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9月の住宅着工戸数、前年比44%減
国土交通省が31日発表した9月の新設住宅着工戸数は、前年同月比44・0%減の6万3018戸と、3か月連続で大幅に減り、下げ幅は前月に続き、統計データのある1965年以降で最大となった。
耐震強度偽装問題を受けた改正建築基準法が6月20日に施行され、建築確認の手続きが厳格化したことが大きく響いた。住宅建設は、資材や家具、家電などへの波及効果が大きいだけに、景気全体に悪影響を与える懸念が膨らんでいる。
着工戸数の内訳は、持ち家が同21・6%減の2万5431戸、貸家が同51・3%減の2万2749戸、分譲住宅が同55・6%減の1万4531戸となり、持ち家を除き下げ幅が拡大した。特に、分譲マンションは同74・8%減の5328戸と下げ幅は過去最大で、単月ベースの戸数では統計データのある1985年以降で最低になった。
改正法のポイントは、〈1〉木造で高さ13メートル超または軒の高さ9メートル超〈2〉鉄筋コンクリート造で高さ20メートル超――などの住宅を対象に、これまで1回で済んだ建築確認審査を、自治体などの検査機関と第三者機関「指定構造計算適合性判定機関」による二重審査にした点にある。さらに審査期間も従来の21日から最大70日まで延長した。マンションなど、3階建て以上の共同住宅には中間検査も義務付けた。
マンションなどの耐震強度を計算する際に使用する、新基準に準拠した「構造計算プログラム」の大臣認定が遅れていることも混乱に拍車をかけた。民間業者によるプログラム作成が遅れている上に、国交省の最終チェックが終わっていない。国交省は「旧認定プログラムも使用できる」と呼びかけているものの、着工後に建築基準法違反とわかると工事のやり直しとなりかねないだけに、利用に二の足を踏む業者が多い。
こうした事情が重なり、首都圏のマンション着工戸数は9月に前年同月比で85・9%も減っている。「それまで首都圏で月に7件は下りていた建築確認が、改正法の施行後は9月末までの約3か月で3件だけ」(長谷工コーポレーション)と、業者はお手上げ状態だ。
大幅に冷え込んだ住宅着工は、日本経済にも暗い影を落としている。日本総研は、「7〜9月期の国内総生産(GDP)を0・8%押し下げる」と分析する。
平屋建て住宅などについても、「自治体の担当課が、耐震偽装を防ごうと過剰に厳しい対応をする例が後を絶たない」(国交省)ことで、着工が減っている。国交省は11月中に同法の施行規則を改正し、軽微な設計変更を認めるなどして問題の収拾を図りたい考えだが、建設業界内には、「審査機関の能力やマンパワーが不足している」(日本建設業団体連合会)として影響が長期化するとの見方が多い。
国交省が、改正法に適合した技術基準の解説書を公表したのは、施行後約1か月半たった8月10日だ。構造計算プログラムの認定が遅れていることも合わせ、行政の見通しの甘さと対応の遅れを指摘する声も広がっている。
(2007年11月1日0時31分 読売新聞)より転載
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