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          校庭の入り口に大きなケヤキの木があって
 
          その下に窮屈な椅子が 忘れられたままでいる
 
          教室から持ち出したのは僕の従兄弟だ
 
          一つ年上で身体の不自由な小学2年生
 
          
 
          体育の時間になると 先生が運んでくれたその椅子に腰掛けて
 
          同級生達のかけっこやドッチボールや逆上がりを
 
          ケヤキの下から見つめていた 随分離れた処にある物の細部を
 
          優しく観察するように      近づいてゆく事ができないぶん
 
          丁寧に 一つ一つ整理しながら収めていくように
 
          大好きな同級生達の成長を観察していた
 
 
 
          一階の昇降口に一番近い 一年一組の窓から
 
          僕は そんな従兄弟を見つめていた
 
          ドッチボールや逆上がりの合間に響き渡る歓声に耳を背け
 
          時々空を見上げる従兄弟の表情までは見ることができなかったけど
 
 
 
          校庭の真ん中にケヤキの木があって
 
          その下に窮屈な椅子が 持ち去られぬまま置いてある
 
          太い幹に溶け込んでしまいそうなぐらい 長い年月
 
          僕が不在でいた風景  の中で
 
          椅子は空を見上げて ずっと
 
          ずっと    話しかけていた   のに
 
          
 
          
 
          
 
          

エチュード

 
 
 
 
 
             濡縁の下に 秋のにほい
 
             脱ぎすてられたサンダルに 夏の影
 
             枯れた草花の 細い息
 
             帰る場所をなくした羽虫の 最後の睡り
 
 
             白い灯台が 海に告げる秋
 
             どこまでも押しあげられてゆく雲間に 見え隠れする
 
             夏の影
 
             なんどもなんども同じことを思い
 
             それでもけっきょく
 
             くりかえしくりかえし みおくったきた このさざめき
 
 
             何も言わないあなたを  ただ
 
             黙って見つめていたあの午後の柔らかな陽射し
 
             あなたの笑う声だけが いまも
 
             遠い記憶の影で優しさを増す
 
             濡縁の下に
 
 
                              秋のにほい
             
 
 
 
             
 
 
             
 
             
 
             

言葉が生まれる瞬間

 
 
     
     目から入った光景が脳でコポコポと加熱されて
 
     温かな吐息のように言葉が生まれる
 
     鼻や耳をくすぐった風景が脳をサラサラと刺激して
 
     街中で開示される
 
     怖ず怖ずと静々と
 
     あなたがそれを追いかけて行く
 
   
     随分むかしに約束したなにかを
 
     想い出せないまま
 
     街のはずれでふり返る
 
 
     忘れてしまった近親の貌
 
     あるいは夜の明けぬ居間に響く電話
 
     そんな些細な出来事だけで
 
     振り出しに戻っちまうのだ いつでも
 
  
     ふり返らずに
 
     その角をまがってごらんよ 
 
     君の後ろにはビックリするほど大勢の人が
 
     そろりそろりと付いてきている
 
 
     ポケットを探っても もう
 
     なんの言葉も残ってないから 
 
     大きく息を吸って
 
     空を仰いでみる
 
     
     
 
 
     
 
 
     
 
     
     
 
   
     
 
 
     
 
     
 
     
     

行き場のない午後

 
 
 
       荷台の上段のちょうど真ん中からこちらを見つめている顔が笑っているように見えると云って
 
       君は僕を見るのだ。その視線は僕の額を通過して遙か向こうに横たわる稜線を彷徨い、二度
 
       と戻ってこない。僕は君の見ていた方に顔を向けて、荷台の上段の真ん中を見る。上下二段
 
       に仕切られた箱の中に詰め込まれたブタたちが呑気な午後を過ごしている。運転席では中年
 
       の男が雑誌を見ながらタバコを吹かしている。件のブタは僕たちの方を見て笑っている。僕は
 
       汗ばんだ掌を漸くハンドルから放しポケットのタバコを探る。
 
 
 
 
 
 
 
 
        別に何時もと変わらない午後。遙か昔からこの時間この場面が設えられていて僕たちは
 
        来るべくしてこの瞬間に招かれたような。。。。。ずっと予感していたような午後。
 
        開いた喉から流れ出る紫煙が開いた窓からどんどん流れ去り停滞した時の中に飲み込
 
        まれていく。止まらない時を麻痺させるための笑い。。。。あれは笑っているのではない。
 
        数時間後に味わうであろう彼らの恐怖。その時間に僕たちの交わす在り来たりな会話。
 
        微睡む陽射しを顔に受けて・・・・・・僕たちも睡くなる。
 
        夕飯は何にしようかと君は僕の横顔を覗き込み、僕は君に任せるよと応える。僕はハンド
    
        ルを握り、大きなトラックの横を通り過ぎる。。。。これから僕たちの時間は不安な夜へと
 
        移る。。。。。。。。。。。。この行き場のない午後を此処に残したまま。。。。。

 
 
    
 
 
     額に残る熱が退いたなら
 
     なにか硬質なものに変わりたいのだと
 
     君は時々
 
     僕に話していた
 
     
    
     最後の柵(しがらみ)を巧くすり抜けた時に
 
     フワフワした泡のように消えたいのだと
 
     君はそっと
 
     僕に笑った
 
   
     
     産まれてきたのも
 
     出会ってみたのも
 
     ぼやけたフィルムの中の出来事のようで
 
     なんだかもったいなかったような気もする
 
     秋晴れのこんな空の下で
 
     もう一度だけ二人きりになれたとしても
 
     僕たちは違う方向を見て
 
     クスクス笑っているのだろう けど
 
 
 
     呆れるような長い時間の群が今
 
     小さな巣箱に全て納まり
 
     僕の小さな目が一個
 
     小さな公園のブランコの上で
 
     帰る処をさがしている
 
     
 
     

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