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YOHさんから「預合いは、払込みとして有効」という私たちの見解について、ご質問を受けました。

私は、「これを見たら、みんなビックリするだろうなあ。」と思っていましたので、YOHさんの驚きを見て、わが意を得たりと喜んでいます。

さて、現在の通説的見解は、
1 預合いによる払込みは無効である。
2 払込取扱機関が保管証明を出した場合には、会社に対して金銭の支払い義務を負う。
3 払込取扱機関が会社に対して支払いをしたら、払込取扱機関は、会社の有していた引受人に対する払込請求権について代位する。
というものです。

 私達は、このような通説を知りつつも、あえて、預合い(ここでは、13問で定義したように、発起人等が払込取扱機関から借財し、借入金を払込みにあて、借財を弁済するまではその預金を引き出さないことを払込取扱機関と約束する場合を想定します)は有効であると書きましたが、それは、現在の通説では、どうにも会社法の設立の制度とうまくかみ合わないからです。

まず、現行法の下における通説は、預合いによる払込みを無効とすることで、発起人に引受・払込担保責任を負わせ、それにより、資本充実の原則を実現し、会社債権者を保護しようとしているのですが、会社法は、引受・払込担保責任が廃止されましたので、払込を無効としても、資本充実が図られるわけではなありません。

会社法の下で、預合いによる払込みを無効とするということは、
1 預合いをした発起人は、設立により、設立時発行株式を引き受ける権利を失い、会社に対する払込義務が消滅する。
2 払込取扱機関が、保管証明責任を果たしたとしても、払込みが無効なので、払込取扱機関から取得した金銭を「払込価額」と評価することはできず、その金銭をどのような性質のものとして取り扱うのか、法律上、会計上、非常に難しい問題が生ずる。
3 払込みは無効なので、預合いをした発起人に株式を発行することができない。仮に株式が発行された場合には、その株式の効力と帰属について、難しい問題が生ずる。
4 1で述べたように設立と同時に会社の発起人に対する払込請求権は消滅するので、払込取扱機関が当該払込請求権を代位することもできず、払込取扱機関と発起人の調整について、現行商法と異なる手法を用いる必要がある。
4 発起人が払込未了で失権したのだから、設立無効原因が生ずる。
5 発起設立の場合、払込みが無効だとすると、別段預金に出資払込金という名目のお金があるにもかかわらず、それは発起人の個人の財産ということになるから、その別段預金を会社の預金に振り替えることもできなければ、会社債権者が差し押さえることも一切できない。
6 通常、会社は、預合いによる払込みを前提に資本金を計上しているが、払込みが無効である以上、資本金が過大に計上されていることになり、資本金の額を訂正しなければならない(資本金の減少ではないので、債権者保護手続もない。)
という結果となります。預合いによる払込みを無効とすることに、何か良いことが一つでもあるのでしょうか?

逆に、私たちの考えのように預合いによる払込みを有効とすれば、発起人に対する株式発行に瑕疵はなく、その払込金相当額の資本金を計上することができ、設立無効にもならず、払込取扱銀行に保管証明責任を履行させること等により、会社債権者が害されることもありません。
 結局、払込取扱機関が、無担保で発起人にお金を貸しただけという話になるわけです。
 64条2項は、払込取扱機関が「前条第一項の規定により払い込まれた金銭の返還に関する制限」を会社に対抗することができないという規定であり、払込みが有効である(すなわち、会社の払込取扱機関に対する返還請求権が存在する)という前提に立って、払込取扱機関の抗弁の主張を制限するものと解釈すべきだと思います。

このほか、「預合いの方式として、全く払込みがないにもかかわらず、払込取扱機関が保管証明を出した場合にはどうか」「払込取扱機関が、成立前に発起人に払い戻しをしたにもかかわらず、保管証明を出した場合にはどうか」などという論点もあるのですが、それはまた気が向いたときにお話しするとして、今日のところは、「預合いによる払込は、無効である」という通説の見解が、会社法のもとでは、相当不都合な部分があるということを理解していただきたいと思います。

閉じる コメント(7)

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はじめまして。「新・会社法100問」を昨日入手した者です。 本書の内容とは関係ない質問で恐縮なのですが、 武島雅臣著「ホームラン答案の書き方」自由国民社(絶版) という名著の著者は、葉玉匡美先生なのでしょうか? 東大法学部卒後、昭和63年司法試験合格で、現在法務省付検事という経歴や 文章のキレの良さが、葉玉匡美先生を彷彿させるのですが。 この本は定価1905円+税だったにも拘わらず、現在は書店で手に入らないため、 オークションでは4万円前後で取引されている代物です。

2005/11/22(火) 午後 3:10 [ crimson ]

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でも預けあいより軽いと思われる見せ金は無効なんですよね?? なんか均衡上悪くないですか?

2005/11/22(火) 午後 9:33 [ hama ]

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そもそも預合なんて実際に行われることってあるんですかね? 銀行が乗らないでしょうそんな話。 見せ金ならわりとある話ですが。

2005/11/22(火) 午後 11:17 [ とーりすがり ]

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>crimsonさん 残念ながら、その本は私ではないですね。私と一緒に合格した同級生ですよね。なんとなく特定できますが、本人がペンネームですから、秘すれば花だな。

2005/11/22(火) 午後 11:37 [ mas*mi_*a*ama ]

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>hamaさん 軽いとか、重いとか、特に体重計にのせるわけではないので、わからないですよね。 私が紹介している預合いでは、払込取扱銀行の口座にお金が入っているのだから、払込みを有効として、そのお金を会社ののお金にすることが債権者の利益になるし、見せ金は払込取扱機関から払い戻されていて払込みを無効とした方が株主や債権者の利益になるということなのです。仮想払込の形態によってどんな解釈が一番合理的かを考えればいいと思うのです。

2005/11/22(火) 午後 11:42 [ mas*mi_*a*ama ]

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>qpxbr797さん 会社法に興味をもつことが得意になる一番の早道です。会社法はきわめて人間くさい法律ですから、作った人間もすごく人間くさい人ばかりです。ただし、中には人間離れしている人もいるという噂もあります。

2005/11/22(火) 午後 11:45 [ mas*mi_*a*ama ]

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>とーりすがりさん 預合い罪の判例は、結構たくさんがありますよ。今は、なくなりましたけどね。だからこそ、預合いについての考え方が、思考停止に陥っているような気がして、問題提起をしてみました。

2005/11/22(火) 午後 11:47 [ mas*mi_*a*ama ]


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