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校庭の入り口に大きなケヤキの木があって
その下に窮屈な椅子が 忘れられたままでいる
教室から持ち出したのは僕の従兄弟だ
一つ年上で身体の不自由な小学2年生
体育の時間になると 先生が運んでくれたその椅子に腰掛けて
同級生達のかけっこやドッチボールや逆上がりを
ケヤキの下から見つめていた 随分離れた処にある物の細部を
優しく観察するように 近づいてゆく事ができないぶん
丁寧に 一つ一つ整理しながら収めていくように
大好きな同級生達の成長を観察していた
一階の昇降口に一番近い 一年一組の窓から
僕は そんな従兄弟を見つめていた
ドッチボールや逆上がりの合間に響き渡る歓声に耳を背け
時々空を見上げる従兄弟の表情までは見ることができなかったけど
校庭の真ん中にケヤキの木があって
その下に窮屈な椅子が 持ち去られぬまま置いてある
太い幹に溶け込んでしまいそうなぐらい 長い年月
僕が不在でいた風景 の中で
椅子は空を見上げて ずっと
ずっと 話しかけていた のに
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