメとサルタヒコの故事にどこか共通するものを感じるのは私の考えすぎでしょうか。

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アメノウズメのキャラクターからペルシャやアラブなどを思い浮かべる人もいるようですね。小説家の荒巻義雄さんなんかもそうだったような気がします。

2009/4/23(木) 午前 0:31 [ - ]

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国際的なルゴサさんに言われると、なるほど、と思ってしまいますね。
神代の話を、よくシュメール系に結びつける識者の方々もたくさんいらっしゃいますが、さほどに突拍子な話でもないのかな、と思うこともあります。

2009/4/23(木) 午前 6:16 今野政明


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