リズムを聴け。
(
中山 康樹さん風に)
イヤホンを通せばマイコーのスクラッチボイスが生々しく響いてくる・・・。臨場感溢れる、迫力の未完成、6曲イン・ディスク2。スリラー後の、一層パワフルでエネルギーに溢れるボーカル。私はこの6曲をアルバム 「リズム&グルーブ」と (勝手に)名づけた。
アルバムの中では、3曲目の SONG GROOVE(AKA ABORTION PAPERS) に衝撃を受ける。アップビートとダウンビートを繰り返すシンセにボーカルを重ねて生み出されるグルーブの美しさ。 ABORTION PAPERS・・・と繰り返すコーラスが耳に焼き付いて離れない・・・。 そして何よりも歌の主題が衝撃的だった。
これについては後日ということで、今日は、アルバムの冒頭を飾る、DON’T BE MESSIN’ ROUNDについて書きます。 スリラーで言えば、ワナビー。オーディエンスをアルバムの世界に引き込むための、とても華やかな一曲め。
まず、ジョゼフ・ボーゲルさんの新刊 (1) に、この曲の記事があったので、以下記録(一部)しておきます。




1986年。このトラックはふたたびマイケルの手に戻り、プライベートスタジオ「実験室」(注:ネバーランドではなく、ヘブンハーストの自宅にある方)で仲間 (ビル・ボットレルとマット・フォージャー) と自由な音作りを試みていた。ジャムやセッションでダンスのグルーブを得ることが、彼のいつもの目的であった。
MJのダンスグルーブはとても変わっていた。未知のビート・パターン、テクスチャー、ニュアンスで私たちを驚かせてくれる。
「この曲の長いバージョンにはとても面白く聴こえるところがままあって、それは違うセクションで違うことが起こっているからなんだ。」「この曲は8分間じっと座って聴いていて、えらく長いなと、思わせるような曲じゃない。その長い流れの中で 『かっこいいなあ』 と感じさせる音になっているんだ」 とフォージャーは言う。
マイケルはその年、後半まであれこれ音作りの実験をねばっていた。ところが、クインシーがいよいよ出張ることになると、現実のアルバム作りに真剣に集中しなくてはならなかった。だから実験は床の上に投げおかれ、またの機会を待つことになった。
今回のデモは、この当時、最後にフォジャーによってミックスされたもので、「これが思っていた音だ(This is how it has to be.)」 とマイケルに言わしめた、おすみつきのもの。
この1986バージョンにおいては、ボーカルも歌詞も完成されていない。 シンコペーションのリズムが印象的に使用されている。グラミーウィナーのエンジニア、ブルース・スウェディエンも、お気に入りの曲で「ただただ美しい」、とべたほめ。
洗練されたシンコペーションと複雑なリズムのアレンジが、一度聴いたら耳に残らずにはいられない魅力を与えている。





シンコペーションと複雑なリズム・・・の関係
師匠であるR君(大学院で音楽理論と作曲を専攻)がご飯を食べにきたときに、この曲を聴いてもらった。7つの要素 ― イントロからアウトロまで、ドラムス、続くピアノ、ボーカル、ギター、電子ピアノ、2台めのドラムス、ベース ― が異なるリズムでシンコペィテッドしているという。 音が重なると、その結果、とても複雑なリズムが生まれた。 アウトロではベースのシンコペーション。なんとも美しい、ハーモニックな音のレイヤーだ。
メロディ1&2の繰り返しから、マイコーの『ブリッジ』という掛け声がかかって、スキャットで歌っている。なぜスキャットだったかというと、ブリッジ用の歌詞がまだなかったわけですね。
やはり、この曲はオリジナルの8分で聴きたい。変化するリズムとグループ・・・延々と聞いてみたい。この音のシャワーをもっと浴びていたい。。。ボサノバのリズムはシンコペーション。だから、ポップソングでありながら、ラテン・ジャズやボサノバのグルーブが感じられる。ほんとにおしゃれで洗練された曲。
贅沢なデコレーションが施されていないから、マイコーのボーカル生地がシンプルに透けて見える。まだ本番の気合で歌っていない、ハスキーなスクラッチボーカル。歌の途中で声が途切れたり。。。
であっても、やはり魅力溢れるボーカル。ただパパラパ。。。と歌っているだけで耳目を集める歌手がどれほどいるだろうか・・・。(となると、由紀さおりさんはやはり凄い歌手ですね。) ボーカル・ヒーカップも、なにやらマイコーのってるなーという感じで、楽しげです。。。
さて、バッド・アルバム作成に「必殺仕事人クインシー」がいよいよ登場となれば、悠長に実験など楽しんでいられない。 スケジュールを突きつけられ、『スメリー、汽車はまもなく発つんだ!はよせんかい。』 と、お尻をたたかれ、空気がぴりぴりとしてくるんじゃないんだろうか。。。この二人の仕事っぷりをカーテンの後ろからこっそり覗き見したい。(現場だとピリピリして恐いだろうから)。 二人はこのコラボを最後に、親離れ、子離れ。。。
クインシーはこの後、自身のアルバム BACK ON THE BLOCK (2)という傑作を世に出す(1989年)。やっぱり凄いプロデューサーなのだった。
おまけコーナー:



楽器を弾くマイコー
なんて賢そうなお子!
あっ、ごめん。これは・・・プリンス。。。
こちらがマイコー。
グレッグ、ピンクのトレーナーがかわいい。マイコー、赤シャツがかわいい!
家族ととても幸せそうなひととき。
1. キンドル版 Featuring Michael Jackson: Collected Writings on the King of Pop: Joseph Vogel, 9/14/12
# 3. Don’t Be Messing’”:The Story Behind Michael Jackson’s Infectious Bad-era Demo:
2. グラミーレコード大賞を含む7冠。最近CDを購入した。 ひとたび聴いて、惚れた。 リピートせずにはいられない、脳に訴えるアルバム。毎日車の中で聴いてます。 アフリカのリズム、ヒップホップ、ジャズ、R&B、ポップなどの要素がミックスされた、とても贅沢な音のシチュー。 暖かく、愛に溢れ、なんともかっこいいアレンジ。 今は亡きジャズの大御所たちを始め、多彩な参加アーティスト。 歴史的にも貴重な一枚。