他事奏論

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 別に狙い打ちするわけではないが、TV朝日の社員数は1124名だそうである。ここに正社員のみな

らず、準社員などがどういう内訳で存在していて、外部の関連会社が総勢で何名かは知る由もないのだ

が、少なくともこの1000名全員が「ニュース報道」に関わっていることはないだろう。このうちの何

割かが報道関連であろうし、協力会社なども含めればそれなりの人数が日々の「ニュース番組」を制作し

ているのは間違いない。

 あえて大雑把に乱暴な言い方をすると、仮には500名くらいが「報道」に関わっていたとしても、実

際は技術関係もあれば美術関係もあるし、メイクやスタイリストもいるだろうから、実質的な「内容」に

関わる人間はもっと少ないだろう。おそらく、数十人単位ではなかろうか。つまりは、マスメディアとい

うごくごく限られた「業界」の中の、ごくごく限られた「TV放送局」という企業の中の、そのまたごく

一部の限られた人間のみが「報道」に関わっていて、すべてを取り決めているわけである。論理的に言え

ば、日本国民1億2000万人が視聴可能な「番組」は、わずか数十人程度の人間の「意志」で作られて

いるのは、驚きと言えば驚きでもある。

 今更何をと、失笑される向きもあろうが、我々はメディアに接しているときには、「TV局単位」や「番

組単位」で考えてしまいがちだ。たとえば(本当に、たとえばなので、他意はない)、「フジテレビのバ

ラエティはおもしろい」とか、「○○○とかいうニュース番組はつまらん」とか思ってしまうことはない

だろうか。それはそれで、何も間違ってはいないとらえ方である。ただ、その「放送局」なり「番組」な

りで、そういう中身にしてしまった「個人」たちが必ずいるのである。それはマスメディアという全体の

枠組み、ないしは当該放送局の中でも、「ごくごく限られた人数の者たち」であるのは確実だ。我々が

「意見を言いたい」とどんなに望んでも、自由に放送させてもらえることなどないのだ。

 その「限られた者」たちが、「国民の共有財産である電波」を使っているからこそ、放送の「中立性」

が求められるわけだが、実際のところは、そうした理念は客観的数値化でもされない限りは明瞭ではない

範囲をさまよう話であり、結果、「限られた者」たちの独占的な「番組」は続くわけである。その意味で

は、限られた人間が限られた内容の放送しかしない北朝鮮と大差はない。

 ただ、放送局も企業である限りは経営の論理、資本の論理に従わざるをえない場合もあり、視聴率が低

ければ単純に番組は打ち切りとなるではないか、とも言える。が、ここでも、「その番組」だけをとらえ

れば確かにそうではある。が、考えてみると、その番組を作っていた「限られた者」たちはどうなるのだ

ろうか。協力会社や制作会社は切られて終わり、だろう。が、おそらく、「こういう内容でこういう方

針」と決めていた、TV局内部の「社員」は残りつづけるのである。つまり、番組という看板はなくなっ

たところで、「作っている人間」のDNAは残るのである。大幅に報道局の人事異動でもすれば別だが、

あるニュース番組が終わったとして、報道部政治記者から経済記者まで総入れ替えする事はないはずだ。

したがって、結局、「ニュースABC」という番組が終わったとしても、作り手側はほぼ変わらず、「ニ

ュースDEF」というのが始まったりするだけなのだ。

 つまり、「限られた者」たちは残ったまま、その体制は続いていくことになる。仮に経営トップが代わ

っても、「報道部」メンバー総入れ替えにはならないし、その番組が終わっても、リニューアルした番組

で「あれ、またこのキャスターかよ」というパターンもしばしばある。

 では、この「限られた者」たちによる放送・報道のどこに問題があるのだろうか。国民全体に奉仕する

必要があるのだが、現実的にはそうではなく、「特権階級化」してしまっている傾向を否定できない。

「エリート化」と言ってもいいかもしれない。


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まてりん
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