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行員に自社株買い指示、東和銀がつり上げ狙い02年に
経営の悪化した取引先企業に対する不適切融資で、金融庁から業務改善命令を受けた第二地銀「東和銀行」(前橋市、吉永國光頭取)の上層部が2002年、株価を上昇させるため、行員約600人に自社株を一斉に購入するよう指示していたことが18日、わかった。
旧大蔵省OBの増田煕男(ひろお)前頭取(70)も了承し、買い付け資金のない行員には職員共済会を通じた融資を行っていた。株価を人為的にゆがめた形で、関係者は「企業倫理上も許されない」と指摘している。
同銀行の部長、支店長あてに出された社内通知などによると、行員による組織的な株価つり上げがあったのは02年1月15日〜22日の土日を除く6日間。全行員の3分の1以上にあたる管理職約600人が複数の証券会社に注文を出し、計約10億円で計約300万株を買い付けた。この結果、株価は当初の235円から370円まで高騰した。
1人あたりの買い付け資金は平均で約170万円になり、多くの行員は職員共済会から借り入れた。共済会に対しては、同銀行が臨時の融資を実行した。
社内通知では、本店の各部署や各支店にそれぞれ買い付け日時を指定。購入額や購入方法を「本給の5倍に相当する(資金で購入できる)株式数を」「(買値を指定しない)成り行き注文で」などと具体的に指示していた。通知は読後に破棄するよう求めていた。
関係者によると、同銀行では直前の01年11月に約2000の取引先企業などを引受先に、1株400円で計約200億円の第三者割当増資を実施した。この直後に株価が急落したため、引受先に株の含み損を抱えさせないため、株価維持を図ったという。
増田前頭取は、読売新聞の取材に自社株買いを指示したことを認め、「株価下落による預金者の動揺を心配した支店長たちの意向を受け、組織として対応した。職員への心理的な強制にならないよう配意した」と話している。一方、自社株を購入した複数の同銀行OBは「購入したくはなかったが、断れる雰囲気ではなかった」と証言している。
同銀行は今年3月期の連結決算で過去最悪の274億円の赤字を計上。現在の株価は130円台で低迷しており、含み損を抱えたままの行員も多いという。
企業コンプライアンスに詳しい郷原信郎・桐蔭横浜大教授は「銀行が間接的に行員に融資し自社株をつり上げる行為は、市場の公正性をうたった金融商品取引法の趣旨を逸脱している。弱い立場の行員が犠牲を強いられていることも問題だ」と話している。
同銀行では10月に金融庁の業務改善命令を受けたことを受け、経営責任を明確化するために調査委員会を設置。総合企画部は、この問題について「調査委員会に委ねたい」としている。
(2007年12月19日3時2分 読売新聞)より転載
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