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美声学ブログ(松尾篤興のブログ)
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三たび、Stonさんの「脱力!脱力!脱力!」に答える


またまた、すとんさんのブログ記事に反応してしまいました。

「脱力!脱力!脱力!」
「発声に関する目下の最大の注意点、それは何はともあれ「脱力」です。無駄に力が入っていると、柔軟性に欠けてしまい、必要なところを緊張させられなくなってしまい最悪ですね。」(中略)
「特に目立つのがクチビルとアゴ。特に高音に行こうかな…って感じになると、無意識に、そのあたりに無駄な力が入るようです。」(中略)
「なぜ力が入ってしまうのだろうか? やはり「さあ、次は高いぞ…」って思うと身構えるんでしょうね、で、力む。」(後略)
http://stone.tea-nifty.com/blog/2008/08/post_cd16.html

以上が記事の抜粋ですが、タイトルを見て、アニマル浜口氏の「気合いだ!気合いだ!気合いだ!」を連想して微笑んでしまいました。このようにターゲットとするキーワードを連呼するのは集中力を高める効果があるかもしれません。
さて、問題の脱力と顎についての問題ですが、人間、最も難しいのは精神的に入れ込んでいるときに力を抜けと指摘される事でしょう。人前で高い声を出そうとか、大きな声で歌おうとしてアドレナリンが分泌されているときに力を抜けと云われても、それは無理というものです。ゴルフコンペなどでスタートホールにミスショットをするのは大半が今日始めての経験と云う不安と、周りのギャラリーの視線が気になって、本来ショットに向けなければならない集中力が低下することによるものでしょう。
ですから力を抜くと云う難しい無い物ねだりをするより、どこに技術的なエネルギーが必要かを考えた方がはるかに集中力は昂まると思いませんか?

高音域を歌うときに必要なエネルギーについて整理してみましょう。
(1)口蓋垂を極限まで引き上げる。
(3)声帯の後方を頚椎の後へ引っ張って用意する。(いわゆる喉を下げるというやつです)
(2)息を吸うとき、横隔膜の後を腰の方へ引き下ろしてやる。下げた重心を維持したまま息を吐く。
高音域になると声門に隙間ができて薄い響きの声になってしまいます。これは悲鳴が最も甲高く薄い響きであるのをみれば分かるでしょう。ファルセットも同様、高い声は出しやすいが声門の中央は閉じても声門の前後端だけを振動させて歌うので倍音のないフラジオレットのような響きの声になります。
豊かな響きとは倍音がでるようにする工夫、つまり声帯が後方まで閉じられていることが必要となりましょう。口蓋垂を極限まで引き上げるためには、上に向かう力の反対、つまり下へ沈む力を利用すればバランスがとれて力の配分も効率も良い事になります。
声門を閉じると倍音が生まれやすくなり、声が豊かに響きます。この後へ引く力の反対方向、口蓋垂を極限まで引き上げる力とのバランスをとれば思った以上に瞳孔が開くほど口蓋垂を引き上げることができるでしょう。
*重心は下へ。 ↔ 口蓋垂は上へ軟口蓋は広がる。
*声門は後へ。 ↔ 口蓋垂は突き出すように上へ。

イメージ 1
上の図式の力のバランスが取れると高音域を歌うために必要な口蓋垂の高さを確保できると共に、声帯を後まで閉じて高音域を歌うと声帯は引き延ばされますので、口蓋垂を極限まで引き上げる力が必要になってくるのです。
この作業はアクビのように口蓋を縦に大きく保ち、口蓋垂を上げ、声帯の後を後方へ引っ張る用意が出来たら、口を閉じてハミングから始め、声の響きが頚椎より後に響いている事を確認して口を開いて声を出す。このような慎重な手順で行うべきです。音程が上がるにつれ、ハミングの声の響きは頚椎の後方から次第に頭蓋骨に沿って頭上へ移動してゆくのが分かるでしょう。

イメージ 2
次に顎について考えてみましょう。
顎は真下に落ちるのもではありません。図を見て頂ければ分かるように顎の骨は耳の部分で蝶番のように繋がっているので手前にしか引けないのです。これを真下に落とそうとするので顎に力が入り、唇が途中で残ってしまう(下歯が見えなくなる)のです。この事は「美声学」の79頁「上顎を上げる」に述べていますので参考にして下さい。
一つの目安として顎を落としたときに下歯がみえるようにすることが自然な顎の動きを覚えるポイントになるでしょう。

イメージ 3もう一つの留意点は声を出すための息の流れや声の響きの流れの方向性は後頭部から頭蓋骨へ沿って頭上に抜けていくイメージを持つことは大切ですが、発音は明るく口先で喋られるような息の流れをチェックすべきでしょう。「美声学」の70頁「声が暗い」参照。

カット:松尾篤興

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    すとんです。アドバイスありがとうございました。さっそく、トラックパックを送らせていただきました。

    理屈が分かったからと言って、すぐできるわけではありませんが、理屈が分からないままでは、一歩も前に進めません。しかしその理屈を自分で考え出すと、迷いの森に入ってしまいます。特に私はすぐに迷ってしまうタイプ(いわゆる頭でっかちなんですね)なので、正しい方向を指し示していただけると、とても助かります。

    確かに力を抜くよりも、どこにエネルギーを集中すればよいかを考えた方が、より良いですね(喜)。 削除

    [ すとん ]

    2008/8/28(木) 午後 6:24

    返信する
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    To Ston
    いつも話のネタにして申し訳ありません。
    しかし、こんなブログのキャッチボールも結構面白いもんだと勝手に思っておりますが?
    松尾篤興

    matsuoatsuoki

    2008/8/29(金) 午後 2:06

    返信する
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    高音の響きの薄さに死ぬほど悩んでいたときに先生のこの記事をタイミングよく見つけました。私は高音はDまで出ますが高音部が中音部と同じ共鳴した音が出るところと出ないところがあり悩んでいたところです。ありがとうございました。 削除

    [ あゆみ ]

    2008/8/29(金) 午後 11:10

    返信する
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    To Ayumi
    一般的にはF,FisがソプラノのPassaggioですから、それまでを中音域、G〜BはAcuto、H〜から上をSopracutoと呼んでいるように、声の響きの推移があるのはごく自然な事ですが、この三つのレンジをいかに滑らかに繋ぐかが歌手の力量と云えるのかも知れません。
    男声の場合、ご存知のように変声期を通過しますので、高音域はファルセットという手段もあります。したがって中音域の胸声をいかに高音域に繋ぐかを考える事がAcutoの課題になりましょうし、変声期のダメージが少ない女声の場合は低音域の胸声以上のレンジは全て男声のファルセットと同じ頭声ということになりますので頭声から如何に中音域へ繋いでいくか、の問題が待っているでしょう。
    (次へ続く)

    matsuoatsuoki

    2008/8/30(土) 午前 7:50

    返信する
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    (続き)
    G〜BのAcutoの響きに幅を持たせてリリコな声を望むなら、当然倍音の出やすい方法、つまり声門閉鎖をおこなう必要があるでしょうし、また Sopracutoより上の音域に関してはグルベ・ローヴァなどにみられるような声帯や口の使い方の工夫が必要になってくると思われます。
    いずれもこのPassaggioやAcutoの問題はあのパヴァロッティーでさえ数年かかったというエピソードが残っているくらいですので、十分経験のあるトレーナーについて研鑽されるべき事と思います。
    私もアマチュアのお弟子さんを預かっていますが、決してプロでなければ出来ないという問題ではありません。どうか根気よく美声を目指して下さい。
    松尾篤興

    matsuoatsuoki

    2008/8/30(土) 午前 9:22

    返信する

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