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高速道路無料化 ばらまきのツケは国民に回る(8月11日付・読売社説)

 高速道路利用者の負担は軽減されるが、あとあと、ツケはすべての国民に回ってくる――。

 高速道路料金を巡る与野党のサービス合戦のことだ。妥当な政策なのか衆院選の論戦で、損得勘定をよく見極めなければならない。

 口火を切ったのが自民、公明の与党側だ。「1000円走り放題」をうたい文句に、今春から大幅な値引きを始めた。

 自動料金収受装置(ETC)を付けた乗用車なら、大都市近郊などを除き、土日祝日はいくら走っても1000円を上限とした。

 この結果、渋滞するケースが増えたものの、行楽に出かける車で観光地がにぎわうなど、一定の景気刺激効果は出ている。

 だが、料金の減収を補うため、国は2年間分として5000億円の予算を組んだ。値引きの財源に、国費が使われていることを忘れてはなるまい。

 一方、高速料金の原則無料化を掲げるのが民主党だ。渋滞の悪化が予想される首都高速道路や阪神高速道路などを除き、来年度から段階的に実施する構想である。

 これが具体化すれば、確かに一層の経済効果は期待できよう。トラック、バスを含む全車種が全日、タダになる。コスト削減で物流は活発化しそうだ。

 だが、これにより数々の問題が発生する。まず料金収入激減で、旧道路公団などが残した40兆円近い借金の返済が出来なくなる。

 民主党は、借金を国債で肩代わりし、年1・3兆円の税金を投入して60年かけ返済する案を示している。与党の「1000円走り放題」を大幅に上回る国民負担が生じるわけだ。

 原則無料化で高速道路の通行量が伸び、排ガスの量も増える。温室効果ガスの国内排出量を削減する中期目標について、民主党は1990年比で25%もの削減を打ち出している。

 政府目標の05年比15%削減をはるかにしのぐ目標だが、高速料金の原則無料化は、それと大きく矛盾しよう。民主党はこれをどう説明するのか。

 民主党が掲げるガソリンなどの暫定税率の廃止も極めて問題だ。消費税1%に相当する年間2兆5000億円もの税収が消える。

 先進国で最悪の赤字を抱える国の財政を、さらに悪化させるのは必至である。この穴埋めについても、民主党は明確な答えを示さねばならない。
(2009年8月11日01時09分 読売新聞)より転載

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