まさの劇場人日記

オペラの音楽スタッフの日常を綴ります

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ジークフリート1幕

今日は軍人たちの本番の谷間の日。久々に地方の仕事に行きました。
その行き帰りはまとめて音楽を聴くチャンスです。
帰りの電車では久しぶりに「ジークフリート」の1幕を通して
聴きました。1967年バイロイト、ベーム指揮のものです。

すぐあとにトリスタンの作曲にかかるわけで、この「ジークフリート」
1,2幕と「トリスタン」には音楽的共通点がたくさん
でてきます。低音を上昇させつつゼクエンツ風に展開していくのは
ミーメをどなりつけるジークフリートの音楽に効果的に使われ、
同じ手法がトリスタンのあちらこちらに登場します。
クルヴェナールにイゾルデが話しかける部分の4拍子のトランペットは
さすらい人と同じリズムです(1小節ですけど…)。
またトリスタンがブランゲーネと慇懃な会話を交わす音楽は
同じく慇懃にジークフリートに近づいていく2幕3場のミーメ
そっくりです。順次下降進行がその特徴です。マイスタージンガー
1幕3場でザックスの言葉を揶揄してベックメッサーが合いの手を
入れる部分もこの順次下降進行が出てきます。
ジークフリートで「憧憬の動機」と呼ばれているものは、通常の
和声進行より複雑に書かれていて、トリスタンを準備するもの
とはいえないでしょうか?しかしこの和声進行の萌芽は実は
ワルキューレの時にすでに見られると私は考えています。
2幕3場の直前、逡巡するブリュンヒルデの"Weh mein Waelsung"
の前の調性感の不安定な進行はまさに彼女の気持ちを表していますが、
この進行をこの時点で書いていたことが驚きです。
ワルキューレの中で一番特異な箇所とも言えます。

という感じで「ジークフリート」を聴くことによって、これを書いていた
ころのワーグナーの音楽技法の特色を感じ取ることができます。
ところで、私は「ジークフリート」の1幕が大好きです。こういう少ない
人数の活発なやりとりはこの幕だけですし、テンポの早いスピーディー
な音楽が多いことも楽しめる理由です。
ミーメが死んだ後ワーグナーは作曲を中断してトリスタンにかかりますが、
ある意味とっても愛すべきミーメという存在を失ってその後の音楽的
展開について迷っていたのかもしれません。またミーメを描き尽くした
あとに、「究極の愛」という別の側面をもった作品を書きたいと
思ったのかもしれません。
今トリスタンを知って思うことですが、やはりトリスタンを知らずに
ジークフリート全曲を理解するのは不可能です。あの一筋縄では
いかないジークフリート3幕を完全に理解するには、トリスタン、
マイスタージンガーを制覇しないことには無理です。つまり作曲者
がたどった同じ道筋を経ないと難しいのです。きっと私はトリスタン
が終わった秋ごろまたジークフリート3幕を研究し直すことに
なると思いますが、今までより深いところで理解できるように
なるのではと期待をかけています。


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