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ヒューザー有罪 マイホームの夢を砕いた(3月26日付・読売社説)
マンション購入者の経済的損失や精神的苦痛を考えれば、刑事責任は免れようがなかった。
耐震強度偽装事件に関連し、詐欺罪に問われた開発会社「ヒューザー」の元社長、小嶋進被告に対し、東京地裁は懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を言い渡した。
一連の事件では、発端となった元1級建築士の姉歯秀次受刑者など6人が起訴され、小嶋被告以外は有罪が確定している。
この日の判決を含め、建設業界全体への警鐘である。安全な住宅を提供する責任の重さを、改めて自覚すべきだ。
神奈川県藤沢市の分譲マンション「グランドステージ藤沢」の強度が偽装されたことを承知で、11人の購入契約者から計約4億1000万円をだまし取った。これが小嶋被告の起訴事実である。
判決は「契約者らに事実を告げるなり、支払い請求を一時的にでも撤回すべきだった」と指摘したうえで、「社長として軽率のそしりを免れず、無責任極まりない」と厳しく批判した。
一般の住宅購入者は専門知識に乏しく、耐震性などは確かめようもない。そうした人々の「人生設計を大きく狂わせた」罪は計り知れない、ということだろう。
ただ、小嶋被告が偽装の事実を知ったのは、グランドステージ藤沢の販売直前で、まだ実態がよくわからない、混乱した状況の中での決定だった。
判決は「詐欺の故意」の程度は弱く、「痛恨の判断ミス」という言い方をした。だが、ミスでは済まされない結果を招いた。
グランドステージ藤沢は耐震強度が基準の15%しかなく、建て替えが決まった。住民は1500万円から2000万円の追加負担を強いられる。ヒューザー関連の他の偽装物件も、再建に当たっての負担の状況は変わらない。
建物の基本構造部分の欠陥については、販売後10年間は売り主に補償義務がある。それもヒューザーが破産したため、購入者は泣き寝入りするしかなかった。
事件を教訓に改正建築基準法が昨年6月に施行されたが、建築確認審査があまりに厳格に運用されたために、住宅着工戸数が大幅に落ち込む事態も招いた。国土交通省の、効率性、経済性を無視した“役人感覚”の結果である。
改正法で問題が一気に解決したとは言えない。国交省は再発防止と建設業界の健全な発展の両面から、絶えず制度の見直しを進めていく必要がある。
(2008年3月26日01時41分 読売新聞)より転載
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