|
僕が冬美にふられ、魂増先輩と冬美が付き合ってから、月日は流れた。半年ほど、過ぎただろうか。
世の中ではバレンタインというイベントが近づこうとしていた。
僕には友達以上恋人未満といったような女性ができていた。
彼女の名前は、夏木はるか。他校の女子で、3ヶ月ほど前に友人が企画したプチ合コンで知り合った。
彼女は何かとスキンシップがちょっと激しいところがあって、たまに僕を困惑させる。
要は甘えん坊さんなのだろうか。
ある日僕が教室に行くと、何やら女子達が話している声が聞こえた。
「冬美、可哀想だよね」「だよね、なんかそっとしとて良いのかわからないよね」
僕はその女子達に「雪家さんがどうかしたの?」と訊くと、女子の一人が「なんかね、魂増先輩が僧侶になる為に修行に行ったらしいんだけど、ある日冬美が魂増先輩と会った時に魂増先輩が酷い事を言ったみたいなの」
冬美に酷い事を?まさか、あの人が?僕は半信半疑になりながらも訊いた「先輩、なんて言ったの?」
そしたらその女子Aは言った。「冬美、お前と居てもつまらん。俺が一緒に居て面白いのはりかちゃん(りかちゃん人形)だけだ。だから別れてくれって言ったみたい」
りかちゃん人形?先輩は人形とかに恋をしちゃうタイプなのか?しかもそれって酷い事っていうよりかはただの痛い人ではないのか?
「しかも先輩、好きなアイドルの音声を小さなチップに録音して、りかちゃん人形にそれを取り付けてしゃべらせたらしいのよ」
もうわけがわからなかった。
わかった事は冬美がふられた事と先輩がちょっと痛い人であるという事だった。
「もう良いや、ありがとう」と言って、僕はその場を去った。女子達はポカンとしていた。
カーテンが開いていた。暖かな風がふわっと吹いた。
さっきの女子達の「きゃっ」という声がかすかに聞こえた。
他の男子の声だろうか、「今日は良い日だ」という声も聞こえた。
放課後になり、帰ろうと廊下に出ようとしたら、「あっ、良太」何やら聞き覚えのある声がした。
そう、冬美だった。
僕は冬美に「おう、久しぶり。なあ、冬美、今日帰りに映画でも観に行かないか?丁度チケット2枚あるんだ。
前に笑点のドキュメンタリー映画観たいって言ってたろ?だから、良かったら」
すると冬美は「それはあえての計算済み?」と言った。
僕は、「いや違う、違う。俺そこまで器用な事出来ないって」
「じゃあなんで誘ってくれたの?」と冬美は不思議そうな顔で僕を観た。
僕はモジモジしながら言った「だってきょ、今日はバレッタインじゃ、じゃないか」
ププッと笑う冬美が指を立てて一言「ずばり、それはバレンタインの間違えでしょう」
「丸○くんかよ」と僕はツッコミを入れて、つられて笑った。
僕と冬美は、その日久しぶりに冬美と一緒に帰った。映画館も勿論。
そんな2人の姿をカメラにおさめている人物が居た。そう、夏木はるかだった。
とてつもない修羅場はすでに始まっていた。
という訳で第4章に続きます。
|