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駅弁されどかしわ飯
博多生まれの私にとって、子供の頃のお土産に折尾のかしわ飯弁当を買ってもらうのが何よりのご馳走であり、喜寿を迎えたこの歳になっても、私の舌は鮮明に昔ながらの味を記憶し続けている。
鶏肉を細切りしたものを甘辛く煮込み、錦糸卵と刻み海苔が斜に3列並べられている。半世紀以上変わらぬ味は故郷の味覚として私の脳裏に定着してしまった。 先日、兄の法事で博多を訪れた時も忘れる事なく買い求め、私の味覚を満足させ、遠い昔の博多を彷彿とさせたものだ。
昔は各家庭で鶏を飼うのは珍しい事ではなかった。終戦後物資の少ない時なぞ、祝い事などがあるとこの鶏達が客人の食卓を賑わす事になる。まして博多は商人の街、どんたく、博多山笠など祭り事の多い土地柄、人の出入りが多い祭りの時にはこのかしわ飯が大いに来客をもて成す戦力となる。 祭りのときだけではない。博多は讃岐に並ぶうどんの街。小腹の空いた時などのファーストフードとして昔からその地位を確立していた。そのうどんのサブメニューとしてかしわ飯は無くてはならぬ存在でもある。 接客で大皿に盛るもよし、うどんの付け合わせにも、忙しい時のおむすびにも、冷めても旨いので弁当にもなるかしわ飯。いまやかしわ飯は福岡の名物に止まらず、全国のコンビニの店頭にも見受けられるようになった。 元はと言えば客をもて成すための馳走であったものが、このように幅広く生活に根付いた食べ物もそうざらにあるものではなかろう。休日の遅い朝食に、熱いうどんと冷や酒に添えられたかしわ飯。博多生まれの者でなくても、これ以上の贅沢なブランチはまたとあるまい。 |
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