
高校時代の想い出ですか・・・・・あまりたいした出来事もなかったし、人より目立って何か
をやっていたワケでもないので・・・・・それに男子校だったから女の子の話題も乏しいし。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ありませんねぇ。とりたてて・・・・・・話すことは。

高校生活のことなら何でも良いから話してみて。

そーですかぁ・・・・何でもいいのなら・・・・・そーだなぁ〜部活もやってなかったしなぁ〜

授業中のこととか・・・・・登下校中のこととか????

そーですねぇ・・・・机は教室の真ん中あたりだったな・・・・・前に座ってる奴の耳の裏が妙に
汚かった。

臭かった・・・・・?

????・・・・・・・・・へっ?

前に座っている奴・・・・・臭かった?

匂いは憶えてない・・・・・ただ・・・・

なになに

僕は・・・・・窓の外見てた。 前の奴の耳の裏から眼を逸らすと、その隣に座っている奴の
肩越しに窓があって。僕の教室は3階だったのだけど・・・・・その窓の向こうに空があった。

・・・・・・空

うん・・・・・うすくて消えちゃいそうな青空。それをボンヤリながめがら、気まぐれに儀式の
続きを始めるんだ。授業終わりの鐘がなるまで。

どんな儀式なの

友達の・・・・・悼辞を考えるんだ・・・・同じ教室にいる奴、一人一人の・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なに?・・・・・・それ

退屈だから、右端の一番前にいる奴から順番に、死んでもらって、そいつの葬式に出てる
自分を想像して、悼辞を読むのさ。1回の授業中に一人ずつ、其奴と自分の関係をよく考え
て、葬儀場にいるつもりで文章を考える。そーしていると、不思議と時間を潰せた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・


親しい奴もいるし、中には一度も口きいたことない奴もいたけれど、毎日毎日同じ教室で
少しは気にかけて観察しあっているのだから・・・・死んだときぐらい何か云ってあげられ
るだろう・・・・・・ソンでもって、時々感極まって涙が零れることもあった。

・・・・・・・・・・・・・・・・

毎日やってるワケじゃないよ・・・・・一年かけて、全員の悼辞を考えた。空が消えちゃいそう
な青色の日にだけ

それは残してあるの

書き残してはいないよ・・・・頭の中で考えていただけだから・・・・だけど傑作な文章もあった

残しておけば・・・・みんな喜んだかも知れないねぇ〜〜

ああ・・・・・まさか自分が最後になるとは・・・・・・想像もしなかったからね・・・・


あぁぁ〜〜あ・・・・また妄想の世界に入ったまま、授業が終わってしまった・・・・だけど退屈
なんだもん・・・・しょーがねぇ〜べぇ〜〜