考えるブタ

私たちはほんとうに現実を見ているのか?

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春よ(6)

身辺の日常雑記しか書く気がしない。今日、東京では風が強い。埃が目に入らないように街を歩く。街ではゴミ箱が吹き飛ばされ中身が散乱している。駅前の駐輪がなぎ倒されている。
 
風がゴーゴー、ウーウー、ヒーヒー唸っているが、私はこれをまともに食らう場所にはいない。ただ、この春風というヒステリー女の声を聞いているのは堂に落ち着かない。窓やドアをガタガタ揺すって「出てこい、この卑怯者」と言われているようにも感じるから不思議だ。「おれは何も悪いことはしてないぞ」そんな心の位置になるのも何とも情けない。
 
朝、出てくるときもこの風が花や蕾を吹き飛ばしていた。アンズの花もこれでしまいかと思ったが、さにあらず、散るどころか、枝がピンクの花で猫の尻尾のように膨らんでいる。これは、これは…。
 
散れと言って風をゴーと送る。ヤダヨと言って笑っている。桜の出番はまだだがそういうせめぎあいの時期にあることはたしかだ。
 
 
先日の日曜のことだ。春うららの陽気になった。昼過ぎには暑いぐらいだった。杏の花も初めて開花した。アンズというと峠の釜めしに入っているアンズ煮を思い出す。あれは味のアクセントだ。
 
去年アンズは花が咲かないままだった。それが今年は咲いた。これだけでもうれしいことだ。ホトケノザ・カタバミ・ハナニラ・カラスノエンドウなど数知れぬ野草も花をつけた。街行く人々も軽装で嬉しそうに歩いていた。
 
白梅が強風で散って、ハリエニシダの茂みにふりかかっている。「散るや白梅玉垣に」というが「散るや白梅エニシダに」では話にならん。だが、白梅の小さい花弁と黄色いエニシダの花の調和は悪くない。ただ、このエニシダの長い鋭い棘はいやだ。これでずいぶん家畜が傷ついている。
 
私もぶらぶら歩きながら池袋のLAVIの修理部門の建物に入って行った。ビデオの修理を依頼し建物を出た。おそらく10分程度のものだった。建物を出た途端一天にわかにかき曇りゴーと強風が吹いて、目の前の小さな公園の砂を巻き上げてこっちに向かって吹きつけてきた。バチバチっと砂粒が体に当たった。この突然の変化に人々は驚き戸惑っていた。
 
駅で、強風のため宇都宮線が不通になったと聞いた。これが東シナ海で吹くと「春の突風」と言われ漁船がよく遭難する。
 
私は春の漫歩を楽しみコーヒーを飲んで電車で帰ってきたが、春だとすっかり安心するのはまだ早いのかもしれない。案の定、今日は寒い。
 
 
24時間営業のスーパーに早朝行った。有明海のアサリを買った。千葉産と中国産のハマグリが大量に売れ残っていた。消費者はよく知っている。
火にかけて電話しているうちに水が蒸発し焼きアサリの状態になってしまった。そんなことで慌てる私じゃない。ドバッと焼酎を入れて蓋をして酒蒸しにしてやった。胡椒とネギを散らして醤油をちょっと垂らして食ってみた。うまかった。
 
縄文人もアサリをよく食っていた。貝塚があるくらいだ。初め何でも捨てていたゴミためだったのだろう。むろん今のようなゴミじゃない。貝殻だけがうず高く残った。まぎれもない物的証拠こそ貝塚だ。それほどアサリなど貝をよく食ったということだろう。
 
水の温んだ春の海に出てアサリを拾うのはきっと楽しかったろう。いくらでも集まったろう。大量に集めたアサリをゆでる水産加工場のような遺跡が北区の上中里で発見されている。あの辺りまで海は来ていたのだ。嬉々としてアサリを拾う人、火を焚いてゆでる人、土器にそれをざばっと開ける人、そういう光景が目に浮かぶ。
 
何も酒蒸しじゃなくてもいい。深川飯みたいなものでもいい。まずは春を楽しんで食ってやろうという縄文人の心意気だ。

春よ(3)ーのし梅

梅が夜目にも白い。梅はあちこちで咲いていたが、おお咲いたか、と思ったときだけで後はあまり注意を払わなかった。昨夜、夜灯に照らされた梅の白さに感心した。今朝も白さが際立っていた。「湯島の白梅」じゃないが、散るや白梅玉垣に 残る二人の影法師といった風情がお似合いだ。
 
今ごろはあちこちで観梅の時期だろう。水戸の梅まつりはもう始まっているだろう。だが行けない。震災で崖が崩落してから行ってないがもう修理が済んだのだろうか。「のし梅」を食ってみたい。あれは上品でいいものだ。私が子どものころはちゃんと竹の皮に包んであった。あのひらたくのされた梅寒天は素朴なものだったが実に上品で春を感じさせた。
 

春よ(2)

今日は日差しが暖かい。沈丁花の香りが漂っていた。気分がいい。一気に春めいた景色だ。自転車で王子のほうまで行った。あちこちで沈丁花の花が咲いている。匂いもしている。黄色いエニシダの花もたくさん見た。「春よ 遠き春よ」と鼻歌を歌っていたのが「春が来た 春が来た どこに来た 山に来た 里に来た 野にも来た」と歌ってしまう気分だ。
 
さて、自転車で一仕事たそうとやってきたが、もう途中でどうでもよくなってコーヒーを飲んでぐずぐずする。新聞など読んでいるともう昼だ。今日は久しぶりにあそこであれを食おうと思う。いい加減な男だ。でも春だ。

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