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マンション売り渋り、昨年販売11%減8万戸下回る
地価上昇見越す
民間調査会社の不動産経済研究所は18日、2006年の首都圏新築マンションの販売戸数を発表した。前年比11・5%減の7万4534戸と8年ぶりに8万戸を下回った。
マンション需要は旺盛だが、価格上昇を見越した不動産業者が「売り渋り」を続けたためとみられている。(伊藤剛)
東京駅から電車で16分の千葉県浦安市・新浦安駅周辺。野村不動産が3月から売り出す19階建て733戸の大規模マンションの建設が進む。最多価格帯は6000万円台で1坪当たり約190万円。週末にはモデルルームに見学者が詰めかける。
首都圏では「団塊ジュニア」(30〜35歳)や、子育てを終えて郊外から移り住む団塊世代の都心回帰が続くものの、長引いた地価下落で一時期より値ごろ感が出ているのは確かだ。にもかかわらず、マンション販売戸数が減ったのは、販売価格の上昇を見越した業者が販売時期を先送りする「売り渋り」が起きているためだ。
マンションは着工から完成まで1年半〜2年かかり、完成前に売り切る「青田売り」が主流だ。着工後、2か月前後の間隔で複数回に分けて売り出し、投資の早期回収を図るが、昨年は販売時期を4か月以上空ける「ずれ込み」物件が増えた。地価の反転上昇などで、周辺相場の上昇を待った方が高く売れる。不動産経済研究所によると、05年1月〜06年10月に首都圏で販売された14万1633戸のうち「ずれ込み」物件は6650戸だった。
ただ、売り手側の思惑通りにいかない面もある。完成後も売れ残りがあると、「不人気物件」との烙印(らくいん)を押されかねず、在庫の増加は経費もかさむ。「中小業者はすぐに販売して資金を回収しないと次の事業に取りかかれない」(不動産販売大手)との指摘もあり、売り渋りは際限なく延ばせない。
さらに、最近の地価上昇が「不動産投資法人などによる土地購入で『ミニバブル』になっている面もある」(みずほ証券の石沢卓志チーフ不動産アナリスト)ため、各社は販売時期を必死に見極めているのが実情だ。
都心部では、バブル後に企業がリストラで放出した社宅や工場の跡地が減り、開発エリアは東京駅15〜20キロ圏の郊外に広がりつつある。不動産経済研究所の福田秋生企画調査部長は「資材費や人件費の上昇も見込まれ、首都圏のマンション価格は07年に平均2割程度上昇する」とみている。
ただ、埼玉県や千葉県、都内でも不便な場所では、売れ残りもみられる。
一方、近畿圏のマンション販売戸数は、前年比8・8%減の3万146戸と、98年の2万9452戸に迫る低水準だ。大阪市内の一部では売り渋りもみられるが、郊外では販売不振を背景にした需要の回復を待った販売の先送りもみられた。07年の販売戸数は06年並みになるとみられている。
(2007年1月19日 読売新聞)
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