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オール電化VSガス…中部で競争激化
家屋の熱源をすべて電気でまかなう「オール電化住宅」の戸数(戸建てとマンションの合計)が、中部電力の営業地域(東海3県と静岡、長野県)で10月末に50万戸を突破した。
「省エネ」「節約」志向の高まりが後押ししているが、東邦ガスも対抗の構えを強めており、住宅向けエネルギーを巡る電力とガスのせめぎ合いが激しくなりそうだ。(小野田潤)
10年強で回収
2008年度は中電の営業地域で新築一戸建て住宅の約半分がオール電化を導入した。東海地方などでは「戸建て志向が強く、一般的に割高なプロパンガスの利用世帯が多い」(大手住宅メーカー)ことも中電には追い風で、08年度の伸び率は東京電力や関西電力管内(30%程度)より高かった。
初期費用は空気から熱を取り出して温水を作る「エコキュート」を併用すると、電気工事代を除いて100万円程度かかるが、オール電化向け料金プランを適用すれば、標準世帯(4人)では光熱費を年間約8万2300円節約できる。「10年強で投資を回収できる」(中電)との試算だ。オール電化住宅は二酸化炭素(CO2)を排出しないことも魅力だ。
セット販売
東邦ガスも対抗の構えで、例えば床暖房(8畳、1時間あたり)の費用でみると「ガス」(13円)は「電気」(26円)の半分で「ガスの方が割安」と反論する。
環境対策でも、ガスを燃料に使う燃料電池「エネファーム」を投入し、太陽光発電システムとのセット販売も始めた。国や名古屋市の補助を受けても初期費用(標準世帯)は約340万円かかり、まだ普及率は低いが、今後はコスト削減を進めて「電化」に対抗する。
ただ、「どちらが得か」は「世帯の人数や使用機器などで異なる」(大手住宅メーカー)。火力発電の比率が高い東海地方では「オール電化の増加がCO2の排出削減につながるとは限らない」(環境関連の非営利組織)との指摘もある。
せめぎ合い
「電力」「ガス」のせめぎ合いは、産業用需要ではほぼ「住み分け」が明確なのに対し、住宅向けはシェア(占有率)争いの余地があるためだ。中電は10月末に、住宅など向けの電力需要見通し(09年度)を下方修正した。「企業の従業員寮の廃止が相次いでいる」(中電)など、住宅向け需要の鈍化が見込まれているためだ。今後は電力・ガスによるパイの奪い合いが一段と激しくなりそうだ。
(2009年11月11日 読売新聞)より転載
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