|
大手銀行など農業ビジネスを拡大 新たな貸出先に
2007年07月29日03時00分
銀行が農業ビジネスに力を入れている。法人向けが中心とはいえ、これまでは農協などの独壇場だった分野に銀行が乗り出す背景には、本業である企業向け貸し出しの伸び悩みがある。豊富な金融知識と長年にわたって培ってきた厚い顧客基盤を生かし、新たな市場を開拓する。
農業向け融資で先行したのは三井住友銀行だ。大手行としては初めて、農業法人向けの無担保融資を05年にスタート。05年度は50億円だった融資額が、1年で倍増した。
銀行には農業関連の経営内容を評価する手法が整っていなかったため、専門のNPO法人と提携して、評価のノウハウ吸収に努めている。融資先は一定以上の規模の農業法人が中心だが、数千万円の取引も手がけている。
三井住友は融資だけではなく、コンサルティング業務にも力を注ぐ。資材や食品産業など農業に関連する企業の合併・買収(M&A)案件があれば、顧客基盤と情報収集能力を活用して、とりまとめを支援する。また、取引先の外食産業が新しいメニューを開発する際には、良質な食材を生産する農業法人などを紹介する。
みずほ銀行が力を入れるのは、農業ビジネスに関心がある取引先企業と農業法人のマッチング(お見合い)業務。顧客企業を、日ごろは接点がない農業法人と引き合わせ、新しい事業を始めるきっかけにする。
農村が身近な地方銀行も、農業ビジネスに力を入れる。愛媛銀行は、農業に関連する企業の支援や育成を狙った独自の投資ファンドを、昨年秋につくった。第1次産業を投資対象とするファンドの創設は、金融機関では初めてという。
投資先は四国4県の企業。今春はアナゴ養殖販売会社など2社に、合計約4000万円を投資した。さらに、20社以上への投資も見込んでいる。
農業ビジネスは、農家とつながりが深い農協や農林中央金庫がほぼ独占してきた。しかし、株式会社の参入が認められるなど農業分野での規制緩和が進み、「ビジネスチャンスがひそんでいる」(大手銀行)という期待感が、金融界に広がり始めた。企業の資金の借り入れ意欲が低く、新たな貸出先を見つけるのに苦労している、という事情も銀行にはある。
ただ、各行とも「今は手探りで取り組み始めた段階」(みずほ銀行)。顧客が望むサービスを、農協やライバル行に先駆けて提供できるかどうかが成功のカギとなりそうだ。
朝日より転載
|