|
伝染性腹膜炎の話を!という希望があったので少し、お話しますね。
まず、猫を飼育する人は知っておかなければならない病気が3つあります。常に用心が必要です。
1 猫免疫不全ウイルス(FIV) 別名:猫エイズ
2 猫白血病ウイルス(FeLV)
3 猫伝染性腹膜炎(FIP)
の3つです。このうち、FIVとFeLVは診断が簡単です。
検査をして、血液中の抗原や抗体を証明すれば、だいたい判断がつくからです。
しかし、FIPは非常に難しい。
検査をしても、本当に病気に罹っているかどうかは総合判断が必要になるからです。
とは言っても、FIPを狙った検査はよく実施されています。
検査結果を考えるのに、未確定の複雑な発症経路が存在することが全ての原因になっています。
さて、ややこしい話ですがお付き合い下さい!!
よく覚えておかなければならないのは、FIPの発生機序は確定していません。
一番有力と考えられているのが、
ユトレヒト大学とカリフォルニア大学の研究者が述べた
「猫コロナウイルス体内変異説
(in vivo mutation transition hypothesis)」です。
コロナウイルスという種類の中に、猫コロナウイルスというものがあります。
ただ猫コロナウイルスはもともと弱いウイルスであり、
ほとんどの猫は生後1ヶ月までに感染しています(おそらく母猫から)。
この感染に対する免疫応答は弱いようで、
猫コロナウイルスは完全排泄に到らず、腸管に持続感染します。(おそらく大腸)
この猫コロナウイルス持続感染も終生つづくわけではなく、しばらくすると排泄されるようです。
ですが、排泄されても、猫コロナウイルスに対する免疫が弱いため、
また感染して排泄してを繰り返すようです。
それを繰り返すうちに、
猫コロナウイルスの中から腸粘膜や腸のリンパ節で遺伝子突然変異が発生し、
猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPウイルス)が発生します。
この2つのウイルスは検査では見分けがつかないのが現実なので、診断に困るのです。
ここで、体内の免疫機能が正常に機能するものでは、全身への感染を防止しますが
中には防ぎきれずにFIP発症に到る固体が発生します。
猫コロナウイルス感染の中で約5%以下と言われています。
つまり、弱毒の猫コロナウイルスに感染し、
その中から、FIPウイルスに遺伝子変異が起こると強毒性になるのでは?
という仮説です。
なるほど、遺伝子の突然変異によって発生する病気の可能性が高いのか!!
では、強毒のウイルスは伝染するわけではないのかな?と考えてしまいそうです。
しかし、どうやら、そうとも言い切れないようです。
伝染性の名前は弱毒ウイルスによる感染だと断定してはいけないという報告があるようなのです。
つづきへ
written by vet MIYAKE
|
FIPについて是非ご解説をと希望した者です。
ご説明、ありがとうざいました。
唯一の純血種だったコで我が家に来て5ヶ月、生後10ヶ月でした。
下痢、発熱、食欲不振の症状が出てすぐ治療をしたんですが一向に良くならず、殆ど食べないのにお腹がパンパンになったので急いでかかりつけの獣医さんに診て頂いたところ腹水が溜まってる状態でした。
すぐ、抜いて貰い、腹水と血液の検査をしたところFIPの診断を受けました。
すぐインターフェロンと点滴による治療を始め、一時は食欲も戻り、おもちゃで遊ぶ等の回復が見られたのですが、また食欲が落ちて呼吸がおかしくなりだしました。
すぐ病院へ連れて行ったところ、肺水腫の状態でした。
その場で入院し、献身的な看護も虚しく1週間で亡くなってしまいました…
お恥ずかしい話なのですがそれまでFIPという病気があるのを知りませんでした。
今更かもしれませんが今後に生かすため、きちんと知らなくてはと思ったのです。
続きが待ち遠しいです。
2010/2/1(月) 午後 2:20
>もも母さん
FIPは進行性の病気なので、獣医としてもつらい病気です。
全身性に感染してしまっているので、根治しようがないのが現状です。若い純血種ネコに多いのも、免疫力が若齢では不完全な状態だからなのかもしれませんね。何回か書く予定なので、よろしくお願いします。
2010/2/2(火) 午前 0:50 [ MATUBARA Animal Hospital ]