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そういえば、最近も外国人の不法入国の犯罪者集団が、トラックで銀座の宝石店へ突っ込んで強奪した
という報道を見たなと、あずさは思い出した。他にも言われてみると、最近は外国人絡みの犯罪が増えた
ような印象はある。そもそもの凶悪事件の件数が、最近の不景気とあいまって増加傾向であり、明るい話
題があまりないので、こうした事件が逆に一般的になりすぎて、気にならない状態であるのも間違いはな
い。
「そう仮定すると、土地勘も何もない連中が日本の各地に散らばって情報交換するのには、携帯電話が一
番いいのでしょうが、ネットに犯行予告的に、自分たちがこれから襲撃するエリアや時間を指定すること
で、仲間たちに情報伝達をしたのではないかとも考えられます。携帯電話ですと、何かあったときに、そ
の電波で位置を捕捉されて一網打尽というリスクもありますから。ただ、もう少し加えて考えると、もし
かして、複数のライバルのような犯罪集団があって、それぞれに自分たちの縄張りアピールのためだけ
に、わざわざ危険をおかしてまでネットに堂々と書き込み続けたとも考えれます」
そこまで一気にしゃべってから、神谷は満足そうな表情を浮かべる。なるほど、こんな朝早くから単独
でここへやってきたのは、この推理を、名探偵のごとく披露したかったからなのだなと、あずさは納得が
いった。同時に、神谷の推理も確かにあらかたの筋は通るように思われた。壁にかけられた北欧デザイン
の洒落たデジタル時計の時間はすでに午前10時を超えていた。
「となると、あの卵が各地に残されていたというのは・・・」
あずさは気になったことを言ってみた。事件の中で、それほど重要な意味があるとは思えなかったが、
そこはそれで気になる要素ではある。神谷は即答した。
「そこはわたしも気になりましたが、どうして卵を犯行現場に置いていくのか、よくわかりません。とい
うか、どうして卵を選んだのかという理由が見当たらないのです。何かのメッセージが含まれているのは
間違いないですが、それが何なのかはわかりません」
「犯行声明みたいなものでしょうか」
「おそらくそうだと思われます。自分たちの犯行だということを世間に知らしめるための、儀式みたいな
ものだと思います」
儀式という神谷の言葉に、あずさは不思議とひっかかりを感じた。違和感のある単語だった。
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