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YOHさんから,所有と経営の分離についてご質問を頂きました。
「私が、現在通っている予備校では 【株式会社は合理的経営を確保すべく所有と経営を分離し、特に公開会社では制度的に分離する(331条2項,402条5項)】 こんな感じに習っているのですが、新会社法100問では公開非公開問わず所有と経営が制度的分離しているとして取締役設置義務の326条1項を指摘しており、331条2項はここには絡んでこないようです 。」

所有と経営の分離については,2つのポイントを理解する必要があります。
1 所有と経営の分離は,法律には定義のない用語であり,いくつかの条文の立法趣旨を説明するための言葉に過ぎないこと
2 実際に所有と経営が分離しているという事実状態と,制度的に所有と経営が分離しているということは異なること

まず,ポイント1については
 「所有と経営の分離」という言葉を,意味も明確にしないまま,絶対視してはならない
ということに気をつける必要があります。
後で述べるように,「所有と経営の分離」は,いくつかの条文の立法趣旨を説明するのに便利な言葉ですが,条文によって,それぞれが予定する「所有と経営の分離の程度」は異なります。

「所有と経営の分離」→その理想の発現としての数個の条文
ではなく
 いくつかの条文 → それぞれの条文における「所有と経営の分離」
という目で見る必要があるわけです。

ポイント2は,事実と制度は違うということです。当たり前ですが
 1 非公開会社で,株主が取締役にならない場合も
 2 公開会社で,株主と取締役が完全に一致する場合も
あります。
 各条文の趣旨を語る上で重要なのは,「制度として」何を許容し,何を禁止しているか,ということです。そのためには,会社類型によって,どのように所有と経営の分離が違うかを比較する必要があります。

Round 1 株式会社 vs 持分会社
 株式会社は,業務執行者が,法律上,株主に限定されない。
 持分会社は,業務執行者が,法律上,社員に限定される。

 「業務執行者が,法律上,出資者に限定されているかどうか」というレベルにおいては,すべての株式会社について,所有と経営が制度的に分離しています。100問で「所有と経営の制度的分離」という言葉を使っているのは,持分会社が「所有と経営が制度的に一致している」ことと比較した上でのことです。
 また,会社法は,「株主」と機関である「株主総会」を区別し,また,株主が業務執行権を行使したいときに,「業務執行者株主」という構成を採っていません。
 業務執行権を「取締役」という機関の権限とした上で,株主が,業務執行権を行使したければ,「取締役」としての地位に基づかなければならないこととしていることも,所有と経営の分離の現れです。
 会社の運営は,株主としての地位に基づくものではなく,必ず「機関」によって行わなければならないというシステム自体が「所有と経営の制度的分離」であるわけです。

Round 2 公開会社と非公開会社
 公開会社 定款でも業務執行者を株主に限定することができない。
非公開会社 定款で業務執行者を株主に限定することができる。

 331条2項本文は,公開会社における定款自治を制限することにより,公開会社について,非公開会社よりも,所有と経営の分離の程度を進めようとする規定です。
 つまり,「任意に,業務執行者の資格を株主に限定できるか」というレベルにおいては,公開会社の方が所有と経営の分離が進んでいるということです。
 しかし,非公開会社が所有と経営が制度的に分離していないというわけではありませんし(Round1参照),例えば,非公開会社がその定款の定めを置かなければ,公開会社並の所有と経営の分離が図られるわけですから,「非公開会社は,所有と経営が一致している」という表現は間違いだと思います(ですから,100問では,「非公開会社では,所有と経営が未分離の会社が多い」というような事実として表現しています)。

Round 3 取締役会設置会社と非取締役会設置会社
 取締役会設置会社 株主総会が法律事項又は定款事項しか決議できない(295条2項)。
 非取締役会設置会社 株主総会は,あらゆる事項を決議できる(295条1項)。

 株主を構成員とする株主総会が,法律上,当然に業務執行の意思決定をすることができるという非取締役会設置会社よりも,株主総会では,定款で定めない限り,業務執行の決定をすることができないという取締役会設置会社の方が,意思決定における「所有と経営の分離」が進んだ会社ということができます。

以上のほか,委員会設置会社・監査役会設置会社とそれ以外の会社では,所有と経営の分離の程度が違います(詳しくは,本を見てください)が,「所有と経営の分離」には,様々な程度があるということを頭に入れながら,各条文の趣旨を理解していただければ,会社法が,「所有と経営の分離について現行法と考えが変わったわけではない」ということは分かっていただけると思います。

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