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六月の詩

 
 
       以前車庫として使っていた小さい倉庫があって、そこに1年分溜め込んだ段ボールが
 
       積まれていた。ちょっと暇になったのでそれを処分すべく業者を呼んだ。大きなゴミ収集
 
       用のトラックがやってきて二人の男が段ボールを運び出し、収集用のトラックは次々に
 
       段ボールを噛み砕き、のみ込んでいった。事務仕事をしながら、その作業をチラチラ見
 
       ていると、男の一人と目があった。男はちょっと遠慮がちに僕に手招きしている。
 
        仕事にもちょっと厭きてきていたので、僕は腰を上げ外に出た。
 
       「ちょっと見てもらえますか」 男が云った。
 
       「なにか変なモノでもあったのですか」
 
       「いやいやちょっと」
 
        僕は男の後について、作業途中の倉庫に足を踏み入れた。
 
       「これを・・・・ちょっとどうしようか聴いてみようとおもって」
 
       男が手にとって僕に差し出したモノは鳥の巣だった。薄汚れた藁のかたまりの真ん中に
  
       大きく開いたくちばしが六こ並んでいた。親が運んでくる餌を、大きな口を開けて待つチビ
 
       達。段ボールの隙間の奥に巣は作られていた。ここなら見つかる心配もない。頭の良い
 
       親だなと思った。
 
       「そこにおいといて下さい、まだ全員生きてるようだから」
 
       段ボール処理の作業が始まって1時間ぐらい経過している。その間、親鳥は警戒して
 
       近づけずにいるのだろうか。
 
 
        作業が終わり、業者が去った後。僕は鳥の巣を倉庫の一番奥の棚に置いた。今まであ
 
       った段ボールは無くなり。扉のない倉庫は外から丸見えである。猫や蛇やカラスに狙われ
 
       ないように、僕は棚の廻りを囲った。
 
       
        事務仕事に戻っても、倉庫の方ばかり見ていた。餌を咥えた親鳥が倉庫の前まではや
 
       ってくるのだが、中の環境が変わったためかどうか、なかなか巣に気付かないようだ。
 
       餌を咥えて途方に暮れている。チョコチョコと近づいてはサッと離れ、道路上を彷徨いて
 
       車に轢かれそうになったりしている。人間の感情で推察するのは変かもしれないが、子
 
       を見失って錯乱している様子である。
 
       こういう場合、同じ子を持つ親としてどうしたら良いのだろうか・・・・・いくら悩んでも妙案
 
       がでなくて困った。

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