|
011
ピエロは、何やら、僕の家を這いずり回り始めた。
僕はてっきり、其の「ヤタガラス」とやらを、ピエロが、手品で出してくれるのかと思った。
しかし、違った。
命令を承諾したピエロは(承知しましたとか言っていたが、其れはまさか)僕の家をどすどすと歩き回り始めたのだった。
そして、ピエロは、在る場所に辿り着く。
押入れ。
「おい、押入れの中に何が在るんだ?」
僕は、この三人の中で最もこの家に付いて詳しい、この僕が、この家をつい最近知った、元吸血鬼と、今さっき来たピエロに聞いた。
「ヤタガラスだ」
その押入れには、確か、僕の記憶では、烏は入って居ないが…。
「ヤタガラスと似た様な絵だ」
?
|
紛物語
[ リスト | 詳細 ]
「傷物語」「化物語」「偽物語」に続く、物語「紛物語」の
つきひクロウ、まよいフロッグを載せています。
つきひクロウ、まよいフロッグを載せています。
|
010
「おい、僕は男だぞ」
「おっと済みません。マドマーゼルは此方ですね。」
ピエロが僕の方を見て、「マドマーゼル」と言ったので、取り合えず、直して置いた。
済みません。正確に言って置きたいので。
「おい、御主、何をしておる、速く仕い()せい。ピエロは忙しいから、すぐ帰ってしまうぞ」
「え?そんな事を言っても、何をすれば、良いんだ」
そう、兄として、僕は、何をすれば良いのだ?
「ワシに命令しろ!ワシは御前の強制の命令には逆らえん(さからえん)から」
「だから、何を命令すれば良いんだ!」
僕ら、暦と忍は、ピエロを挟んで、話した。
「未だ、解らんのか、ヤタガラスを呼ぶのじゃ!」
「ああ、其の話、じゃあ、忍、ヤタガラスを呼べ!」
「ああ、違う!こうじゃ「おい、忍、其のピエロに、ヤタガラスを呼んで来いと、命令しろ」じゃ」
「え?」
「解りました」
僕らの話を悟って(さとって)くれたのか、ピエロが返事をした。
|
|
009
「今から、そいつのカードを使って、其のピエロを呼び出す。」
は?
終に(ついに)、余りにも長く生き過ぎて、忍は頭が可笑しく(おかしく)なって終った(しまった)か。
其れとも、手で頭を回し過ぎたのでは無いか?
「準備は良いか、一緒にこういうのじゃ「ヤタ」」
「ヤタ?」
「そうじゃ。ヤタじゃ。タイムスリップをしたときの様にワシは1人では其のピエロを呼びだせん。御主(おぬし)の力が必要じゃ。」
「円(まる)でジブリスタジオ作製「天空の城ラピュタ」の最期の台詞の様だな」
「良いか?一勢(いっせい)の斉(せい)で言うのじゃぞ」
「おおおおっとっと言おうとしちまったよ。よくある、ふざけをするんじゃ無(え)えよ」
「ワシはふざけて居らん(おらん)。一斉の斉で」
「ヤタ」
其の瞬間、僕が持っていたトランプから、印刷されていたピエロが出て来た。
例えるならば、ハクション大魔王とか、魔法のランプから出て来る、青いお化けの様な物だ。
「こんにちは。マドマーゼル。御用件は何でしょうか。何なりと、我を召し遊ばせ給え(たまえ)」
…。
www。
|
|
008
其の時、僕は、「ジョーカー」を引いた。
「それじゃ」
「ああ、あ引いちまったよ。でも、このゲームは、神経衰弱だから、なあに何等(なんら)落ち込む必要は無い。
もう一枚、ジョーカーを引けば、良いだけの話だ。」
「いや、わしがさっき、ジョーカーを一枚抜いて置いた」
「は?じゃあ、このジョーカーはどう使うんだ?そんなローカルルールは知ら無え(しらねえ)ぞ。御前何処で神経衰弱のルールを覚えたんだ?」
「戯け者!(たわけもの)ワシは、正しいルールを知っていて其の上で抜いたのじゃ!神経衰弱は、ただ、話の引き合いにしているだけじゃ」
「なんだよ。御前、僕と千石がトランプを楽しそうにしていたのを裏疚し(うらやまし)がって居た(いた)んじゃ無かったのか?」
「其れも在る」
有るのか。
「其のジョーカーが何を意味しておるが解るか?」
「え?だから、何か、裏技みたいな事をしてくれるカードだろ?」
「其の通りじゃ、ワシが今から教える事は、裏技じゃ。ジョーカーは、別名、トリックスターと呼ばれておる」
|
|
007
忍野忍は話し始めた
「カラス、烏。ヤタガラス。ヤタガラスは、アメリカの先住民が信じておる、若しくは居(お)った怪異じゃ。
ヤタガラスは、善い事も、良い事も、悪い事も引き起こす。
何も変わら無い状況から、何かを引き起こす怪異として存在した。
別名、スターだ。
トリックスターだ。
ヨーロッパでは、トリックスターと言う名前で親しまれておる。
精神学に置いても使用される言葉じゃ。
アメリカの先住民は、トリックスターと同じ意味で、ヤタガラスを見ていた。」
其の話の最中も、僕と、忍はトランプをしている。
「烏(からす)に乗った人の木彫りの像何かが発見されて居る(おる)
そして、この、今執り行っている、トランプ。トランプには、どの様な意味が在るか解るか?」
僕は、(頭の脳味噌を手で掻き回さずに)思い出そうとした。
「確か、「切り札」だったかな」
「そうじゃ。御前さんも受験勉強でちっとは頭が良くなったんじゃ無いのか?
ちっとは、ちょびっとは、ほんのチョビットは、ちびちびっとは、」
「もう良いから、先を話してくれい!」
「ま、まあ、そう焦らずに」
こいつ、忍野メメの真似をしようとしている。が、其(そ)んなに、似て居(い)無(な)い。
|




