輝きの時 "Carry Out Your Life !"

今、生きることを考えてみませんか

全体表示

[ リスト ]

 
  今晩は、1月17日で阪神・淡路大震災が起こってもう21年を迎えようとしています。月日の経つのは本当に早いものですが、この間に被災された方々のご苦労は言葉では簡単に言い表すことのできないものでしょう・・。また亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

 今日は敬愛する音楽家、ハインリッヒ・シュッツの傑作、「十字架上の七つの言葉」を紹介することにしましょう。 

 「十字架上の七つの言葉」を知ったのは十代も終わりの頃、ちょうどその頃にコロムビアからウィルヘルム・エーマンの指揮するシュッツの作品が廉価盤(レコード)シリーズで発売され、古楽好きだった私はすぐに何枚かを購入しました。「葬送の音楽」、「ヨハネ受難曲」、「クリスマス・ヒストーリエ」、「クライネ・ガイストリッヒ・コンツェルト」等々、いずれもがドイツの「音楽の父」と呼ばれるシュッツの作品の素晴らしさを十全に伝えてくれる演奏で、若き魂がシュッツの精神との出会いを深い感銘を持って生命に刻み込んだのを記憶しています。 

イメージ 1
 私が最初に聞いたシュッツの作品は「葬送の音楽」と「十字架上の七つの言葉」でした。(「十字架上の七つの言葉」はコロムビアのシリーズとは別に購入して聞いたものです)しかし、初めに孤高の厳しい精神と信仰心で「死」と対峙した「葬送の音楽」と、それとは対照的に温かい大いなる高みから彼の円熟した作曲技法でイエスの「死」を描いた「十字架上の七つの言葉」を聞いたことは、私にとって幸せでした。厳しい音楽とばかり評価されがちなシュッツの作品の、厳しさと優しさの両面に作品を通して触れることが出来たわけですから。「十字架上の七つの言葉」のゴルゴダの丘で十字架に付されたイエスのドラマを、晩年のシュッツがイエスを抱擁しながら、その死を慈しむように音楽で表現し得たことに大きな感動を覚えました。爾来この曲は今でもシュッツの作品の中で最も愛着しているものの一つです。
 
 「十字架上の七つの言葉  "Die Sieben Worte Jesu Christi am 
Kreuz"」 SWV 478はハインリッヒ・シュッツ(Heinrich Schütz, 1585年〜1672年)が円熟期に差しかかった1645年頃の作品です。テキストはマタイ、マルコ、ルカ、ヨハネのそれぞれの福音書から採られており、カッセルの図書館の写本には次のように記されています。「我らの愛する救い主、イエズス・キリストが聖なる十字架で述べた七つの御言葉。ザクセン選帝侯楽長ハインリッヒ・シュッツ、極めて感慨深くこれを作曲」この言葉が示すようにこの作品はシュッツのあらゆる円熟した手法と音楽語法そして信仰心が結晶した傑作となっています。
 
 「十字架上の七つの言葉」は次のように極めてシンメトリーな構造を採っています。

 
1、導入・イエスが十字架に付き(合唱)
2、5声部のシンフォニア
3、独唱と合唱 人々がイエスを十字架に付けたのは(福音史家、イエス)
4、5声部のシンフォニア
5、終曲・神の殉教者を敬い(合唱)

 
 これを見ても分かるように最初の第1曲と終曲第5曲は合唱、第2曲と第4曲はそれぞれに5声部のシンフォニア、そしてその中央のこの物語の中核のドラマにあたる第3曲では、福音史家(ソプラノ、アルト、テノール、バス)やイエス(テノール)によって歌われていき(演奏時間の半分ほどはここで費やされます)、イエスのパートは特に威厳を持った「音の光背」とも呼ばれる、弦楽による3重奏が伴奏として用いられています。
 
 この作品を初めて聞いた19歳の頃、冒頭の「イエスが十字架につき」の合唱を聞いて既に私は作品の余りの素
イメージ 2
晴らしさに思わず頬に零れる涙を拭うのも忘れていたことを思い出します。シュッツの作品は厳しくその精神性の深さが、近寄りがたさを感じさせると思われている方も多いことでしょうが、この「十字架上の七つの言葉」のイエスを見つめるシュッツの温かい眼差しは聞く者を優しく包み込んでいきます!そして「エリ・エリ・ラマサバクタニ」、「我が神、我が神、何故私をお見捨てになられたのですか」この十字架上のイエスの言葉は、聞く者の命に大いなる呼びかけを持って響いてきます。
 
 演奏時間にして20分前後の作品ですが、シュッツはこの十字架に掛けられたイエスのドラマを大いなる父ー主の御目を持って音楽に描きあげました。ここにはシュッツの到達した総ての音楽語法が使われ、そして彼の厳しい信仰心によって、大いなる高みから俯眼した音楽によるイエスの十字架上のドラマが展開されていきます。シュッツの作品を敬遠されている方には是非聞いて欲しい作品です。

 今日はポール・ヒリヤー(Paul Hillie)指揮のアルス・ノヴァ・コペンハーゲン(Ars Nova Copenhagen)の名演で「十字架上の七つの言葉」をお送りすることにします。ヒリアーといえば、自ら結成したヒリヤード・アンサンブルとの演奏で有名ですが、この演奏は彼がヒリヤード・アンサンブルを脱退した後の、2009年に録音されたものです。ヒリヤーはこの時期にアルス・ノヴァ・コペンハーゲンを指揮して「マタイ受難曲」、「ヨハネ受難曲」、「ルカ受難曲」、「復活祭ヒストリア」、「クリスマヒストリア(物語)」等の名曲も録音しており、そのいずれもが優れた演奏となっています。たっぷりとした残響の中から浮かび上がって、溢れるような慈しみを持って歌われる各声部。この残響がまた神の視点から描いたイエスのドラマの客観性を一層際立たせてきます。中でも録音の良さは特筆されるべきでしょう。ここではバリトン歌手として、また古楽演奏家、そして古楽演奏の指揮者としてこれまで活躍してきた多くの経験が総て凝集され、蒸留されたような厳しくも美しい演奏を繰り広げています。それではお楽しみ下さい。








シュッツ:十字架上のキリストの最後の7つの言葉/ヨハネ受難曲(ヒリアー)
SCHUTZ, H.: Sieben Worte Jesu Christi am Kreuz (Die) / Johannes-Passion (Hillier)

ハインリヒ・シュッツ - Heinrich Schutz (1585-1672)
19:45十字架上のキリストの最後の7つの言葉 SWV 478
Die sieben Worte Jesu Christi am Kreuz, SWV 478
作詞 : 聖書 - Bible

エルセ・トープ - Else Torp (ソプラノ)
リネア・ロンホルト - Linnea Lomholt (アルト)
アダム・リース - Adam Riis (テノール)
ヨーハン・リンデロース - Johan Linderoth (テノール)
ヤコブ・ブロック・イェスペルセン - Jakob Bloch Jespersen (バス)
エリック・リンドブロム - Eric Lindblom (サックバット)
Erik Bjorkqvist (サックバット)
Ian Price (サックバット)
ユリアーネ・ラーケ - Juliane Laake (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
サラ・パール - Sarah Perl (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
レイフ・メイエ - Leif Meyer (チェンバロ)

ポール・ヒリアー - Paul Hillier (指揮)
録音: 27-29 August 2009, Garnisonskirken, Copenhagen, Denmark






.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事