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音楽スタジオ、仕事部屋… 地下室作って広々と
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横浜市の酒井さん宅の地下室は天井が高く、大音量の合唱でも騒音が気にならないという
自宅に地下室を設ける人が増えている。狭い土地でも広い部屋が確保できるとあって、ホームシアターなど趣味の部屋や音楽スタジオ、仕事部屋などに活用する人が多い。湿気対策なども進歩し、住まいとしての快適さが増したことが後押ししているようだ。
横浜市青葉区の声楽家酒井沃子(ようこ)さんは、2004年6月に自宅を新築した際に地下スタジオを造った。酒井さんはコーラスグループを、同居する長男夫婦もバレエ教室や劇団を主宰しているため、いつでも練習できる環境と広い居住空間を確保しようと、地下の活用を考えた。
一見、普通の2階建て住宅。だが、地下室は、床面積が約110平方メートル、天井までの高さは約4・4メートルと広く、合唱の練習では一度に70人が入れる。閑静な住宅街にあるが、「近所から騒音の苦情はない」と酒井さん。
1994年の建築基準法改正で、一定の条件を満たせば、地上の建物の床面積の合計の半分までなら、地下室の床面積は容積率に入れずにすむようになった。特に、二世帯住宅に建て替える際に、広い居住空間を確保しようと、地下室を活用する動きが広まった。音を気にせずに過ごせることから、ホームシアターなどの趣味に使う人も目立つ。
ただし、地下室には課題がある。そのひとつが湿気だ。横浜市の酒井さんも、当初は結露に悩まされた。建ててから最初の1年ほどはコンクリート自体が含む水分も多いため、住宅メーカーのアドバイスを受けながら、除湿器を室内に追加で設置して結露の問題を解決した。
工事費も割高だ。地下を掘る費用や、掘った土を捨てる費用がかかるためだ。水はけなど土地の状態でも変わるが、3・3平方メートルあたりの地上の建設費が60〜70万円の場合、地下の工事では「一般的には、2倍の120〜140万円程度はかかる」(住宅メーカー関係者)と言われる。
このため、最近では、光が入りやすく風通しもよい半地下タイプが主流となっている。例えば、地上から上に1メートルほど住宅の地下部分が出ているような住宅だ。こうした半地下タイプは、様々な費用を減らし、値段も抑えられる。
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半地下の部屋は、窓から光が差し込み、1階のような雰囲気だ(工藤建設提供)
横浜市の工藤建設では、地下室のコンクリートを固める時に使う型枠を断熱材ではさみ、そのまま埋める工法を採用。断熱、防湿効果を高めながら、型枠を取り外す手間も省き、コストを下げた。「施工方法などの工夫で低価格のプランを提案する会社もでてきた」と、同社フローレンスガーデン事業部の沼倉英之さんは話す。
また、外気を取り入れ、非常時の逃げ道にもなる堀「ドライエリア」を地下室の周りに造ることも多い。
ただ、居室で使うには自然換気だけで完全に湿気を逃がすのは難しい。三菱地所ホーム事業開発室の大沢一智副室長は「空気を機械で強制的に入れ替える全館換気が効果的」と話す。同社では、住宅向け全館24時間冷暖房換気システム「エアロテック」を活用し、カビや湿気に強い地下室づくりを提案している。
地下室を計画する場合、建築会社などに使用目的や予算をきちんと伝え、よく話し合うことが重要だ。
(2008年1月8日 読売新聞)より転載
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