考えるブタ

私たちはほんとうに現実を見ているのか?

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選挙は菅政権が予想していたよりずっと厳しい結果になるだろう。連立構想をふくめて今後の政局運営で民主党は頭がいっぱいにというところだが、問題は、同時に、辺野古をめぐる日米協議が始まることだろう。普天間移設は鳩山前首相の不手際のせいにして今までは済ませられたが今度はそうはいかない。むしろより重い難題をかかえることになった。アメリカは沖縄はじめ日本の多くの民衆が新しい基地をこの国土に造りたくないということを知りながら約束をたてにとって考え直そうとはしなかった。人々はもっぱら鳩山を非難するがアメリカのそうした態度を非難しはしない。アメリカ国民の多くが沖縄の現状を知らない。

思い起こせば、安保条約というものは独立と引き換えに日本がのまざるを得なかったものだった。この条約に日本が慎重な態度を示したら講和条約は延期されただろう。しかし、その選択もあった。米ソ対立下でいつまでも占領状態を続けることは難しかった。ソ連が米軍の駐留をいつまでも認めなかった。米ソ対立の力学と朝鮮戦争という対岸の火事をもっと巧妙に外交に利用できたかもしれないということは言える。

敗戦は無条件降伏だったが、講和は片面で条件講和だった。アメリカの軍や政府の中にあった時期尚早論を抑えて講和を急いだのはマッカーサーだが、彼には朝鮮戦争をきっかけに日本が政治的に不安定になることを恐れたからだった。それより日本を独立させた上で「安保条約」という新しい条約を結んで米軍を日本に駐留させておくことの方が得だという計算が働いていた。

日本はそれに飛びついた結果になった。日本がもう少し慎重であれば、安保条約という交換条件をのまずに米軍の完全撤退が可能になったかもしれない。いずれ米軍はソ連の圧力でそうせざるを得なかっただろう。米軍だけが日本に駐留し続けることは国際的にも非難されただろう。

よきにつけ悪しきつけとにかく日本は米軍駐留を認めて独立した。そこから今日までの長い戦後史が始まった。さっそくアメリカは日本の再軍備を求めてきた。米ソ対立と朝鮮戦争をきっかけにアメリカは極東政策を180度転換させた。日本を非武装の国にしようとしていたのが再軍備させてアメリカの軍事力の一部を肩代わりさせようと考えるようになったからだ。

しかし、当時の吉田や池田たちは、軍隊は必要最小限でいい、この点でアメリカの言いなりにはなるまいという明確な態度をもっていた。アメリカも日本の憲法の制約を持ち出されるとどこまでも強く迫ることはできなかった。当時の日本の為政者にはその程度の矜持はあった。

このときの安保条約を見ればわかることだが、アメリカが日本を守るなどとは書いてない。日本が内乱になった時に出動するとは書いてある。内乱条項といわれる部分だが、米軍がまず想定していたことはそういうことにすぎなかった。ソ連が日本を攻撃したら米軍がこれに対抗して日本を防衛するなどということはどこからも出てこない。にもかかわらず、極東の平和のために日本が米軍に基地を提供することが義務化されている。

あきらかに旧安保条約は米軍の日本駐留を正当化するだけのものだった。これではおかしいではないか、アメリカが駐留する以上日本の防衛に責任を持つべきだ。条約をそのように双務的なものに改めなければならない、そう考えて改定安保にこぎつけたのが岸首相だった。

それでも60年安保闘争は起こった。多くの民衆はこの改定安保にすら反対だったのだ。旧安保のときは民衆に選択の余地がなかった。十分な情報も提供されなかった。日本全国に米軍基地ができてみるととんでもないことだと人々は思うようになった。じっさい、当時の情勢下では基地があることのリスクの方が重く肌で感じられるほどの現実感があった。「対等な条約に近づける」「双務的なものへ改定する」、そういう側面を政府がいくら説明しても人々は納得しなかった。安保条約こそ日本の平和を脅かすものだと感じていた人々がいかに多かったか今では想像もつかないだろう。しかし、改定安保は成立した。

その後、日本は高度経済成長を経て「経済大国」になった。改定安保は今日まで自動延長されている。日米同盟があれば安心だ、それがあるから日本は経済成長ができた、そういう考え方が次第に強くなっていった。日本全国にあった基地は次第に整理縮小された。基地が次第に人々の生活の中から姿を消したかのように見えた。だが、沖縄はそうではなかった。多くは沖縄に移転したからだ。

長くなりそうなので、結論を急ごう。

アメリカが日本を守っているというのは神話に等しい。何回も記事で指摘してきたことだが日本列島に対する同時多発のミサイル攻撃を防ぐことはできない。米軍はたとえば日本が攻撃を受けて何十万という人間が死んだあとに報復攻撃ができるだけだ。そうすればアメリカ本土は傷つかず敵を滅ぼすことができる。平時の米軍の日本駐留がどれだけの抑止力になっているかなどというテーマは相手次第で変化する軍事力の関数関係を表わすだけでいつまでも確定した値を得ることはできない。逆に米軍の日本駐留がもたらすリスクについても同様に不確定だ。我々はそんな世界にいるだけのことだ。

そのことを踏まえた上で日米同盟をいかなるものに改めるべきかを議論すべきだろう。仮にアメリカが日本を守ってくれているという不確定な神話にすがるとしても、だからといって沖縄の自然や人々の暮らしがどうなってもいいなどということを少しも意味しはしない。沖縄もまた守るべき国土であり人民なのだ。それとも、かつてそうだったように本土を守るために沖縄はどうなっても仕方がないとでも言うのだろうか?

我々は安全保障という問題を考えなければならない。つまり国防ということを考えなければならない。しかし、そこに沖縄の多少の犠牲はやむを得ない言わんばかりのトカゲのしっぽ切りのような思想が入り込んだらそれは真の国防ではない。それは旧軍の沖縄戦の思想の延長にすぎない。

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自国を自国で守る、この当たり前のことがなぜ政府に出来ないのか?

一度の敗戦でここまで卑屈になる必要があるのだろうか。国土を守ると言う行為は、戦争ではなく至極当たり前の行為その為に必要な軍備は仕方のない事。それを他国にゆだねてる事が、対外的に何も言えないと言う姿になっつている様に思います。

沖縄、北方領土、竹島、えんかく諸島、さらに今対馬まで韓国に
支配されようとしている。日本は何も出来ないから、好き放題で出来ると思われても仕方ない、防衛力。

おっつしゃる通り日米同盟には日本を守ると言う確約は何一つなく、
一方でアメリカの言いように利用されている。それを菅さんは守って行こうと言う。我々の血税がここにも不当に使われている。

それは沖縄の人たちの為にはなっていない。国民の為の税金がその意味をなさない。日本はアジアで優秀な防衛手段をもっつている。
これでは宝の持ち腐れである。

おっしゃる通り、いまこそ安全保障の問題を考えなければならないと思います。

2010/7/11(日) 午前 7:34 [ oyaji ] 返信する

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安保の成立、改正がよく分かりました。
翻ってみると、沖縄は江戸時代以前は琉球王国として、平穏な日々を過ごしていました。江戸時代に薩摩に攻め込まれ、隷属させられ、明治に日本国に組み込まれ、沖縄戦で多くの人々が亡くなられました。この事実を見ると、今の基地問題は、あまりにも酷過ぎます。
はたして安保は必要なのでしょうか?日本は独立国です。国の尊厳、愛国心が今こそ必要ではないでしょうか。理想に満ちた
平和憲法こそ、全てを解決するのではないでしょうか。

2010/7/11(日) 午前 8:59 [ sya_rokkukan ] 返信する

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あまりにも幼稚な考えなのですが、同時多発のミサイル攻撃を日本上空に到達するまでに完全に打ち落とせるミサイルを開発し、完全にミサイル攻撃を防げる体制が出来るようになったとしたらどうなるのでしょうか?本当にくだらない質問で大変申し訳ありません。

2010/7/11(日) 午後 0:31 [ LET IT BE ] 返信する

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「安全保障」 なるものをどのような手段で確保しょうとするのか〜
幼稚と言われようが未来志向で冷静な方向付けが必要なのでは、経済活動の結びつきが近隣諸国との間で強められ、相互に依存関係が強まる傾向の中で「軍事力」に頼る方向というのは時代錯誤ではと思います。北朝鮮の対外的な挑発行動もいわば弱さの表れでは、米・中間の経済的な関係強化から考えても当事者同士の衝突は考えにくく、中国の軍事力強化は国内の経済格差が著しい中で矛盾を拡大すると思います、。核問題も持つ国と持たない国との共存は可能と考えてます、、
いづれにしてもお互いが理解をしあう、そのような方向を持ち続ける中で、、警察力としての対応能力程度にとどめておくべきではと 思っているのですが、、あまいかな〜

2010/7/11(日) 午後 8:11 qrp0001 返信する

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何によらず、一回始めた闘いは徹底抗戦がないと、途中でトップが寝返った場合は、相手の奴隷以下になってしまうと言うのが古来からの兵法の定石ですが、鳩山政権、続く菅直人政権で完全にアメリカのペースにはまってしまった今、沖縄は旧日本軍と同じように見殺しにし、おまけに関係修復の為に、ご機嫌を取ろうとしてグァムの基地移転費用のアメリカ分まで増額して支払うことになるでしょう。菅政権では何も出来ません。ただ一つの望みは国民の意思ですが、やはり菅政権は基地問題一点に絞って民意を問う形を取れば、アメリカもそう大きなことは言えなくなりますが、あの男には度胸がない、後は国民が声を大きくして沖縄問題を拡大していく、これしか先を打破する道はない様に思います。何れにせよこれからの日本は舵取りが難しくなるのですが、どうも民主党の面々では難しいのではないかと思わざるを得ません。国民評議会でも作って、もう一つのGovernmentを立ち上げる、つまり日本革命でも起こさないとだめでしょうか・・・。

2010/7/11(日) 午後 8:58 オールドパッション 返信する

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oyajiさん、防衛ということは沖縄も防衛することです。米軍基地があるために先制攻撃を受けるかもしれないリスクを常に背負っている沖縄も防衛するということです。賢明な為政者なら、沖縄の米軍基地を減らしながらそれを世界に示し、そこに生じるかもしれない隙についてはアメリカと迅速な対応を話し合い、不測の事態における自衛隊の基地使用を認めるような具体策を示し、それをまた世界に示す。新しい基地を建設しなくても可能な連携を考えるでしょう。強い態度でアメリカと交渉する。それで沖縄の人々に喜ばれ、お互いの同盟関係も失わず信頼も得られる道があるはずなのです。ありがとうございます。

2010/7/12(月) 午後 1:45 [ masahito2117 ] 返信する

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syaさん、安保はなくてもいいのです。だが、アメリカとの間に何らかの軍事的協力関係はあった方がいいでしょう。そのためにアメリカに対して身を屈する必要などないのです。そもそもアメリカは朝鮮半島や台湾海峡その他極東に強い利害関係をもっています。日本の意思がどうであろうと極東あるいは西太平洋を防衛する必要を戦後ずっと感じてきました。中国が軍事大国化し北朝鮮が核をもった現在においてはいっそう強くそれを感じています。日本を守ってやるといいますが、ほんとうは日本の基地を撤退しても極東の防衛は果たしたいのです。だから対等な協力関係を形成することが可能な基盤がすでにあるのです。それに気づかぬ日本の為政者たちが向こうの言うことを利かないと逃げられると思い込んでいるのです。だからいったん安保条約破棄を通告する政権が出てきてもおかしくない、それよりは今度の普天間移設などを機会に日米同盟を作り直すことをやった方が現実的かもしれません。それは新しい基地は造らない、造るとすれば国外で勝手に造れという態度になります。そうなったからと言って日米関係が壊れることはないと私は思っています。ありがとうございます。

2010/7/12(月) 午後 1:58 [ masahito2117 ] 返信する

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LET IT BEさん、軍事技術においてそこまで近づけたとしても100パーセント迎撃できるということは不可能なように思います。専守防衛の理想はそこにありますがそれを目指すことは相手も偽装・陽動など様々な技術を開発することでもあります。そうした先制攻撃のあらゆる想定される形に対応できる軍事システムというものは不可能というべきではないでしょうか。核開発をしなくてもそこに近づけるだけで莫大な軍事費がかかります。いつでも開発可能だが実際は行使しない技術力、あらゆる面での国力、それに仮想敵国であっても協力する外交の力、周辺諸国とのほどほどの友好関係・・・こういうことのほうがものを言います。軍事力=防衛力ではないという考え方です。ありがとうございます。

2010/7/12(月) 午後 2:08 [ masahito2117 ] 返信する

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まいどさん、この記事の初回の方で私は領海と領空の侵犯に対する迅速な警備活動に技術力と訓練の高い練度を示すことを重視すべきこと書いた記憶があります。ほどほどであるが高い軍事力はそこで発揮されるべきでしょう。簡単に侮れない海洋国であることを世界に示すべきです。軍拡には際限がありません。周辺諸国との摩擦を必ず生みます。限定的で防衛的だが精度の高いほどほどの軍事力、これでいいのです。あとは外交です。この試金石が北朝鮮の拉致問題です。誰かが金正日と渡り合わないといけません。これは今のように放っておくと後世に禍根を残します。アメリカ頼みではいけません。ありがとうございます。

2010/7/12(月) 午後 2:19 [ masahito2117 ] 返信する

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オールドパッションさん、今の菅政権では何もできない。沖縄の民衆の怒りが全国に波及しないといけない、アメリカの議会や市民にまで届かないといけない。菅に市民運動の残りかすでもまだあるのなら沖縄の意思をアメリカ政府に伝え「あなた方は住民の意思を尊重するはずだ。残念だが辺野古に新しい基地を造ることはできない」そう明言すべきでしょう。民主党はいくらか左がかった政策を掲げてきたが実のところ右にも財界にもいい顔をするヌエ的な政党になり下がっている。もはや自民党と比較しても清潔な党ですらない。今では民主党の思想性が問われている。ところが菅の頭には政略しかない。鳩山には「駐留なき安保論」という口先だけだが看板があった。菅にはそういうものすらない。彼はみずからの安保論を国民に向かって発表しないといけない。このままでは沖縄を切り捨て裏切ることで民主党政権そのものが一時のあだ花になりかねないところに来ているという自覚が必要だ、そんな印象です。ありがとうございます。

2010/7/12(月) 午後 2:39 [ masahito2117 ] 返信する

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日米安保なるものは日本の外交として対等でなければならない。その代償として多額の米国債を保持し、おもいやり予算という至れり尽くせりの援助までやっている。だが悲しいことに、日本の外交は従属的でNOとはいえないポチなる忠犬になりさがっています。しかしながら現段階で安保を破棄することは有事の場合、無理である。では、どうしたらいいだろう。まず、理想として自分の国は自分で守る、のが一番である。憲法を改正し、自衛隊を軍隊と認め、専守防衛のみに徹することである。当然国民の負担もありえるだろう。キレイ事だけでは守れない。そのための防衛予算は確保すべき。従属的安保は破棄する方向でいくべきである。このことを視野にいれて米国と、わが国には基地はいらない、と交渉すべきである。と思うのだが・・・・

2010/7/13(火) 午後 9:41 [ and1019 ] 返信する

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andさん、筋の通ったご意見です。しかし「憲法を改正し自衛隊を軍隊として認め」と簡単に言ってますが、いま軍隊ではないものを憲法を改正すれば軍隊にできるのでしょうか?軍隊とはそんなものでしょうか?旧軍は天皇のために死ねと教えた。白い飯が食えて名誉を与えたから食えない者たちが軍隊に集まった。今の自衛官など国家のために死ねとは教わってない。そこにも立派な人物はいるだろうが、国家のために死ぬ事を教わっていない者たちを憲法を改正したとたん軍人にしてしまうことなどできないでしょう。その場合は自衛隊は解体しなければなりません。そして兵制を含めて創軍を一からやらないといけないでしょう。それを国民が支持するんでしょうか?いまある自衛隊を軍隊に横流しするがごとき思想では強い軍隊は作れないし筋が通らないことだと私は思っています。この点が気になります。ありがとうございます。

2010/7/14(水) 午前 10:18 [ masahito2117 ] 返信する

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憲法改正するからにはそれだけの論議が必要ですし、世論が盛り上がることが条件です。沖縄の人たちが戦場の場であったり、戦後の最大の被害者であることを忘れてはいけないと思います。有事になったとして米国がすぐに日本を救済はしないでしょう。軍隊に集まった若い人たちの祖国を尊ぶ心、弱者を助ける思い、そういう自然の考え、思いを育てる環境つくりも必要です。masahitoさんの意見もそうではありますが、それではいつまでたっても前には進まないでしょう。仮に国が有事になったとき、筋が通らない部分も出てくるでしょう。それが国を守ることです。自衛隊の横流しではありません。日本はいずれドタン場になった時、決断しなければならないでしょうし、平和ボケからの脱却、苦しみを分かち合うことが必要と考えますが、話せばキリはありません。masahitoさんの真摯な意見ありがとうございます。

2010/7/14(水) 午前 11:25 [ and1019 ] 返信する

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