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家の中に耐震シェルター
「地震速報」…すぐ安全確保
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小西さんの寝室に設けた耐震シェルター。ベッド2台分の広さがある(岡山市で)
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家屋が倒壊しても壊れなかった木質耐震シェルター(中央の白い箱=一条工務店提供)
大地震に備えて、戸建て住宅に設置する耐震シェルター(避難場所)が注目されている。緊急地震速報を聞いたらすぐに逃げ込める安全ゾーンを住宅内に確保しようというもので、家全体の改修に比べて安価なため、普及が期待される。
改修より安価 普段は寝室に
岡山市の小西嘉光さん(75)、幸(みゆき)さん(72)夫婦は昨年4月、木造平屋の自宅に箱形の「木質耐震シェルター」を置いた。費用は25万円(工事費込み、床の補強などで別に費用のかかることも)。「安心を買ったと思えば、決して高くない。寝室にしているが、おかげでゆっくり寝られる」と話す。
この耐震シェルターは浜松市の「一条工務店」が開発した。一般的な構造用合板の約3倍にあたる厚さ32ミリの合板を組み立て、天井に鉄骨も入れてある。ベッド2台を置ける広さがあり、ふだんは寝室に使える。
同社では、木造2階建ての建物の1階にシェルターを設置し、外から力を加えて建物を倒壊させる実験を行ったが、2階部分が倒壊してもシェルターに損傷はなかった。
2006年1月の発売から全国で約70戸施工されており、9割以上が高齢者世帯。東京都の「安価で信頼できる耐震改修工法と装置」に選ばれ、渋谷区では07年11月から、高齢者や身体障害者の住宅へのシェルター取り付けを50万円を限度に助成している。
同工務店の小林範之さんは、「緊急地震速報が出た時に逃げ込む避難場所としても活用していただければと思います」と話す。
また、リフォーム会社「東京ガスリモデリング」(東京都台東区)は昨年4月から、耐震シェルター「鋼耐震(こうたいしん)」を販売している。
耐震基準を満たしていない木造住宅を対象に、1階の部屋の天井や床を解体し、床下に厚さ15センチのコンクリートを打ち込んだ後、天井や床、壁4面に鉄骨部材を組み立てる。地震で2階部分が崩れても、部屋はそのまま残る仕組みだ。
費用は約10平方メートルで250万円から。工期は7〜10日間。引っ越しも不要。これまでに東京、埼玉で5件施工した。
同社マーケティング部の久保田順一さんは、「今後、緊急地震速報の受信装置を勧めながらシェルターを販売していきたい」と話す。
大阪市立大教授(住居安全工学)の宮野道雄さんは、地震に備える住まいの「安全ゾーン」の条件として、〈1〉周囲に壁や柱が多い〈2〉落下したり倒れてきたりするものがない〈3〉地震後に火災が起きても、脱出できる出口に近い――の3点を挙げる。宮野さんは「1棟丸ごとの耐震改修は、数百万円から1000万円かかる。シェルターは現実的な対処法として普及しやすいと思われる」と話す。
緊急地震速報
地震発生直後に伝わる初期微動(P波)を地震計でとらえ、強い揺れをもたらす主要動(S波)が到達する前に、気象庁が地震の規模などを推定して速報するシステム。専用の受信装置やテレビを通じて音声などで到達時間や震度などを知らせる。昨年10月に本格運用が始まった。
(2008年2月21日 読売新聞)より転載
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