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 創世紀―牛角と祝祭・その民族系譜―
 執筆時期:1999〜2000年
 創世紀・目次
  http://blogs.yahoo.co.jp/matmkanehara/57554436.html

 著述者:歴史学講座「創世」 小嶋 秋彦
  http://blogs.yahoo.co.jp/matmkanehara/56576795.html
  https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784881160206

 第十章 天毒とセリカ

 絹の産地セリカ

  これは伝説である。
 史記「封禅書」に次のような記載がある。

 明治書院漢文新釈大系から取る。
  〔三神山〕(斉の)威王・宣王、燕の照王から、
  人をやって海に入り、
  蓬莱・方丈・瀛州(という三つの神仙)を
  捜させるということが始まった。
  この三神仙は、言い伝えに由れば、
  渤海のなかにあって、
    さほど遠いところではない。

  ただ、今にも行き着くかと思うと時に、
  船が風に引かれるままに、離れてしまうのが、
  いかにも残念なのである。

  つまり、
    昔には行きつけていたものがいたようで、
  そこには諸の仙人達も居れば、
    不死の薬もあって、
  そこにあるもの鳥、獣まで白一色で、
  黄金と白銀とで宮殿をつくっている。

  そこまで行かぬうちに
    遠く望めば雲のようであり、
  そこまで行ってみると
    三神山はかえって水の下にあり、
  それを 覗き込むと、
  決まって風が船を引いて離してしまい、
  結局、誰も行き着くことができなかった。
 という。 

  このような情景は、現代の知識で解釈すると、
 蜃気楼を反映させたものであることが
  容易に推察できる。

 斉国は「禹貢」にいう
  青洲、山東半島地域に周の時代
 紀元前7世紀から3世紀まで
 秦が九州を統一するまで続いた国で、
 渤海湾に面している。
 そのためシナ海方面の情報を
  得ていたものである。

 三神山名について、
 現在どの地を指しているのか明らかでない。
 蜃気楼との解釈を含めて、
  あくまで伝説と謂わざるを得ない。

 三神山については、
  史記「秦始皇帝本紀」にも
 「海中の三神山有り、
   名づけて蓬莱、方丈、瀛州といふ。
  僊人之に居る」とある。

 僊人は仙人であろう。
 史記が成立したのは紀元前1世紀のことで、
 これらの情報はそれ以前のものと言える。
 《参考》
 史記 卷六 秦始皇本紀第六 
    始皇帝二十八年 (抜粋1)

 (原文)
 齊人徐市等上書言 海中有三神山 名曰蓬莱 
 方丈 瀛洲 
 僊人居之 請得齋戒 與童男女求之 
 於是遣徐市發童男女數千人
 入海求僊人
 (読み下し)
 齊人徐市(じょふつ)等上書して言う
 「海中に三神山有り。
  名を蓬莱(ほうらい)、方丈(ほうじょう)、
  瀛洲(えいしゅう)、と曰う。
  僊人(せんじん=仙人)之に居す。
  請う齋戒を得て、
  童男女と之を求めんことを」。
 是に於て徐市を遣わし、
 童男女數千人を發(つか)わして、
 海に入りて僊人を求む。

  ここで注目したいのは
 「黄金と白銀とで宮殿を造っている」
 という一節である。

 白銀の「白」は
 清時代の解釈により入れられたもので、
 本来は「銀」であったらしい。

 この伝説が漢の時代になって
 渡来するようになった
 インドの商人たちに伝えられた痕跡がある。

 それが、
 また西方のローマへ伝えられることとなった。
 古代ローマの
 ポンピニウス・メラガクラウディウヌ帝
 (紀元41-54年)に
 東方の絹の産地について書いたものの中に、
 セリカの南のインドの辺りに
 二つの新しい島があって、
 その名前がクリゼ島とアルジレ島である、
 という。
 そして
 「名前が事実からか、
  いい伝えが名前からか、
  どちらにしても、
  その土地の一方が金で出来ていて、
  もう一方は銀で出来ている」と述べている。

 クリゼ島名はギリシャ語の χρυσός (金)、
 アルジレ島名は ασήμι(銀)に依拠する。
 また、
  サンスクリット語の krśana(黄金、宝石) 、
 arjuna(銀、銀の、白い) に対応する。

 これらは伝説に始まったことであり、
 比定地を想定することは無意味である。
 だが、
  セリカは確かな地域名として想定される。

  セリカ名は、
 ローマ時代の地理学者が絹に係わるインドより
 東方(オリエント)の用語として記述している。
 ラテン語 sērica は「絹地、絹織物」を表わす。
 英語の silk の原語では
  日本語にシルクとして知られる。

 また同類の Sēr,Seris, Sēres も絹の産地に
 係わる用語として知られる。

 紀元140年頃作成された
  プトレマイオスの世界地図は
 インド亜大陸、セイロン島(Taprobana)、
  ビルマ地域、マレー半島、
  インドシナ半島からトンキン湾辺りまでから
 推察されるような構図となっている。

 トンキン湾の北方シナイ(Sinae)名、
 そしてその上方(北方)に
  セリカ serica 名がつけられている。

 シナイはティナイ Thinae を都としていると
 伝えられている。

 この地名は前漢の時代雲南省にあった
 滇国(Dian)名に由来すると見られる。

 また、
 セリカは書経「禹貢」 などで見た
  東シナ海に面した
 兗州から揚州までの絹の産地を
  謂ったものと考えられる。

 しかし、
  紀元2世紀の前半においては、
 東方の地理について詳しい情報は
  西方へ伝わっておらず、

 その陸地の様子が不明であったことを
 プトレマイオスの世界地図は示している。

  この時期紀元1、2世紀には、
 海路を通じて大量の絹製品が
 東方からインドを経由して
  西方ローマへ運搬されていた。

 東方での担い手は
  インドの商人が中心であり、
 漢の商人も一部参加していたことが
 漢書「地理志」に依って窺われる。

 そして、
 絹の主な取引地域が
  東シナ海沿岸であったかもしれないが、
 彼等の交易網が韓半島、
  九州にも広がっていたと考えられるのが
 「三国志魏書倭人伝」などの史書で確認される
  絹の産地の広がりである。

 そればかるではない。
 沖縄などの島々は
 商船の停泊地としての役目を
  果たしていたと見られるのである。

 《参考》
 ARPACHIYAH 1976
    http://theses.univ-lyon2.fr/documents/getpart.php?id=lyon2.2010.robert_b&part=361299
 高床式神殿、牛頭、空白の布幕、幕と婦人、マルタ十字紋等
 (アルパチア遺跡出土の碗形土器に描かれている) 
 牛頭を象った神社建築の棟飾部
 本生図と踊子像のある石柱
  http://1st.geocities.jp/kawai5155/suba45.html
 ⦅Tell Arpachiyah (検索)⦆
  http://image.search.yahoo.co.jp/search?ei=UTF-8&fr=sfp_as&p=Tell+Arpachiyah+%28Iraq%29
 ⦅ハラフ期の土器について⦆  
  http://image.search.yahoo.co.jp/search?ei=UTF-8&fr=sfp_as&p=%E3%83%8F%E3%83%A9%E3%83%95%E6%9C%9F%E3%81%AE%E5%9C%9F%E5%99%A8%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6
 ⦅ハブール川⦆
  http://image.search.yahoo.co.jp/search?ei=UTF-8&fr=sfp_as&p=%E3%83%8F%E3%83%96%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%B7%9D
 ハブール川(ハブル川、カブル川、Khabur、Habor
、Habur、Chabur、アラム語:ܚܒܘܪ, クルド語:Çemê Xabûr, アラビア語:نهر الخابور Bahr al-Chabur
 ⦅ARPACHIYAH 1976⦆
   http://image.search.yahoo.co.jp/search?ei=UTF-8&fr=sfp_as&p=ARPACHIYAH+1976
 ⦅高床式神殿⦆
   http://image.search.yahoo.co.jp/search?ei=UTF-8&fr=sfp_as&p=%E9%AB%98%E5%BA%8A%E5%BC%8F%E7%A5%9E%E6%AE%BF
 ⦅牛頭を象った神社建築の棟飾部⦆
   http://image.search.yahoo.co.jp/search?ei=UTF-8&fr=sfp_as&p=%E7%89%9B%E9%A0%AD%E3%82%92%E8%B1%A1%E3%81%A3%E3%81%9F%E7%A5%9E%E7%A4%BE%E5%BB%BA%E7%AF%89%E3%81%AE%E6%A3%9F%E9%A3%BE%E9%83%A8
 ⦅神社のルーツ⦆
   http://image.search.yahoo.co.jp/search?ei=UTF-8&fr=sfp_as&p=%E7%A5%9E%E7%A4%BE%E3%81%AE%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%84
 ⦅鳥居のルーツ⦆
   http://image.search.yahoo.co.jp/search?p=%E9%B3%A5%E5%B1%85%E3%81%AE%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%84&aq=-1&oq=&ei=UTF-8

  M.K記

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