[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

記憶

 
 
 
 
      きっと・・・・あと一月も経ったら僕は良い子になっている
 
      ぜったい・・・・・そーなる。僕は怒られない子、人を悲しませない子になる
 
      だから・・・・・今夜は記憶をなくすほど深い深い眠りに落ちたい
 
      冷えた布団が暖まるまで、躯を硬く丸めて闇を睨み付けて待つ
 
      ぶたれて腫れた母さんの頬の熱が
 
      ゆっくりと階段を上り僕の布団に侵入する
 
      だけど・・・・どうして・・・・いや・・・・・たぶん僕は産まれて・・・・
 
 
      地球の片隅の小さな小さな灯りの下で
 
      モソモソと立ち上がり母さんは台所へと向かう
 
      蛇口をひねりか細い悲鳴のように水が流れる
 
      ・・・・・・僕は闇を睨み続ける・・・・・負けたくないから
 
      タオルを水で濡らし腫れた顔を拭く姿が
 
      闇の中にボンヤリと浮かび上がる
 
      
      肉を叩き続ける音や
 
      野良犬のように泣き叫ぶ声が
 
      遠くへ沈んでいく・・・・・・今日は・・・・・今夜はこれで終わりだ
 
      
      たぶん・・・・ぜったい一月後には・・・・・僕は強く 優しくなって
 
      布団から抜け出し階段を下りる
 
      ごめんね、とあやまる父さんと・・・・・・にっこり微笑む母さん
 
      それができなかったなら・・・・・僕は・・・・・消える
 
 
 
      ホカホカと火照る闇の中で
 
      息を止め
 
      全ての音が止むまで・・・・・じっと待つ

用意はいいかい?

 
 
 
        目ざめた朝は時間の中にはなくて
 
      蓄積された記憶を合成した眩く美しい 朝なのだ
 
      パソコンの前で息を呑むあなた方全ての美しい朝
 
      
      おそらく僕たちの日常に時間はいらなかった のだ
 
      時間は非日常的である
 
      非日常的に日を送り続ける僕たちは何十年も迷い子のままだ
 
 
      いったい
 
      此処は何処なのか
 
 
      黄ばんだページの隙間からこぼれ落ちた君の言葉は
 
      30年も前のものだ  だけどそんな時間などぐちゃぐちゃに潰して
 
      捨ててしまえ・・・・・・・・・・そう云ったのは君だろ
 
   
      だから僕は読みかけの本を放り投げて
 
      夢中で君を抱いたのだ   いつもの美しい朝に
 
 
      だから僕は練りかけの予定を放り投げて
 
      朝を迎えに行くのだ   君が眩しげに見つめた
 
      風を 光を
  
      

ほっ・・・!

 
 
 
 
      
       外の様子をうかがって適度な陽射しとぬくもりと
 
       それから自分のご機嫌を
 
       ちょっとだけ気にして家を出る
 
 
       そんなタイミングで書き出した物語は
 
       覚束ない足取りでフラフラと
 
       目的のない道をユラユラと
 
       呼び止める声にニコニコと
 
       不安定な速度でおずおずおずと
 
       そして思いもよらない高い場所から
 
       迷い焦って足下を見ると・・・・・・
 
 
       遙か眼下の爪先を
 
       セカセカ過ぎる奇妙な生物
 
       路地裏から大空を仰ぎ見て
 
       なにか手招きしているように
 
       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
       帰る時刻を告げているように
 
 
       家に戻って玄関の
 
       ドアを開く表情を
 
       描写しながら
 
       振り返る
 
       

 
 
 
 
 
        風も光も躊躇いがちに歩き出した時間も
 
        すべては彼のためにのみ在った
 
        相変わらず彼のためだけに存在していた
 
 
        翳りゆく愛憎も薄れてゆく喜怒の記憶も
 
        背後で立ち去っていった多くの足音とともに
 
        彼の虚ろな眼には二度と映ることはなかった
 
   
        遙か上空で吹きすさぶ風が彼の髪を撫でた
 
        遙か上空から射してくる光が彼の耳元で囁いた
 
        彼の虚ろな眼はそれを拒絶することなく
 
        落下する青空と同化した
 
        それでも風や光は相変わらず
 
        彼のためだけに存在していた
 
        他人の介在など一度もなく
 
        光も風もそして初めて聴いた母のか細いうた声も
 
        すべては自分だけのものだったのだ   
 
               と
 
        死んだ彼のくちびるが
 
        わたしに語った
 
 
 
 
 
 
 
 
 
          弟は 遠い街で暮らしている 僕の知らない街で
 
          妹には 旦那と二人の子供がいる 泣き虫だった 妹に
 
          父は 見晴らしの良い丘の上に眠っている 中国産の石の下に
 
 
          その反対側の丘 川を隔てた丘陵に立つコンクリートの一室で
 
          母は遠い日の夢をみている 僕が産まれる遙か以前の 
 
          そして僕は 生まれ育ったこの街で 迷子のままで
 
 
          みんな いったい 何処へ行ってしまったのだろう
 
          この静寂は いつまで僕を覆っているのだろう  
 
          風はいつ 止んで  人はいつ  僕を訪ねてくるのだろう
 
          心は  心だけは ここに残してあるのだけれど
 
          僕は・・・・・・・・・・・・・・・・・いつ・・・・・・・・・いつ?

.
すいす
すいす
男性 / O型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

Yahoo!からのお知らせ

標準グループ

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!
お肉、魚介、お米、おせちまで
おすすめ特産品がランキングで選べる
ふるさと納税サイト『さとふる』
数量限定!イオンおまとめ企画
「無料お試しクーポン」か
「値引きクーポン」が必ず当たる!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事