|
景気対策明るい材料
ETC車載器「特需」期待 生活必需品でおしまいか
麻生首相が30日に発表した追加景気対策について、県内でも「明るい材料」と歓迎と期待の声が上がる一方で、「かつての地域振興券と同じなら効果は限定的」との声も上がった。首相は3年後の消費税率引き上げについても明言したが、景気回復の展望が開けない中での負担増に不安や戸惑いの声が出た。また、首相が「選挙より政策」を優先させたことで、衆院解散・総選挙は当面、遠のいたとみられ、与野党の各陣営は、戦略の一層の見直しを迫られることになりそうだ。
■定額給付金
4人家族で6万円程度と見込まれる定額給付金には、歓迎の声が出る一方で、「生活必需品を買ったらおしまい」などと、冷めた受け止めも出ている。
前橋市のショッピングモールに友人と来ていた女性看護師(26)は30日夕、「給付金をもらえたら、やっぱり服に使ってしまいそう」と、うれしそうに笑った。
「消費動向が鈍い」と感じている高崎高島屋は、「給付金が目に見える効果をもたらすかはわからない」と慎重だが、「明るい材料ではあり、我々も購買意欲を高めるための仕掛けを考えたい」と好意的に見た。
ヤマダ電機では、この1、2週間で株安の影響が売り上げにも出てきたという。「給付時期が年末商戦と重なれば、不況ムードも払拭(ふっしょく)できるのではないか」と相乗効果に期待する。
一方、前橋市千代田町の中央商店街にある化粧品店の男性店員(53)は、「嗜好(しこう)品までは買ってもらえないだろう」と、波及効果には懐疑的だ。同市内で買い物中だった伊勢崎市の女性(43)も、「保険販売の仕事に必要なスーツを買いたい。必需品にしか使わない」と言い切った。
9年前の「地域振興券」も、館林市では55%が郊外店や大型店で使われたとの調査結果があり、恩恵をいかに広げるかも、大きな課題になりそうだ。
■高速料金下げ
紅葉シーズンを迎え、草津温泉の宿泊予約は堅調という。だが、志賀草津高原ルートが閉鎖される11月17日以降は例年、観光客数が落ち込む。草津町は「今年は景気後退でさらに心配」と悲観していただけに、高速道路料金引き下げで「首都圏の客が来やすくなる」と喜ぶ。引き下げは自動料金収受システム(ETC)搭載車に手厚いため、未利用のドライバーが車載器を購入する“特需”の期待も高まる。前橋市下小出町のカー用品店「ジェームス敷島店」は「年末の車載器売り上げは毎年、通常の月の約1・3倍。今後は、より伸びる需要に合わせて商品を確保するのが大変だろう」と、意気込んでいた。
ただ、物流業界の受け止め方は複雑だ。県トラック協会の三浦文雄会長は「高速道路も、渋滞したら意味がない」と冷めた見方。それ以上に、円高で輸出産業の生産が落ちれば、高速道路を使う機会自体が減るため、「運ぶ物がなければ、仕事にならない」と力がない。燃料費の高騰も依然、経営の圧迫要因だけに、最後は、「営業用トラック向けに軽油引取税を免除してくれる方がどんなに助かるか」と、ため息をついた。
■ 住宅ローン減税 県内の住宅着工件数は8月現在、前年をやや上回っているが、住宅販売業者は大きな不安を抱える。
前橋市亀里町の住宅展示場の販売員(23)は、「週末のイベントの来訪者もまばら」と肩を落としている。だが、景気対策に住宅ローン減税の大幅な拡充が盛り込まれたことには、「来年に向けてのプラス材料」と、ようやく笑顔を見せた。
ただ、別の会社の販売員(38)は「減税はあくまで商談のきっかけづくり」と気を引き締めたまま。群馬銀行の住宅ローン担当者も「今後の景気動向に不安はあるが、このカンフル剤を生かして丁寧に営業をするしかない」と自らに言い聞かせるように話した。
(2008年10月31日 読売新聞)より転載
|