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 おはようございます。今朝はフランスの大作曲家、シャルル・グノーの「聖チェチーリア荘厳ミサ曲」を再びお送りすることにしましょう。
 
 カトリック教会では毎年11月22日に、殉教した聖セシリア(Cecilia, 紀元2〜3世紀頃)を祝う「聖チェチーリア祭」が行われます。「聖セシリア(チェチーリア)」は紀元2〜3世紀頃にローマで生まれた聖処女で、音楽を愛好し信仰の力によって数々の奇跡を起こしたと伝えられ、カトリック教会では音楽家(特に教会音楽とオルガン音楽)と盲人の守護神とされています。(尚、Ceciliaは英語ではシシーリア、イタリア語および中世ラテン語ではチェチーリア、フランス語ではセシルもしくはセシールと呼ばれています)彼女は紀元230年頃にローマ皇帝アレクサンデル・セウェルスの弾圧に遭い殉教したと伝えられています。(実際にはマルクス・アウレリウス帝のもと、シチリア島で非業の死を遂げたとされています)しかし、821年になって彼女の遺骨がカタコンブから発見され、その遺骨をローマの教会に移した後に教会を"Santa Cecilia"=「聖チェチーリア教会」と呼ぶようになりました。ローマ法王は後に彼女を聖人の列に加えます。
 
 19世紀から20世紀の初頭にかけて、フランスのパリでは11月の22日に聖セシリアを祝して聖ウスターシュ教会で荘厳ミサを行い、音楽家組合の慈善を図るのが通例になっていました。このミサではパリ音楽院管弦楽団がその演奏に当たっていましたが、今日紹介するグノーの「聖チェチーリア荘厳ミサ曲」もその中の一曲です。(1910年以降はミサ・ソレニムスー荘厳ミサに代わって宗教作品の演奏会が行われるようになりました)
 
 グノーの「聖チェチーリア荘厳ミサ曲 "Messe Solennelle de Saint Cecilia"」は1855年の11月22日の「聖チェチーリア祭」に聖ウスターシュ教会で初演された作品です。ところでグノーと聞くと皆さんはどのような作品を思い浮かべますか。グランド・オペラ「ファウスト」、それとも「アヴェ・マリア」でしょうか。
 
 シャルル・フランソワ・グノーCharles François Gounod,1818〜1893年)は、パリ生まれのフランスの作曲家で、バチカン市国の実質的な国家である『賛歌と教皇の行進曲』を作曲したことでも知られています。グノーは若い頃から聖職者になるべきか、音楽家になるべきかと思い悩んだ挙句、最終的には音楽家への道を選択しますが、このグノーの思いを反映したように彼の作品はオペラなどの劇作品よりも遥かに多くの宗教作品で占められています。
 
 30代の後半なって、グノーは音楽家として身を立てる決意を固めますが、当時のフランスでの音楽家としての成功はとりもなおさず劇音楽=オペラでの成功を意味していました。グノーもその例に漏れずオペラの作曲に没頭します。しかし第4作の「ファウスト」を除いて彼が作曲した13曲のオペラはいずれも不評で、「ファウスト」の成功も初演の後にフランスの聴衆の嗜好に合わせてグランド・オペラに改作されて初めて人口に膾炙することになります。彼のオペラの諸作には、どこか当時のパリを席巻していた華麗な音響の塊と相反するソノリティー純粋な信仰の響きが入っていることが、「ファウスト」以外のオペラが大きな成功を得ることがなかった要因の一つであったのかもしれません。(もちろん「ファウスト」にも信仰の要素を多く聞き取ることができます)
 
 グノーの「聖チェチーリア荘厳ミサ曲 」は7楽章で構成されている作品で(「サンクトゥス」と「ベネディクトゥス」を1つの楽章と考えれば6楽章)、「アニュス・デイ」で終わっていますが、教会暦に従った式日によっては「ドミネ・サルブム "Domine Salvum" 」などが付け加えられて歌われることもあります。以下に簡単な解説を書いてみましょう。
 
  1、キリエ Kyrie ト長調 4/4
オーケストラによる静謐で美しい導入部で始まり、合唱がそれを受け継ぎ、次に管弦楽がオスティナート風の8分音符の上昇音階を奏します。この旋律は楽章全体に渡って演奏され、合唱と独唱者は交互に "Kyrie eleison"と歌い透明な美しさに満ちた交唱を十分に繰り広げてこの楽章を終えます。
 
  2、グローリア Gloria ニ長調 4/4
最も長大な楽章で、4部に分かれて構成されています。第1部「グローリア」は弦楽器によるトレモロに乗って金管楽器とハープで短い前奏が演奏されると、ソプラノのソロが合唱のハミングをバックにして歌い、合唱はピアニッシモで "Gloria"を繰り返します。 第2部 "Laudamus te"ではテンポがアレグロに変わり、力強く4部の合唱が歌い始め、ソロの3重唱で "Gratias"と歌われると合唱が繰り返していきます。第3部は"Domine fili unigenite"で、ト長調に転調し、オーボエが弦楽器のピチカートに乗って演奏するとバスが独唱を始め、やがてテノールとの2重唱を繰り広げます。これにソプラノが加わり3重唱を展開していき、合唱が加わって"Miserere nobis"と歌います。最後の第4部は合唱で第2部と同じメロディーを"Quoniam tu solus"と歌い力強くクライマックスを築きあげていきます。
 
  3、クレド Gredo ハ長調 4/4
「グローリア」のように「クレド」も何部かに分かれて構成されています。まず管弦楽による荘厳な前奏が始まり、続いて合唱が堂々とユニゾンで"Credo"と歌います。低音に現れる付点音符のリズムが全曲を一貫して流れていきます。次にテンポを変えてアダージョになり第2部"Et incarnatus est"に入り、3重唱と合唱が交唱風に歌っていきます。次にト長調に転調して"Crucifixus"と3人のソロが歌い、合唱がこれに代わっていきます。ここで調性がハ長調に戻り合唱で高らかに "Et resurrexit"と歌われ、最後のクライマックスの6部の大合唱を迎えます。
 
  4、オフェルトリウム Offertorium 変イ長調 4/4
この楽章は管弦楽とオルガンだけで演奏される短い楽章で、一種の間奏曲のような働きを持っています。
 
  5、サンクトゥス Sanctus ヘ長調 9/8
アンダンテでテノールのソロによって叙情的で美しいメロディーが歌われ、4部合唱がこれを慈しむように繰り返していきます。
 
  6、ベネディクトゥス Benedictus 変ロ長調 4/4
30小節ほどの短い楽章で、敬虔なソプラノ・ソロが "Benedictusu"と歌い6部の合唱がこれを繰り返していきますが、その美しさは喩えようがありません。
 
  7、アニュス・デイ Agnus Dei ニ長調 12/8
7小節の前奏に続いて合唱が "Agnus Dei"と歌い、ト短調でテノールが"Domine non sum dignus intres"ー主よ我御身の寛恕なる御心に価せずーとソロで歌います。続いて合唱が再び "Agnus Dei"と繰り返します。ソプラノ・ソロと合唱がこれを繰り返し合唱が Amen"と3度歌ってこの楽章を閉じます。
 
 8、ドミネ・サルヴム Domine Salvum
ジャン=クロード・アルトマンの演奏では最後にこの "Domine Salvum"付け加えられて演奏されます。ここでは「教会の祈り "Priere de l'Eglise"」、「軍の祈り "Priere
de l'Armee"」、「国家の祈り "Priere de la Nation"」が歌われてゆきます。
 
 グノーの「聖チェチーリア荘厳ミサ曲」は「荘厳ミサ」ではありますが、大変に明るく祝典的な性格の強い作品で、どちらかといえば「テ・デウム」を偲ばせるような性格を持っています。その透明で素朴で庶民的な信仰の喜びに溢れたソノリティは、一度聞けば忘れることのできない宗教的な感慨を与えてくれます。この作品はモーツアルトやブラームスの「レクイエム」、ベートーベンの「ミサ・ソレムニス」などの傑作とはまた一線を画した、グノーの逸品です。
 
 演奏はかつてEMIから発売されていたジャン=クロード・アルトマン指揮、パリ音楽院管弦楽団(61年録音)のものが録音とともに優れたものでした。ここではソプラノにピラール・ローレンガー、バスにフランツ・クラスを迎えてアルトマンがこの作品の持つ宗教性と劇性とを兼ね備えた名演を繰り広げています。(残念ながら現在では廃盤になっています)また現在輸入盤で手に入る演奏ではイーゴリ・マルケヴィッチ指揮チェコ・フィルのものがありますが、この演奏はマルケヴィッチ畢生の名演と各方面から激賞されたものです。
 
 今日は「聖チェチーリア荘厳ミサ曲」から「キリエ」、「グローリア」、「クレド」、「サンクトゥス(ベネディクトス)」、そして「アニュスデイ」」をお送りします。演奏はNorman
Reintamm.指揮、the Cathedral Bluffs Symphony Orchestraです。それではお楽しみくださいね。
 
 
 
「キリエ」
 
 
「グローリア」
 
 
「クレド」
 
 
「サンクトゥス」
 
 
「ベネディクトス」
 
 
「アニュスデイ」
 
 
 
Recording of the Kyrie of the Saint Cecilia Mass (Gounod), featuring the Cathedral Bluffs
Symphony Orchestra, University of Toronto Scarborough Campus Concert Choir with
Ensemble TrypTych (Chorusmaster- Lenard Whiting).
Soloists: Victoria Medeiros (soprano), Lenard Whiting (Tenor), John David Jasper (Baritone).
Conductor: Norman Reintamm.

This live concert took place at the P.C. Ho Theatre of the Chinese Cultural Centre in Toronto, CANADA on March 10, 2012.
 
 
 
 
 

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2015/6/27(土) 午後 8:32 [ maskball2002 ] 返信する

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