言葉の力

生きてることのエビデンス作り

小説:そうじがかり

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そうじがかり

原案:K
文書:masukan


第0話
〜はじまり〜


雑居ビルが立ち並ぶ路地裏。

穏やかな月の光だけが僅かに大地を照らす。

「はっ・・!ハア!ハア!!」

息を切らしながら若い男がかけていく。

迷路のように入り組む細道を抜けていく。

どうやら何かに追われている様だった。


突然、道に突き出ていた細いパイプに躓いて、その男は倒れこんだ。


「ぐ・・げほっ・・・・」

男の嗚咽が漏れる。

「お・・俺が・・」

「俺がっ!!何したってんだよ!!」

切れる息を押し込むように男は叫んだが、
その叫びは彼を追うものへの牽制というよりは
助けを呼ぶための悲鳴に近かった。

しかし、夜の暗闇は男の怒声をあっさりと飲み込んだ。

ザッザッ・・・

男のやってきた方向から足音が近づいてくる。

深く息をつきながら男が振り返る。

上下黒のウィンドブレーカーに身を包み、
両手には刃渡り30センチほどの大型ナイフが握られている。

目元まで深く被ったフードから、
僅かに見えるその顔に見覚えはない。

「俺が・・何を・・・」

混乱した頭で放てる唯一の言葉を
もう一度吐き出そうとしたその時、男は見た。

フードから除く美しい青年の顔。
恍惚とした表情に男は死を意識した。

その刹那、笑顔の青年の右腕が振り下ろされた。

刃は精確に男の急所を突き刺し

辺りには赤い花が咲いた。

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