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さて、どんどん書いていきます。
FIPのもとになっているであろう、猫コロナウイルスについてです。
基本的に伝播するのは口鼻感染で起きるようです。
コロナウイルス単独では弱いウイルスであり、室温で24-48時間で不活化します。
通常は糞中に存在し、乾燥状態で7週間ほど生存します。
一般に糞を介して感染するので、トイレが最大の危険となります。
唾液や舐めあい、共通食器、密着接触などを介して感染もありうるようです。
胎盤感染はありうるが、稀なようです。
これらの感染を予防するのは、非常に難しいと言わざるをえません。
FIPを効果的に予防する方法がワクチンで達成できないからです。
FIP用のワクチンは開発が試みられたことはありますが、良い結果が得られていません。
FIPには抗体依存性増強というシステムがあり、これがまたFIPの防御を困難にしています。
通常はウイルスに対する抗体が体内で作られ、マクロファージなどに貪食されて排除するのですが、
FIPは抗体が作られ、マクロファージに飲み込まれると増殖し、病気を早める結果となるからです。
経鼻的に使用されるワクチンがアメリカにあるようですが、効果はマチマチです。
この経鼻ワクチンは、抗体依存性増強は引き起こさないようですが・・・。
ワクチンの効果と安全性が確立出来ないので、使用できません。
感染ネコを検査して、防除する方法も難しい。(コロナウイルス陽性猫を捕獲していたらきりがない)
なので、BESTと思える方法を選ぶべきかと考えられます。以下、文献に即して提案します。
単頭飼育でFIP猫が亡くなった場合
新しい猫を飼うのは3ヶ月は待つべき(ウイルスは7週間存在すると考えるべき)
家を掃除して新しい子を迎えてください。
多頭飼育でない家(5頭未満)でFIPネコが亡くなった場合
同居の猫はコロナウイルス(以下Fcov)には感染している可能性は大である
したがって、同居猫の抗体価は陽性となる可能性が高いと考えられる。
なぜなら、Fcovに暴露されれば95%以上の可能性で感染し、2−3週間で抗体産生するから。
注意:抗体陽性と発病は必ずしも関連していないので、過剰な心配はしないように!
Fcov感染猫は大部分はFIPを発症しない。1−2頭飼いの猫なら、清潔を維持すれば
最終的には感染から離脱できることが多い。6−12ヶ月ごとに抗体価の検査が望ましい。
飼い主は危険性を最大限下げるには、全ての猫が抗体陰性になるまで新しい猫の導入を待つべき。
ただし、何年も抗体価陽性の猫もいる・・・。(しょうがない)
高い抗体価=予後不良ではないが、50頭の抗体価高値の猫を追跡し、4頭がFIPを発症した報告あり
それに対して抗体価が陰性のものは、FIPをおこさなかった。
多頭飼育(5頭以上)
1頭に発症すれば、他の猫も同じFcovに暴露していると考えるべき。
FIP猫と接触した猫には、FIPを防止する方法はほとんどない。発症率は5-10%である。
特に注意が必要なのは、同腹の血縁ネコ(遺伝的に発症しやすいと考えるのが妥当であろう)。
家からFcovを排除しうる方法を考えるべき。清潔に保つのは有効であり、掃除をまめにする。
抗体価陽性のネコの1/3はFcov排泄するので隔離する。抗体陽性は感染源と考えるべきである。
ストレスも発症要因となるので、模様替えをしないようにする。
避妊手術もストレスとなるが、しないと子供が増えるので、よく考えて実施するべきと考える。
子猫
Fcov排泄中の母ネコから生まれた子猫は、移行抗体に守られ5-6週間は感染しない。
母ネコを出産前から隔離し、生まれた猫を生後4−6週間で早期離乳かつ他のネコと隔離すれば大丈夫
だが、このような単純な方法は明快だが難しい。
絶対にウイルスが進入しない隔離室が必要であり、猫が5頭未満であることが必須。
適切な条件が完璧に維持されないと必ず失敗する。さらに早期離乳しても必ず成功するとも限らない。
Fcovのいない家庭では、日常的に実践する必要性は認められない。
うまくいけば、12週でもFcov抗体陰性を保つだろう。
だが、遅かれ早かれFcovに暴露されるのは不可避と思われる。
この方法の目的は、感染阻止ではなく、感染の遅延にほかならないことは注意が必要である。
動物保護センター
FIPを予防するには、全てを別々のゲージで(隔離病棟なみに)飼い、かつ無菌的操作が必要。
つまり、ほとんど不可能であるということである。
隔離しても、通常は衣服・靴・埃・ネコにより伝播は容易に達成されてしまう。
掃除の徹底と、ストレスをかけない生活を心がけるようにして、
引き取ってくれる飼い主に対し、FIPの可能性を伝えておくべきである。
人への伝播は今のところ認められてはいない。
しかし、このコロナウイルスはSARSとして世界を震撼させたウイルスであることは覚えておいてほしい!
次が最後。病態と、緩和治療について。
集中講義となり、難しいお話なので興味がある人はがんばって読んでください!!
興味がない人は、読まないか・・・。
written by vet TM
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昨日FIPで1歳の子を亡くしました。
こんな恐ろしい病気とは…自分の無知が腹だたしいです。
同居の先住猫にもFCoVに感染しているのでしょうね。
明日抗体検査に行ってきます。
キャッテリーで防げれば…と思いつつ、それも難しいのは分かるけど、今は悔しくてたまらない。
早くワクチンや治療方法が確立されてほしいですね。
気がついたときにはもう遅く、あっという間に逝ってしまいました。
もうこんな思いをする方がいなくなるように祈ってやみません。
2014/12/19(金) 午後 5:55 [ flh**08kh ]
ショップ購入した子猫が水様便が続き、ショップは寒暖の差やストレスを理由にしていましたが、医師のすすめでPCR検査をしたところ、コロナと駆除困難な原虫が理由と判明。<<ペット業界ではコロナは持っていて当たり前だそうです。>>どこでも同じです。「水様便はコロナでなく原虫が原因であり、保証対象になり得ない」と言われました。「保有していても発症率は数パーセント(嘘)であり、問題ないに等しい」と言われました。コロナは野良猫に少なく、ショップに多いそうです。今はPCRがあるので、明確に判明できるようになったことは、ショップやブリーダーが嫌がることでしょう。現状、ショップからの購入は危険です!
2018/2/3(土) 午後 9:03 [ - ]