松原動物病院 獣医奮戦記

大阪府松原市の松原動物病院から発信中!!獣医の視点と奮闘を記します!!

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FIP 猫伝染性腹膜炎3

前回のトピックの続きです。


最近はPCRという遺伝子を増幅してウイルスの存在を証明する検査が注目されていますが

末梢血液中にPCRにて陽性反応=FIPという簡単な公式は成り立たないようです。

非病原性の猫コロナウイルスとFIPウイルスを鑑別するような単一の突然変異が見当たらないからです。



PCR検査は当初、FIPの診断に感度、特異性ともに高いと言われていましたが、

同様の検査をしたトルコにおける報告では健康な猫25頭中14頭陽性結果が出たと報告しており↓

The detection of feline coronavirus in blood samples from cats by mRNA RT-PCR.
Can-Sahna K, et.al. J feline Med Sug 2007;9;369-372

PCRが特異度の高い検査であるとは言い切れないようです。



FIPという病気は生きている間に確定診断を下すのが難しい病気であり、

発病時の症状も「食欲がない、元気がない、熱がある」など、どんな病気でもありうるような症状であり

FIPに特有の血液や生化学的検査結果に乏しいため、



(※炎症の反応を示唆するような高グロブリン血症や眼底血管の異常所見などあるのですが、
これだけで確定診断とはなりえない。「FIPの可能性が高い」とまでは言えるが・・・)

(※腹水が出ているもので、マクロファージ内のFIP抗原陽性ならFIPといえるが、
陰性でもFIPを否定できない)



結局は、FIPを支持する臨床症状と他の可能性の除外。できれば組織採取による特徴を考慮して

総合診断するしかない病気である。ということになります。



このFIP、野外の猫には稀な病気でありますが(トイレを土の上で行い、自分で埋めてしまうから?)

多等飼育の猫のグループで危険性が最大となるようです。(コロナウイルスへの暴露確率が上昇する)



たとえば、野外の猫で捕獲されたときにコロナウイルス抗体価が陰性のものも

保護シェルターにいると抗体価が上昇することが示されています。(コロナウイルス回避不可能?)

なので、たくさんの猫が雑多に存在し、トイレを共有することが感染の最大の危険なのかもしれません。



野生動物ではチーターがFIPになりやすいそうですが、免疫機能の先天的に弱い固体が罹患しやすいのは

同じようですね。



次は予防や病態を少し書きます。

writen by vet miyake


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