|
一戸建て シロアリの繁殖期。いい対策はありますか。
◆シロアリの繁殖期。いい対策はありますか。
◇脱皮阻害剤で根絶−−定期点検→薬入りえさで巣ごと駆除
◇健康配慮し、“脱”殺虫剤
今はシロアリが巣を作って繁殖する季節。主にイエシロアリとヤマトシロアリの2種類がいる。ヤマトシロアリは国内のほぼ全域に生息しているが、イエシロアリは九州、四国、紀伊半島など南部に分布する=図参照。
イエシロアリの多い沖縄では5〜6月、羽をつけたシロアリが新たな巣を求めて飛び回る。夜、羽シロアリが窓にびっしりと張り付く光景も見られる。金城一彦・琉球大学農学部准教授は「シロアリは木の根っこなどに巣を作ると、女王アリが卵を産み続け、働きアリがエサとなる木を求めて歩き回る」と説明する。
■地中から侵入
シロアリは地中から建物に侵入し、気付いたときは建物の土台や柱が食い荒らされているケースがほとんどだ。床下がコンクリートでも安心はできない。ひび割れから侵入するからだ。
京都大学生存圏研究所の試験などによると、壁や柱に発泡プラスチックなどの断熱材があっても、程度の差はあれ食害される。同研究所の吉村剛准教授(木材保存学)は「金網や金属板で断熱材を囲って物理的に侵入を食い止めるか、薬剤で駆除するのが主な対策となる。床下の空間が狭いと巣を見つけにくく、駆除も難しい」と話す。
■限定散布も
コープライフみかわ(愛知県豊橋市)は殺虫剤の使用を極力減らす方法を試みている。定期的にシロアリの有無を業者にチェックしてもらい、巣のある場所を中心に駆除するやり方だ。
同県岡崎市の女性(64)は築30年の木造住宅に住む。4年前、薬剤の限定散布を頼んだ。「全面散布は30万円以上と言われたが、巣だけだったため、10万円程度で済んだ」と話す。
■ベイト工法
最近は健康への配慮から、シロアリの脱皮を阻害して駆除するベイト(英語でえさの意味)工法も人気だ。
米国のダウ・ケミカル社が開発したセントリコン・システムはその一つ。シロアリのえさとなる木片入り容器を土に埋め込み、定期チェックでシロアリがいたら、脱皮阻害剤入り容器に替える。シロアリは巣に戻って仲間とえさを分け合うため、巣にいるすべてのシロアリが脱皮できず、数カ月でシロアリを巣から根絶する仕組みだ。
東京都町田市の丹羽京子さん宅は築30年の木造モルタル2階建て。5年前、プランターなどでシロアリを見つけ、周囲の15戸とともにベイト工法を行った。
家の周囲26カ所に円筒形のベイトを仕掛け、2カ所で見つかった。阻害剤に切り替えて駆除し、その後は出ていない。丹羽さんは「以前、殺虫剤を使って、とても嫌なにおいがしたが、これなら安心です」と話す。
ダウ・ケミカル日本(東京)によると、費用は場所と設置法によって違うが、初期のベイト設置が15万〜20万円、毎月の点検費用が2000〜3000円程度。
■炭は効果なし
最近は薬剤を敬遠したいと床下に炭や木酢液(木を燃やした煙から取った液体)をまいたりする人もいる。しかし、炭には湿気の調節効果はあるものの、食害を防ぐ効果はないとの見方が一般的だ。【小島正美】
==============
■+α
◇おびき寄せる新型も
薬剤卸の廣瀬産業(鹿児島市)はイエシロアリを呼び寄せ、巣ごと死滅させる新しいベイト工法「ブリングシステム」を開発、この工法を採用する業者も出てきている。
木箱に脱皮阻害剤を入れ、シロアリが来そうな土に埋め、ふたをする。木箱の木はカラマツを高温高圧の蒸気で蒸した蒸煮(じょうしゃ)材を使用。これだとシロアリを誘因しやすいという。
ふたを定期的に開け、シロアリが食べに来ているかどうかを確認する。40日程度でシロアリが集まり、全滅させる。「ベイト工法を仕掛けても、シロアリが入らなければ効果はない。どこに仕掛けるかが腕の見せどころ」と同社。費用は通常1カ所で約25万円。
毎日新聞 2007年6月21日 東京朝刊
|