まてよ?のひとり言

屋上淵から滴る雨滴が窓枠にあたってタコタコ音が気になります

全体表示

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

炊き出しに行っていた母があと一釜炊くつもりだったが、偵察機がきて危ないのでやめるよう在郷軍人に言われ帰ってきた。

美津子は口も聞けぬほど弱っていて、炊き出しの時はよそのおばさんに預けられていたらしく私は見ていなかった。

偵察が去ると間もなく夕暮れになり、山頂は強い風が吹いていた。回りは灯りもなく闇に包まれ山下の柳が髪でも垂らしたように、ゆらりゆらりと揺れて見え不気味だったが対照的に穴の側だけ賑やかだった。

「あっ、火が見える!」

すっとんきょうな少年の声につられ私も行ってみると、いつも偵察機のさる方向だった。少年の声に周りの人達も集まり出した。昼間は見えない炎も夜の闇にくっきりと映し出され火は私達の町興安の方だった。火はどんどん広まっているのか大小の火が風に煽られ火の粉までぱっと舞い上がって、町は火の海と化してみえた。

ああもう帰る所はなくなった。住めなくなったんだと感慨無量でながめていた。

「よく燃えてますな」

「相当奴等は荒れてますなこりゃ」

大人がぽつぽつ話す隣で私もじっとわが町の火を見ていた。時々上がる火の粉はどこかの建物が崩れ落ちたのか、さらに火の粉が高く舞い上がった。

「あれじゃ我々の望みはなくなりましたな」

「まあ一からやり直すなら、戻っても仕方がないですな」

 父はトランクを持ってきた時母とちょっと話しただけで、またどこかへ行ってしまったままだ。

燃え狂う火を見ながら自分なりに友達とももう会えなくなるんだとおもった。自分が育ったわが家の間取りや広い裏庭、学校の校庭スチームの煙突全てが思い出される。あっ、そう言えばひよこ達どうしてるかな、ちゃんと食べて巣に戻ってるかな。夜の静けさに紛れ遠くで何度か小さな炸裂音が聞えていた。

冷え込みも始まり私も母の所に帰ると、

「母ちゃん、俺たちの町が燃えているの見た?」

「美津子の世話で見ちゃいねえよ」

「いま町中が燃えてるのがよく見えるよ。おじさん達はもう戻れないって、言っているよ」

「そんなに燃えてるんかい、あとで見てみるよ」

雨が降らなかったので湿度もなく人の体温で寒さは感じなかった。入口は柳の枝で塞がれあれこれ考えているうちにいつしか寝ついていた。

何時頃だったか腰の当たりが冷えて小便がしたくなり目が覚めた。暗い中で周りを見るが人の寝息だけで起きてる人は誰もいない。外は真っ暗で入口を塞いだ柳の葉がさらっさらっとなびく音に気味が悪くて立てなかった。誰かが起きるのを待とう、と待つが五分、十分たっても誰も起きない。やっと一人のおじさんが起きたのを見て私は急いで後に続いた。

外に出た途端冷たいそよ風が頬をなぜる。急いで町の方角へ向かい尿を放出する。我慢は限界に達していたため最高に気持ちがいい。用を足しながら町を眺めると、炎の勢いはやや下火になっている。それを見届けると直ぐ寝ぐらに戻る。うつらうつらしているうちにおばさん達の声で目が覚めた。弟達はまだよく寝ていた。人の足を踏まぬ様に慎重に外へでる。朝の深い霧で外は全然見えなかった。

私は両手を大きく広げ深呼吸をしてみた。穴の中は寒くなかったので熟睡して気分良好人々も次々に穴から出てくる。

「お早う。お早う」

笑顔で挨拶が交差する。帰るところを失った同じ境遇の仲間同士の挨拶だった。柳の木の下ではおばさん達の朝の炊き出しに大わらわであった。

朝の霧も次第に晴れてくるとつい町の方を見てしまう。遠くの家から出る淡い煙や川の罫線がずっと続いて見える。たしかその川下の当たりに飛行場が有るはずだ。でも霧が邪魔をして遠くを見るのは不可能だった。

今年の春の遠足に、母の作ってくれた日の丸弁当を持ち飛行場見学に行った。運よく兵隊さんに機内の座席に座らせてもらいボタンの説明や簡単な操縦法を教わり、私は頬を赤く染めて聞き入り飛行機の素晴らしさを知った。

 次の日、遠足に行けなかった学友に少し法螺が吹きたくなった。

「おい、お前は飛行機に乗った事があるか?」

「ない」

「そうだろうな、俺は乗せて貰ったぞ。ゼロ戦より大きかった」

「へえー、凄いな。そしてどうした」 

「うん座席は二つあって右座席に俺が座ってな。左座席に兵隊さんが乗り舵を握って操縦してくれたんだ」

「ふーん、気持ちよかったろうな」

「そりゃ気持ちよかったぞ。だがな空はでっかく見えるが窓が高くて下を見たくても見えないには参った」

「そりゃそうだろう、だが着陸体制に入れば陸地は見えただろう?」

「それがなぁ、操縦席から出るまで陸地が見えんかった」

「そんな馬鹿な、お前本当に乗ったのか」

「疑るな乗ったのは本当だ。誰が飛んだといった」

 友はちょっと、きょとんとしていたが、

「この野郎引っ掛けたな」

「アッハハハ、誰が真面目に聞けといった」

 いつの間にか他の学友も聞き入り大笑いだった。

町の方は火の消えた後のような煙だけが立ちのぼって見えた。

最初に着いたウラハタで私は父の姿を見てないから、父はまだ一睡もしてない事になる。

 洞穴の麓の柳の木影に据えられたかまどで、婦人会員として母をふくむ十五人位で何か炊いていた。夕方とはいえ暗くなるにはまだ大分間があり、穴の外で子供達は遊ぶ場所を見つけた。私も交へたちまち十人位の仲間が出来た。中の一人が、

「おい皆、あの部落へ行って見ないか」

ここに着いた時の部落はしーんとしていて誰もいないようだった。私たちが山に陣取ってからも人の姿は見ない。恐らく危険を察し避難したのだろう。

「何か静かで気持ちが悪いや」

「何だ怖いのか」

「行きたくないよ」

「行きたくない奴は残れ。君は行くか」

「勿論だよ。面白そうだから」

「よし、いこう」

ぐずっていた連中もいざ行くとなったら一斉に山を駆け下りた。おばさん達の横を駆け抜けるとき焚物の湯気が顔に当たりご飯の匂いがした。部落の門は開けられたままだった。

「君たちはそっちから行け、俺たちはこっちだ」

部落の庭は草もなくきれいに整備されている。その両脇に十軒ぐらいずつ同じ作りの家が並び、皆何かを期待するように戸口からそうっと覗き始めた。

「何だ、つまんねえな。何もないや」

「こっちもだ」

何もないと分かると皆強気になってきて、がやがやしながら二軒目から三軒目に移った。すると右側の方の入口で何かを見つけたらしく皆その場に立ちすくんでいた。

「どうしたんだ何かあったのか」

 仲間の一人がにやっと笑って中を指でさす。何だろう?と思って後ろから覗くと、

「骸骨だ」

「骸骨?」

 頭が邪魔になってよく見えない。背伸びをして見ようとしたその時、

「イヒヒヒヒ…」

「ウワァ」

途端に仲間は悲鳴を上げ逃げ帰ってしまい、私もつられて逃げようと思ったが怖いもの見たさに踏み止どまった。そうっと入口に立って見ると腰より高い土床に、薄い布団と毛布で腰を巻いた骨と皮の骸骨そのものの男がいた。髪の毛のつやで若い奴だと思った。側に食器二つと湯飲みがあるだけ。家財道具は何も無いが病気の神様か、頭の上の壁に掛け軸がぶら下っていた。

歯だけ白い青い骸骨は黒い唇からまたも、

「イヒヒヒヒ」

 震えた細い手が手招きをしている。

「ヒ…リャンスイ、ケケーバナナナーベンユ」(水が欲しいそこにある)

もう立つ気力もないようだ。ゆらりゆらりと指を刺す。意味は分かるのだが、気味の悪いのと可哀相なのが交差して結局逃げ帰ってしまった。

山の上まで駆け上がると、婦人会のおばさん達が入れ物から白いお結びを配り始めた。

「ほら僕たちご飯よ。取りにきなさい」

満ちゃんは潔の手を取り順番に並んでいる。私は嘘は嫌いだが悪戯は大好き、知らない奴の間から隙を見てさっと手を出した。貰うや急いでトランクの影に隠すと直ぐ戻って弟と並び澄まして、

「満ちゃん、俺の分も貰ってくれよ」

「駄目だよ。各自二つなんだから」

おばさんは気づかずまた二つくれる。誰もが自分の分を貰おうとしていたので、私の行動に気づいていなかった。

兄弟三人は荷物の所で地べたに腰を下ろし食べ出した。朝食べただけで何も口にしない私達には、塩味だけだが炊き立てのお結びの美味しい事といったらなかった。

「あっ兄ちゃん、まだお結び有るの?」

「こらっ黙ってろ、それはチビの分だから」

潔はいつの間にと不思議そう。私は澄まして三つ食べ一つだけチビにやって、ああもっと食べてもいいけどなと思った。

それから間もない六時に近い頃だった。またも微かに響く爆音の音を私は捕らえていた。誰かが、

「敵機だ!」

 と叫ぶ。近くの人達は慌てて穴に逃げ込み、用意された柳の枝で入口を塞いだ。

「こらっ坊主そんな所にいるな。敵に悟られるぞ」

大人の人に注意されたが、敵の偵察はいつも一機、私達の行動は手に取るように見られている。音はすれども機影は見えずで人の迷惑も考え穴の入口のよく見える場所に陣取った。

「こらっ、そんなに頭を上げるな」

 またさっきの人かうるいなこの親父、心の中で反発しながら上にばかり気を取られていた。ところが山の高さと水平を保ち左より右へ横切る偵察機の姿を一瞬に捕らえた。

 その行動は我々をあざ笑うが如く、機首の窓から身を乗り出すようにするパイロットの姿がはっきり見え、飛行帽の眼鏡の間の高い鼻まで見えた。

行動範囲やねぐらまで心憎いほど的確に捉えている。目の位置より低い低空で偵察すると、そのまま機音はかなたに去っていった。

 さて私たちはそのようにして逃避行を続けていたが、当時の満州は後になって次のようだと聞いた。(一部は新聞報道による)

軍隊や軍関係の家族は汽車やトラックで町の住民には極秘の撤退命令が出されていたという。軍は住民の守りを官庁にていよく押し付けてしまい、旗公署では興蒙対策と言う策を練ってそれに基づき興安街の住民を東西に分け、西区域は高綱隊が当たり七生報国隊は東区域で浅野良三参事官が任に当たっていた。最初は、オンドールと言う地点へ避難の予定だった。

しかし指定時刻の集結も馬車の調達も思うに任せず、止むを得ず出発は徒歩に頼るしか無かった。

 ウラハタで一夜を明かすが、興安街は既に暴徒の反乱、後方の戦局は極めて悪い情報ばかり。オンドールへ一千数百人の婦女子を徒歩で誘導しながら百キロは無理と判断、急遽変更し行き先を葛根廟(カッコンビョウ)駅より南下と決め、使者を白城子駅へ送り葛根廟へ列車を回すよう手を打ったと言われている。

ところが無断で百五十名ばかりの集団が、先にオンドールを目ざして出発してしまった。それを知った浅野参事官はびっくりして直ぐ戻るよう指令を出したという。そのため進行はさらに遅れ少しでも先へと山の洞穴へ進めたのだった。

 こんな大きな穴を誰が掘ったのか、大人の話でも尋常高等生が掘ったとか、いや軍隊だ、部落民、他に軍官学校の生徒に掘らせたのだと諸説あって、どれが確かかわからなかった。

やがて回りのざわめきや話し声に目が覚め、海老のように曲げていた身体を起こした。窓に朝日が当たり昨日の雨が嘘のような天気だった。

でも大人の人達は皆生気のない腫れぼったい顔をしていた。起きて気づいたのだが入口の寒いところだけ男性ばかり寝ていた。床が外套の水分を吸ってくれ体温で着ていた物はほぼ乾いている。あれだけ雨に打たれてそのまま寝たのに、風邪一つ引かなかったのには自分ながら感心した。

 外へ出るとからっとした眩しい程の朝日の当たる十二日の朝である。

「宏生ご飯だよ」

母に呼ばれると家を出る時に急ごしらえのお結びが床に広げられていた。形の崩れた割り当を貰うと食べながら外へ出た。家に入る事を許されていないチビは外で私を待っていた。

「あっしまった。お前もお腹がすいてたんだよな」

「はい、そうでございますよ。ご主人さま」

そう言わぬばかりの大きな目で訴え、座ったままで両前足を上下し、おあずけの姿勢で私を見つめる。

「あのなチビ、お前の分ないからこれやるよ」

お結びの残りをやるとチビは満足げにほおばった。私は改めて馬鹿でかい昨夜の宿を見直した。

建物の横にある空地には在郷軍人の人達が集まり、地面に何か書きながら相談中だった。それからしばらくして、避難者の統制を計るために避難民の集団は一区から七区の中隊に分けられて呼ばれる事になった。

 後から一中隊は官公署関係、ニ中隊は建国区、三中隊は大同区、四中隊は康徳区、五中隊は興農合作社、六中隊電々会社関係、七中隊は不明となっていた。

またアルシャンかチチハル方面から列車で疎開中、私達の町が安全地帯と思い込み途中下車した人達を七中隊に配属したとも聞いた。

これを称して「興安七生報国隊」と命名された。私が母の所へ戻ると皆がやがやと配属の事で話しているようだ。

「母ちゃん、俺たちは何中隊だって?」

「四中隊だとよ」

「ふーん、後ろの方だね」

それだけ聞くとまた外へ出た。出発の時間はとっくに来ているはずだが、在郷軍人の人達は動こうとせず何人かが集まって何か相談していた。

 日は高く上っているのになぜ出発しないのかちらっと思ったが、じっとしているのが嫌いな私はその辺を歩く事にした。

大きな建物は四つ五つも見え、軍の支配下に相当数の日本人が住んでいた模様だ。地名はウラハタと知った。

 左側に見える差ほど高くない山の麓に人家が軒を並べて見えた。歩く先の家の前でおじさん達が数人固まり、腰を据えたまま何かを眺めているのに気づき、何かなと思って近寄よると、

「何かの倉庫のようだな」

「わしもそんな気がするね」

 狭い階段が下に向かい地下に何かがあるようだ。

「恐らく民間のものじゃないですな」

「わしも軍用物資が保管されていると思うな」

「あれだけの錠前だ。何かあるかも知れぬ」

「もう軍は撤退しているんだ、開けてみるか」

  一人の在郷軍人が下りていくと錠前の裏側を刃物でこじ開け始め、しばらく見ているとことっと錠前裏が壊され大人達は中に入って行った。

 私は罪悪感に駆られ行かずに見ていた。でも中に何があるのか何が出てくるのか大いに興味があった。

五分と立たぬ間に抱えて出てきた物は一キロ入りの森永ドライ粉ミルクだった。美津子が飲む練りミルクと粉ミルクの栄養の違いをもし知っていたとしたら、よいも悪いもあったもんじゃない、勝利品でも勝ち取った気持ちで真っ先に行って取ってきたに違いない。しかしその時の私はまだ良い子になり過ぎていた。

話が広まったのかさらに在郷軍人の人達の出入りが激しくなり、なかには二缶も抱えて出る人もいて、持ち出しが派手になってきた時一人の満人が慌てて走ってきた。

「ブーシン、ブーハオ」(駄目だ。宜しくない)

 と聞こえ私は直ぐそこを去った。他の建物でも二本のドラム缶を外へ出し、衣類を引き出し自分達の身に宛てている。見るだけ見てしまったがまだ出発の気配はない。

 日本人を敬遠してか満人はほとんど姿を見せず、遠い距離から時折姿を見かけるだけだった。

この建物の裏の住人達の家は一風変わっていると思い直す。蒙古人の村なのか家が不揃いだった。長屋式や高いのや低い家もあり尖った家も見える。

普通満人の家は練った土で作られ屋根は少し丸みを帯びている。一年に一回土で屋根の塗り替えをする。厚くなり過ぎ天井が落ちた話も聞いた。

私が五才の頃、ツーリョウ(通遼)と言う所に住んでいた。はす向かいで毎日のようにどかんどかんとパァオミーファと呼ぶ玉蜀黍を爆ぜていた。その「どかん」が見たくてよく行って見ていたものである。

 その行程も面白い。フイゴーといって足で踏んで風を送り火を起こす、直径四十センチ位の丸い圧縮釜をくるくる回しながら焼きあげる。計器が付いていて時間になると掛け金を外し金網の中に流す。その掛け金を外した途端物凄い爆発音が起こる。

その日は玄関に座って聞いていた。どかんと音がしたので見るといつもと違う土煙が上がり入口からも煙が吹き出した。

 事故だ!と子供心に直感し急いで父に知らせると父はスコップを持って走って行き満人を助けた。彼は傷一つ追わず土だらけになって出てきたという。私が後で行って見ると天井は落ちぽっかり穴が空いてそこから青い空が見えていた。

どうした訳かのんびりとした出発となり人々はおもむろに立ち上がる。日は大分上りもう九時頃だろう。私も母の所へ戻った。チビは私を見つけ嬉しそうに尾を振りながら目をくりくりさせている。

「母ちゃん、出掛けるらしいよ」

「分かってるよ皆出る支度をしてるもの。潔ほら行くよ。先の人は出だしたかい」

「まだ出てないけど何でこんなにゆっくりしてるのかね」

「そうさあね…」

 全員揃った所で一中隊から歩き出した。愛犬チビも「さあ参りましょう」と嬉しそうだ。

「さようなら一夜の宿よ」

心の中で叫んで家を後に歩き出す。眩いばかりの朝日が今日の一日を保証してくれるだろう。出発の遅れで日差しは強くなり、荷物を持ったり背負ったりして歩くおばさん達は大変だ。子供の手を引く人はなおさら大変歩幅の狭い子供等の足で大人と一緒に歩くのはどだい無理なのだ。

 今は道路も平坦地ではなく草原を上がり下がりしながら進んでいた。強い日差しから隠れる日蔭がない。何せ山も草原も木が一本も生えていないのだ。昨夜の雨はどこへやらあんなに嫌だった雨が恋しくさえある。

「さあ頑張ってここを過ぎれば下りだぞ」

在郷軍人の人達が励ましの声を掛けていた。でも誰も手伝ってはくれない、男性の数が少なすぎ自力で頑張るしかないのだ。私はリヤカーのパンクのお蔭で身軽だったが厚着でむんむんしていた。

母と弟達はいつもぴったりくっついていたが、私は一緒に歩く事はなくいつもどんじりで見守る格好だった。草原地帯の道は曲がりくねっていたが時折吹き下ろす山頂からの風が気持ちよかった。

ある山の麓のくぼみで一度休息があった。ピクニック気分で家を出たがあまりの落差に気持ちが沈んでいた。その時遠くの方で何かを破壊しているようなどかんどかんという音が聞こえてきた。一体何が起きているのだろう。私たちの出てきた町は今どうなっているのかな?何か異変が起きている。

 父達は今橋を死守して戦っているのだろうか、頑張って行けと別れた父の顔が浮かぶ。今のところ何の噂も出てないので、無事である事を祈るのみだった。

休憩が終わりまた全員歩き出す。広々とした少し上り坂の草原を歩いていた時突然、

「皆隠れろ!」

という在郷軍人の叫びにはっとして近くの草に伏せてみたが、隠れろと言われても隠れる場所はどこにもない。頭上からは丸見えである。そこへ一機の偵察機が来て悠々と二回旋回すると、何の攻撃もせずもと来た方向へ去って行った。

 十二日午後二時頃の事である。町の空襲後の最初の偵察で私達のその後の様子を探りに来たようだ。地に伏せる転々とした我々の姿は上から見れば胡麻塩のように見えたであろう。

火事になって慌てて水をかぶるように、偵察機から見難いよう慌てて体の回りに草を付ける事になった。私は弟に、

「満ちゃん後ろの方に草を付けてくれよ」

「後ろのどこに付けるの?刺す所がないよ」

「襟首とかどこか穴はないか」

「襟なんか刺しても直ぐ抜けるし他に穴なんかないよ。どこも破れてないもん」

 結局草も編めないし私達は申しわけ程度に帽子の縁に差し込んで、

「満ちゃん行こう。母ちゃん大分先に行っちゃったぞ。チビ行くぞ」

私は走り出した。チビは小さい癖に走り出すと私より速い速い。

その後は暑さの闘いで何事もなく過ぎたが、実は朝食べたきりで腹はぐうぐう鳴いていた。午後四時頃草原に道が現れ左側に土塀に囲まれた部落についた。

 そのまま部落に入るのかと思ったらそうではなく、右側に見える山の中腹に二ヵ所の穴があり、表面は削られて粘土色の壁が見える。私たちはそこまで登り大きな入口に立った。どうやら山に掘った洞穴らしい。

「わー大きな穴だな、天井も高いや。母ちゃんどこにする?」

「この辺でいいよ、入口に近い方がいいから」

私たちは入口から四メートルと離れない右の奥に陣取った。今夜のねぐらは決まりさてこれから何をやろうかなと、思っていた時、

「あっ父ちゃんが来たよ」

 潔が先に父を見つけた。父がいつも旅行に使う皮の旅行かばんを持ってきた。

「父ちゃん、そのかばん持ってこれたの」

「あんた、荷物取りい行ったんかい」

「父ちゃん、あの橋に残るんじゃなかったの。もう残らなくてもいいの?」

 と矢継ぎ早の質問に父は

「ああ、町の人間が出た後で警戒に当たっていたが、軍隊がいるならともかく軍隊もいないこの小人数で太刀打ち出来る見込みはないという意見で、それより家族達の警護に従事すべきだとなってな。ではこの橋はどうするということになり、いずれ敵もここを渡ると見て爆破すべきだとなった」

「じゃ、橋は壊しちゃったんかい」

「いや壊すという意見とそこまでする必要はないだろう。家族が帰るようになれば橋は必要だと、意見は二つに別れ結局橋はそのままにする事になった」

「それで、父ちゃんかばん持ってきたの」

「うん、残った連中は直ぐ家族の後を追ったようだ。父ちゃんは一旦家にかえって板で戸締まりをしてから、町を出る途中宏生のいってた場所でトランクを持って来た」

 父はちょっと話をしただけでまた出ていった。

大人の人の立ち話から嫌な噂を聞いた。興安在住でただ一人トラックを持つ安田と言う人が、避難者の食料確保に四人で町に戻ったらもう暴動が起きていて二人は殴り殺され、後の二人は命からがら逃げ帰ったという。また薬局のお爺さんは意地っ張りで、町に住んで二十年だわしは逃げんと頑張って残ったが、暴民の恨みをかい殺されてしまったという。

 神社の神主さんは家族を逃がすと、神社に火を放って切腹をして果てたらしい。父が家に戻った時は町はすでに非常に危険な状況だったのだ。

暗 夜 の 逃 避 行

真っ暗で三メートル先も見えない。でも近くの人の足音で、母と離れていても別に怖くはなかった。その足音を頼りに追いついては母の姿を確かめていたが、遅くなった私を母の方から待っていてくれた。

「何してたんだい遅くなって」

「橋の所で父ちゃんに会ったんだ」

「まぁ父ちゃんにかい。母ちゃん暗かったんで在郷軍人の人達がいたのを見たけど、父ちゃんがいたなんて知らなかったよ」

 父に言われたことを話しながら歩いていたとき、先の方で、

「ここで少し休息するぞ」

 と声がした。私たちは草の上に腰を下ろす。町を出て初めての休息だった。

「何だか変な空だなあ朝はあんなに晴れてたのに」

「雨が降るかも知れないね」

 と満ちゃんが言った時、

「何て事だろうね。今休んだと思ったら本当に雨だよ」

 と母もがっかり。降り出した雨は次第に強さを増し立ちあがるしかなかった。

「宏生、美津子に雨が当たらないか見とくれ」

 私は直ぐ後ろに回り毛布を被せ、

「大丈夫だよ」

私達は五分と休めず歩き出すしかなかった。降り出した雨でそこは完全に漆黒の闇となり、道らしくない道を歩いていた時は、十一時を過ぎていたと思う。

草の生えた畦道にともすれば道を外れたのではないかと立ち止まり、人の足音を頼りながら不意に現れる黒い人影を追いかけ進むしかなかった。

雨に打たれ、その雫が帽子から首筋へと伝わり身体の中へと染み込んでいく、外套も雨水が染みて重さを感じだした。ズボンから伝わる雫は靴の中へと流れ込み歩く度にくちゃくちゃと音がする。

雨傘を持つ者は一人もなく皆濡れネズミで黙々と歩き続けていた。帽子の無い人は厚い布で頭を防ぎ母もそそうしていた。美津子は母の背にもたれるようにおぶさっているが、恐らく胸の辺は水でべとべとしている事だろう。

「美津子は、きちゅい、きちゅいね」

 元気づけるように母は歩きながら呼びかける。

「きちゅい、きちゅい」

 美津子も答える。弟二人もチビもおとなしくついてくる。その姿をいとおしく思う。町から落ちのびて来たのだろう。五十人位の満人の一団を見た。

 彼等もどこへ行くのか、雨に打たれながら日本人をじっと見つめて立っていた。日本人と違い彼らのいでたちは肩幅位ある草で編んだ三角帽を被り、背中に一人用の毛布に着替えを包んだ簡単なもの、日本人のように持ったりぶら下げたりする者は一人もいない。こんな時の三角帽は雨傘の役をし日照りの時は日除けの役をして一石二鳥である。昔からの彼等の知恵の賜だった。

満人達は私達の過ぎ行くのをじっと見送っている。彼等はどんな気持ちで見ていたのだろう。今は日本人の誇りも何もなく彼等の前を黙って通り過ぎるしかない。母の背中で美津子は母を呼ぶ、

「あーちゃん」

「なんだい」

 と返事をするとしばらくは黙っているがまた、

「あーちゃん」

「何んだい」

 その母の返事で安心するのだろう。しかし、その声が最後の美津子の声になろうとは夢にも思っていなかった。恐らくぬれねずみの苦しさに助けを求める最後の声だったのだろう。

雨は止むのを忘れたように降り続き、冷たい水滴が顔を撫で夜の温度は急激に下がる。八月十二日午前一時頃だろうか。前方で何やらざわめきが起こりおこりだした。どうやら最初の目的地に着いたらしい。安堵と共に身体に活力が湧いてくる。

土地に不案内な者にとって雨の暗夜の行程はただひたすらに遠く感じた。たどり着くと在郷軍人の指図で私は母と別にされ家に入った。中は学校の講堂のように広く部屋の左側にはずらりと大きな窓があり、床は板で敷き詰められていた。

すでに大広間は超満員奥の方に点々と蝋燭の灯りが見え、人の立ったり座ったりする影も見えた。私は立ったまま自分の寝場所を捜していた。近くの人達は皆床に横たわっていて入る隙間がなかった。机の上や窓際などにも皆思い思いの格好で寝ていた。

 こんな夜更けまで起きていた事のない私は、何とか潜れる場所を見つけ割り込んで横になった。

しばらくは体を丸め寝よう寝ようと思うのだが、体中が湿っぽくてなかなか寝つけなかった。おまけに周囲は異様に人いきれと体臭でむんむんとしている。でも雨に打たれて歩くより有難いと思った。外套を着たままの床は濡れ雑巾を置いたようにべっとりとしている。身体が温かくなるにつれ気持ち悪くなり、乾いたところを探して隙間から隙間へと転がっていたが、いつしか疲れも手伝って深い眠りに引き込まれていた。

姿 の 見 え ぬ 父

破片から戻るとき在郷軍人のおじさんが仲間と話しているのが聞こえた。

「いや、あの時はびっくりした。その時わしは駅の方から歩いて郵便局の前を通っていた矢先でね。空襲の中だろう。わしはどこか身を隠す場所は無いかと、捜しながら歩いていたが、なにか頭の上でヒュルルと言う音に気が付いて、はっとその場に身を平伏してね。爆弾は五メートル位先に落ちたが物凄い爆音と爆風が一緒になって、殺られたと思ったんだがはっと意識が戻って頭を持ち上げると、からだじゅう土が盛り上がっていてね。起き上がって見ると傷一つ追ってなかったには自分でも驚いたよ」

「奇跡でしたね。そんなに近くに落ちて無傷とは」

「運命なんて考えた事もなかったが、これが運だと思ったよ。ハハハ…。助かったのが不思議で穴の地形を覗いて見たら、穴の斜面は大体三十五度位かな。伏せていた位置が死角内に有った事が…」

私は授業の時に使った分度器が脳裏に浮かんだ。話しの続きを聞こうと思ったが母の方が心配になり引き返した。途中おばさん達が、

「遅いわね、いつになったら来るのかしら」

 と自動車の事を話していた。昨日小俣さんのおばさんが、子供や年寄りは自動車で避難だと聞いた時は本気で喜んだ。でも今は望みなしと思った。軍隊は皆自動車を持って行ったと聞いたし、もしあったらどんどん運び出してるはずだと思った。

闇夜の道路に立っているのは日本人ばかり、でもなぜ父だけ姿を見せないのだろう。

「何も来ないのになんで待っているのかね?」

「おそらく話が纏まらないでいるのだろう」

 母の側で話ながらまたしはらく待ったが、八時はとっくに過ぎていただろう。

「母ちゃん、誰か知ってる人に会った」

「誰にも会わねえよ。こんなに暗けりゃ誰が通ってもわかりゃしねえよ」

満洲の夏は凄く暑い、それなのに夜はどんどん冷えて凄く寒い。これを大陸性気候と言うのだと教わった。私は二枚の重ね着の上に学生服、その上に外套を纏っていた。靴は運動靴、帽子は運動帽に戦闘帽、さらに防寒帽と三つ被っていたが別に暑さは感じない。

時間が経つにつれ話し声も低くなり、 沿道には相当数の人のはずなのに静か過ぎて気味が悪かった。八時半頃だろうか、前方の方でざわめきが起き、近くの人も腰を上げ歩き出す。

「皆が歩き出した。行くぞ満ちゃん」

 私は元気よく舵棒を握る。やっぱり自動車はこなかった。人々は遅れまいと続きだす。私も皆に遅れまいと腰を落として力を入れた。全員徒歩と決まったらしい。

「ほら満、しっかり押しな」

母も美津子を背負い潔の手を引っ張っている。道は良い所ばかりではなかった。近くに落ちた爆弾の爆風で巻き上がった土に足は取られ舵棒は振られるで、外套で包まれた身体はたちまち火照って汗が滲み出る。

後を押す弟も顔を赤くして押しているようだ。動きが止まると母は直ぐ助太刀をしてくれ、皆に遅れまいと必死で引っ張った。追い着いたと思うとまた悪路に阻まれ力を抜けなかった。

町の人達は皆両手一杯の荷物を持ち、息を切らせて黙々と歩いていた。リヤカーを引くのはわが家だけだった。夢中で引いていて愛犬チビのことを忘れていたのに気づいた。

 暗い夜道に何匹も犬を見る。どの犬も過ぎ行く人の波を半分驚きの目で見ているように取れる。なかには闇夜の空に向かって太く細く遠吠えをしている犬もいる。中には捨て犬もいたようだ。一人ならとても歩けない気味悪さだった。

両側に立ち並ぶ満人の民家の戸の隙間や物陰から、日本人の行動を探るような冷ややかな視線を感じる。この通りはわが家の庭みたいに何回も歩いているのでよく知っているがいつもとはぜんぜん様子が違う。

近くを歩く人達はほとんど女の人か子供で、男の人の姿は見えなかった。赤ちゃんを背負った人もかなり見え、水筒をぶら下げて手を引かれる子供、背中にも両手にも荷物を持つ人、リックを背負って子供を肩車に腰の回りには何やら幾つもぶら下げ、片手は荷物片方は子供と、手ぶらで歩く人は一人もいなかった。

老人や子供づれの人は本当に大変だ。荷物と両方で疲れが目立ち遅れ出す人が続出しだした。先を歩いていた小俣さんのおばさんも私達と一緒に並び出した。何とおばさんは二人の子供を背負って両手に荷物を持って、よいしょよいしょと歩いていた。母も気が付いて、

「奥さん、ここへ一緒に載せませんか」

「あらー、大嶋さんの奥さん助かるわ地獄に仏とはこの事ね。どっこいしょっと宏ちゃん頼むわね。おばさん後押しするからね」

うわー今でもきついのにもっと重くなるのか。まあいいやおばさんだもの。

「よーし宏ちゃん。押すわよ。頑張ってね」

リヤカーが動き出すとあれっさっきより軽いぞ。これならいいや。あとは舵を取られないようにすればと思ったのもつかの間、疲れた人達が次々と押し寄せてきて、

「済みません後押ししますから私の荷物もお願いします」

 と頼まれる。母は断り切れず二人三人五人と荷物は載せられていった。リヤカーの回りは後押しで人垣ができ、山積みの上にさらに上載せされなかには黙って載せて知らぬ顔で行ってしまう人もいた。舵棒の重さに気がつきタイヤを見ると今にもパンク寸前だった。驚いた私は慌てて止めて、

「駄目だよパンクしちゃうよ」

よく見るとリームはタイヤを擦っている。それでも誰かが載せようとする。

「もう載せるのやめてよ、タイヤが擦って動かないよ」

「本当にこれでは無理だわね。よし黙って載せた荷物だけでも捨てようね」

 おばさんは何個か捨てたが、まだ動かせる状態ではなかった。

「まだ駄目ね。よし皆で一個ずつ捨てるしかないわね」

皆それに従うに荷物を減らしたお陰で何とか進めそうだ。それでもタイヤは饅頭が潰れたようにひしゃげていた。

母はリヤカーを皆に任せて弟達と先を歩いていた。私は急いで母の後を追う。もうこの辺になると主の無い荷物が点々と諦められたように捨てられていた。

母の近くまで追いついた時爆破の盛り土を避けたのだが、プシュと空気が抜けてリヤカーの最後がきてしまった。

「母ちゃんこの荷物どうする?」

「どうするったってどうしようもねえよ。食べる物だけ持って置いていくべ」

パンクだと分かると皆それぞれの荷物を持って何も言わずに先に行ってしまい、リヤカーとわが家の荷物は取り残された。

父は最初の空襲の後ちょっと家に帰っただけで、今もって行方が知れない。こんな時の子供の思考力ではなす術はなく、母の考えに従うのみだった。

目の前に興安橋が見えてくる。ここが町との境で川に溺れたのもここだった。不思議なものでここまで来ると橋の先の道は全く知らない。

橋の向こうで覚えていたのは同級の田口君の所だけだった。田口君のお父さんは農事試験場の場長さんだ。

 道が暗くて見通しが利かないためか今夜ほどこの橋までを遠く感じたことはなかった。パンクのせいで先頭との差は大分開いたようだ。気が急いだが空は墨を塗ったような闇夜になり、興安橋渡る頃は人並みもまばらだった。気がつくとすぐ側にいるはずの母や弟の姿を見失っていた。

闇を透かして人の影を追い橋を渡り出すと、あちこちに在郷軍人が十人位立っているのが見えた。

足音はしても話し声はなく立っている一人の在郷軍人の横を抜けようとした時、たすきに弾創帯を掛け三八式歩兵銃を持った父の姿があった。

「父ちゃん!こんな所にいたの」

「おお、宏生か」

「あのね、荷物をリヤカーで持ってきたけどパンクしちゃってね。この先の爆弾の落ちた辺りに置いてきたよ」

「そうか、そんなに重い荷物だったのか?」

「うぅん、重くなかったけど皆が『載せて。載せて』って載せちゃうんだもん。タイヤがね。こんなふうになって」

 私は口より手と身体を使って表現をして見せた。

「そうだったのか。あのな宏生」

「はい。何?」

「よく聞け。父ちゃんはな皆とここに残ってこの橋を守る事になった。だからお前はな母ちゃんを助けながら皆と共に行動するんだぞ」

父は真剣だった。私の肩に手を置き目尻は少し涙ぐんでいた。

「はい、だけどどうして残るの」

「在郷軍人会で決まってここで戦う事になったんだ。母ちゃんの言う事をよく聞いて頑張るんだぞ」

「はい」

 父はさらに強い力で両肩を引き寄せた。

私は父の側を離れると急いで母の後を追いながら、なんで父ちゃん残るのだろうと納得できないでいた。大砲も機関銃も兵隊さんもいないのに。学校にいた兵隊さんが今日行ってしまったの父ちゃん知ってるのかな?橋を渡り終わると道幅もぐっと狭くなってきた。


よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

お肉、魚介、お米、おせちまで
おすすめ特産品がランキングで選べる
ふるさと納税サイト『さとふる』
話題の新商品が今だけもらえる!
ジュレームアミノ シュープリーム
プレゼントキャンペーン
ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事