輝きの時 "Carry Out Your Life !"

今、生きることを考えてみませんか

こころの宇宙 −法華経の生命観ー

すべて表示

「こころの宇宙」第171回(最終回) 第七章 「死」の実像ー「生」と「死」を包有する生命 后〃覿隋\弧燭侶佚機次嵋_攘弌廖7

 
 ところで賢治は、「春と修羅」に収められた自分の作品を「詩」とは呼ばずに、「心象スケッチ」と呼んでいます。仏という生命の本源から生まれながらも、ある時には修羅や畜生のように、またある時には、仏のようにゆらぎ続けている私たちの生命。賢治は仏性を有しながらも、揺れ動いて定まることのない生命の働きを、心象のスケッチとして「春と修羅」の中に描いていったわけですね。この詩集ー「春と修羅」は、賢治のこころー生命の印象を描いた「生命のスケッチ集」でもあるわけです。私たちの生命境界が「修羅界」であっても「畜生界」であっても、生命自体は生命の本源ー「仏性」によって生かされているわけですね。仏の生命から生まれ、仏の生命へと帰っていく!たとえ現在はどのような生命の境界にあっても、私たちという生命現象は、「仏性」を有する仏の当体であることに変わりはないわけです。
 
 賢治は、「春と修羅」の序を次のように結んでいます。
 
 すべてこれらの命題は
 心象や時間それ自体の性質として
 第四次延長の中で主張されます。
 
 「法華経」に帰依していた賢治の生命観の根本には、「法華経」の生命観が脈付いています。ですから賢治の生命観では、あらゆる命題ー認識ーが幾世にもわたって生死を繰り返していく生命現象と因果関係で結ばれていることが前提となっています。現世での心象ー現世の生命の認識作用と、生命によって意識された時間ー限りある時間を生命現象として生きることーこの両者は生命に備わった本質として、第四次延長ー「有」と「無」相即した「空」の状態である「虚空」ー生命を生み出していく場でその真意が初めて明らかにされていくわけです。私たちは生命の実相ー生命は宇宙と共に「本有常住(ほんぬじょうじゅう)」であり、本来「仏」であることーを知ることで、現世でのあらゆる現象の意味を、本当に理解することができるのですね。このことを知っていた賢治は、また仏の生命を生き抜いた人間の一人でもあったのです。
 
 最後に賢治の書簡を引用して、この本を閉じることにしましょう。
 
 ただひとつどうしても棄てられない問題はたとへば宇宙意思といふようなものがあってあらゆる生物をほんたう の幸福に齎したいと考へているものか、それとも世界が偶然盲目的なものかといふ所謂信仰と科学とのいづれ かによって行くべきかといふ場合私はどうしても前者だといふのです。すなはち宇宙には実に多くの意識の段  階がありその最終のものはあらゆる迷誤をはなれてあらゆる生物を究竟の幸福にいたらしめようとしていると  いふまあ中学生の考えるやうな点です。
 
                                             宮沢賢治の書簡より
 
 
 今回を持ちまして拙著、「こころの宇宙」の掲載を終了させていただくことにします。大変に長い間読んで頂いた皆様方、本当にありがとうございました。また後日、改めて掲載終了の所感などを記事にしてアップしようと思います。
 

その他の最新記事

すべて表示

追悼 冨田 勲さん

2016/5/21(土) 午後 6:28

 日本のモーグ・シンセサイザーの草分けとなった冨田勲さんが去る5月5日にお亡くなりになりました。享年84才、ご冥福をお祈りいたします。  冒頭に紹介したのは冨田さんの傑作の一つ、「 ...すべて表示すべて表示

   おはようございます。冒頭に紹介したのは故ジム・クロウチが歌うミュージカルの名曲、「オールマン・リヴァー」(作曲: ジェローム・カーン、作詞:オスカー・ハマースタイン ミ ...すべて表示すべて表示

 おはようございます。少し前に高田渡の「人生の柄」をアップした時に、昭和の名人、古今亭志ん生のことに触れましたので、 今朝は久しぶりに志ん生の古典落語を紹介してみることにしましょう。演目はお気に入りの「六尺棒」です。 ...すべて表示すべて表示


.


みんなの更新記事