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機能面や心理面 土間の効用注目
最近の家づくりで土間がよみがえっている。二世帯住宅の間をつないだり、マンションの台所をコンクリートの土間にリフォームしたりだ。
日本家屋の伝統のようでいて、靴を履いたままという欧米の住宅の要素もある。これから住宅を持とうとしている世代にとって、土間は古くて新しいイメージになるのかもしれない。
日本国内のさまざまな土間のある家を取材した雑誌『住む。』の山田きみえ編集長に聞いた。
菜園付き住宅に暮らす夫妻は、畑仕事の後、泥がついたままの長靴を気にすることなく土間台所へと入っていくという。収穫した野菜の下処理をするのは、決まってここ。家の中に自然が取り込まれる場所だ。
ある陶芸家の自宅では、工房とサロンを兼ねて土間にしている。土をこねたりろくろを回したりする仕事場として最適な仕様だ。
1階が店舗、2階を居住スペースにしている広島の花屋さんは、仕事の合間をぬっては2階へと駆け上がり、コンクリート打ちっぱなしのキッチンダイニングで、靴を履いたまま手早く家族の食事のしたくをする。そして、また仕事へ。土間だからこその機能性だ。
山田編集長が見てきた“土間が生きる家”で、どの家屋にも共通しているのが「働く場所」でもあるということ。
そうとらえると、日曜大工の作業場やペットのスペースとしても役立てられそうだ。趣味の自転車など家の中に入れるのははばかられるけれど、風雨にさらしたくはないものは意外に多い。都会のライフスタイルでも土間の可能性は、いろいろと広がりそうだ。
湿度の高い日本では、靴を履いたままで暮らすことには無理がある。足の蒸れから解放されたり、リラックスするためには、やはり靴を履き替えたい。ベランダのような感覚で土間用のサンダルを用意して使っている人も多い。
愛媛で生まれ育ったTさんは、子どものころのおばあちゃんの家での土間体験をなつかしく振り返る。
たまねぎの皮をむいたり、つくしのはかまを取ったり、お勝手仕事をまねたままごと遊びで周りを散らかせたのも、土間だからこそだった。
近所のおじさんがひょいと入ってきて、「今年のたまねぎは出来がええよ」と、畑から採れたて野菜を届けてくれることもあたりまえ。家の外部とも絶妙につながるスペースだったという。
機能の面でも心理的な面でも、家の「内」と「外」を組み込む土間という空間。その効用がいま一度求められているのかもしれない。
(2008年2月28日 読売新聞)より転載
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