松原動物病院 獣医奮戦記

大阪府松原市の松原動物病院から発信中!!獣医の視点と奮闘を記します!!

フィラリア

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フィラリアとの戦い5

つづきのお話です。

owner「もしもし、うちの柴が寝込んでるんです。食欲もないし、どうすればいいですか?」

vet 「できるだけ早く往診に行くので、毛布や湯たんぽで暖めてあげてください。」

なんとかお昼の時間帯に様子を伺いに往診に出かけると
犬小屋の中で毛布にくるまれている柴がいました。

問診をとりながら、触診を行うと明らかに冷たい・・・。
(だめだ、ここでは処置ができない。このままでは死ぬ)
と判断し、飼い主に病院に連れて帰って処置を行ってみることにしました。


「このままでは死ぬが、処置しても体力が持たないかもしれない。」


飼い主にはそう伝えるしかありませんでした。

病院に帰って、状態のデータ整理を開始します。
意識は沈うつ。腹水は貯留している、胸水は少しあるか?体温は34℃か冷たいな・・・。
脱水は7%くらいか、貧血はやや軽度にある。削痩が進行しているな・・。
フィラリア症で右心不全が進行して、体力が無くなった可能性が高そうだ!!

と、データを見れば分かるのですが、獣医の苦悩の開始でもあります。


治療すべきか、安楽死のお話をするべきか。


獣医師としては安楽死はしたくありません。
自分たちがあきらめれば、そこで可能性が無くなってしまうからです。


このまま治療しても状態が良くなるのはかなりの困難を伴う。
体温をゆっくり復温させねば近い将来に死がやってくるのだろう。
意識レベルが低下してきており、昏睡に近い状態で維持しなければならない。
胸水の影響で、呼吸回数が増加傾向にある。
回復させるには費用が莫大にかかる。


この状態では安楽死という選択肢もお話する必要がある!!


と、自分は考えました。
もちろん飼い主が「諦めない」を選択すれば全力で応えるつもりです。
だが、お金は無限にあるわけではなく、ペット保険にも加入していません。
どこまでできるのか、どこまでやるのかはとても重要で厳しい決断を迫ることになります。


安楽死・・・。
獣医としても苦しいお話であり、場の雰囲気を考えながらお話しする必要があります。
いつも安楽死の話をするわけにもいかないし、タイミングを逃すと動物が苦しむことになります。
自分としては安楽死の場合、飼い主との信頼関係は非常に大事であると思っています。

「色々な可能性を模索した上で、考えた末に安楽死を選択した」

という形であってほしいと願います。
獣医も人間なので、軽い気持ちで安楽死を実施しているわけではないのです。
ただ、安易な判断で安楽死を選んでほしくないが、その選択肢を説明する義務が獣医にあると思います。

(注意)これは一人の獣医師としての自分の意見です。色々な考え方があり、正解はないでしょう。


翌日になっても状態改善がないため、飼い主と討論の末、安楽死ということになりました。



「先生が安楽死という選択を示してくれたので、苦しまずに安らかでした。ありがとう。」


自分としても救われる思いがしました。苦しい思いをさせないという決断。厳しいです。
重症患者はいつも命のギリギリの所で決断を要求します。
獣医も、なにが正解なのか悩んで治療しています。少しでも良い選択肢があればと考えながえら・・。



追記:ow「犬は好きだから新しい犬を飼うかもしれません。その時は先生が診てくださいね」
   vet「とりあえず、フィラリア予防と手を咬まない犬にしてくださいね」
   ow 「フィラリアにはもう感染させたくないですね」
・・・。みんな一度、つらい思いをしないと病気を軽視しがちです。本当にフィラリア危険です。

fin.

△守秘義務のため一部フィクションで書かれています△
BY TMvet

フィラリアとの戦い4

つづき

さて、原因ははっきりしました。
状態がわるいのはフィラリアが原因と考えて間違いないでしょう!!

しかし、治すにも難しい状態であるのは間違いない段階です。

咳はともかくとして、腹水がたまるという状態は良い兆候とは言えないからです。

腹水がたまってくるのは、心臓のポンプ機能の低下が根本原因ですが、
フィラリアを退治したらそれが直るものか?と考えると、可能性は低いといえます。

心臓外科が可能な施設で、莫大な金額を出せる飼い主であれば
心臓機能の改善のため手術もありえるかもしれませんが、一般には厳しい状態であると考えるべきです。
どの病気にも言えることですが



再生能力がほとんどない臓器の機能障害は致命的である!!



と、いえると思います。治すには移植ぐらいしか手がないと思います。

腹水がたまるという現在の状態には利尿剤と血圧降下薬を併用して
なんとか腹水の漏出を抑えるしかありません。

これらは、原因の心臓を治しているわけではないので、一時しのぎの治療法ですが、
それ以外になかなか良い手がないのも現状です。

この飼い主さんには状態を説明して、お薬を投与してもらいました。
食欲が落ちたり、下痢になったりしましたが、なんとか前より調子が良くなり

「まえより動きが良くなって、手を咬まれましたわ。わはは」

と、飼い主も満足してくれましたが、ゆっくりと確実に心臓の限界は近づいてきてました。
そして、季節の変わり目に電話がなりました・・・。

つづく

△症例の内容は一部フィクションです△

by TMvet

フィラリアとの戦い3

前回からのつづき

フィラリア検査をしたのにフィラリアを疑う症状・・。

「うちの病院ではフィラリア検査していませんし、食欲不振の原因解明のためにも血液検査しましょう」

<そうかい、じゃあお願いします>


と、血液検査開始・・・。とにかくフィラリアのチェックをする。
検査には二種類あり、ミクロフィラリアチェックとフィラリア抗原検査があります。



解説
☆ミクロフィラリア検査☆
 フィラリアチェックの簡単な方法で、血液一滴の中にミクロフィラリア(フィラリアの子虫)
 がいないかどうかを顕微鏡で判定する方法。

☆抗原検査☆
 専用の検査キッドが必要でフィラリア親虫からでる物質を検出する親虫検出方法

解説終わり


確かに、ミクロフィラリアはいないなぁ・・。抗原検出キッドはどうだろうか?
待つこと8分。
フィラリア陽性で検出!!やはりフィラリアだ!!


おそらく、フィラリアの簡易検査でミクロフィラリアのみをチェックされたのだろう。
そこで、ミクロフィラリアが検出されなかったのでフィラリア陰性と判断されたのだろう。


今回のように、時々、ミクロフィラリアは検出されなくても親虫が寄生していることがあり、
診断のミスにつながる事があるので、十分な注意が必要となります。


獣医がフィラリアの感染の有無を調べて薬を出すのは
フィラリアの感染がある状態でフィラリアの薬を使うと具合が悪くなることがあるからです。


時々、やらないという飼い主さんもいますが、
何かあっても自己責任となりますのでよく考えてくださいね。(お薦めできません・・。)


フィラリア感染撲滅のためにも検査に協力してください。
(フィラリア感染犬の減少は、フィラリア子虫含有の蚊の減少にもなります!!)


つづく・・。

△症例の内容は一部フィクションを含んだものにしてあります△

by TMvet

フィラリアとの戦い2

いつものように診察をしているある日、
やや大きめの柴犬がやってきました。田舎から数年前にもらってきたそうです。

「違う病院の先生とは気が合わなくてね、こちらに来ました。ははは」

とオーナー笑ってますが、相性が合う合わないは難しい問題です。。。
今回の問題はその柴犬なんですが、


「最近食欲が落ちてきた、咳をよくする、お腹がでてきた」と感じられている様子です。


(うむ、これはフィラリアの可能性が極めて高い!!!
 症状が典型的に一致しているな)
と、フィラリア地区に住む獣医ならすぐに浮かびます。


☆解説☆
フィラリアに感染すると咳が出る。
 フィラリア虫体にイヌの体が反応して血管が反応性変化してしまいます。
 ここで運動すると、肺に傷害が発生し肺炎状態に近くなり咳がでてくるのでしょう。


フィラリアに感染するとお腹が大きくなる
 フィラリアは心臓の中でも肺動脈という部位に寄生しています。
 ここで虫がいると、血管が虫に反応して狭窄してしまい、心臓の機能が低下します。
 そうすると、血液が上手く回らなくなり、
 
 「腹水」

 という形でお腹が出てくる状態になってしまうのです。
 
☆解説終わり☆

「うーん、フィラリアが怪しいですね」
とお話を進めると、
「フィラリアは検査していないって言われたから、薬は飲んでるよ」
とのお答え。

(あれ??フィラリアの薬を飲んでいる・・・????)

フィラリア薬飲んでいる?検査している?なぜ症状がでる?
つづく。


△症例の内容は守秘義務のためフィクションを含んだ形で製作しています△
by TMvet

フィラリアとの戦い

犬を飼っていて、病院に行かれたことがあるならば
一度はこの名前を聞いたことがあると思います。

「フィラリア」

いったい何なんでしょうか、このフィラリアというものは。
一般的には「蚊を媒介して広がる心臓寄生虫」です。

誤解を恐れず言うならば「心臓に冷麦の麺が詰まってしまい苦しい病気」です。
フィラリアは糸状虫とも言われ、素麺や冷麦の麺にそっくりなんです。
なので、フィラリア症=犬糸状虫症なのです。



この病気、最近は都市部では珍しい病気のようです。
近くにフィラリアに感染した犬がいなければ広がらない病気なので
都市部では滅多にお目にかからないそうです。



でも・・・・、
松原にはやってきます。
次々にフィラリア症がやってきます!!!



感染している犬も感染源の蚊(池)も多い町。
松原に住む以上はフィラリア予防をしないのは命がけです。
しない人は、、、とても残念です。
ワクチンより重要であると言っても過言ではないでしょう。

かかってしまったらどうなるのか?
次はその話をしようかと思います。

by TM vet

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