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何処に隠れているのかと訊かれたらやはり
昔から親しんだ小さな闇の端っこで おもいっきり四肢を伸ばし
赤ん坊が泣き始める前に見せる なにか迷ったような顔で
人生の最後の最後になにが見えるのか などと
云うこと を
人間以外の 誰かに
問い掛けている あるいは
蝉の抜け殻のように 身を固く閉じて 震えるほど拳を
握りしめ 階下からあがってくる匂いの正体をさぐる
使い慣れたフライパンから立ち上る ブタの生姜焼きの熱気に
眉をしかめて きっと
なんであんな人と20年も一緒に暮らしていのだろう などと
君はいまだに納得のいかぬ 釈然とせぬ 眉間の皺を
浮かべているのかも知れない
遠くから (そう 随分と遠くから) やってくる夕暮れの恐怖など
意に介さず 歯牙にかけずに 眼中にもなく・・・・・・
夕餉の食卓にのぼる湯気と話題と笑いと沈黙と
天気予報と 国会と
遠くの国で殺される若者と 近所でできた葬式と
炊きたての新米と 収穫した茄子で拵えた味噌汁と
そしてメインの 豚肉と
そろそろ取替時期にきた ガスコンロのことなどと
小さい頃から慣れ親しんだ僕だけの闇がある
ずっとずっと離せないまま
それでも結局 話さないまま
僕たちの時間は 刻まれていく
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2012年09月21日
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