松原動物病院 獣医奮戦記

大阪府松原市の松原動物病院から発信中!!獣医の視点と奮闘を記します!!

猫に多い病気

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闘病の結果・・・2

後日、CT検査と病理検査のための生検を実施しました。

結果は口腔内には見た目以上の病変が広がっており、CTで確認すると切除は不可能・・。

病理検査でも「扁平上皮癌」という診断で帰ってきました。

獣医としては、非常につらい診断結果です。

根本的に治す方法がない。治らないと飼い主に伝えるのがつらい。

基本的に手術できるものは切除してしまいたいのですが、

扁平上皮癌では切除してもすぐに再発してしまう可能性が高い上に、侵襲が大きい。

放射線療法もあるが、費用に対して延命効果が低く推奨しかねる。

化学療法はある程度効果があるかもしれないが、この病気自体が局所侵襲性が高い病気のため

全身投与による化学療法は効果がうすいと予想される。

結論としては、緩和療法として痛みをとりつつできるだけ家族で過ごす事を推奨することにしました。

ここで問題になるのが

猫は薬をのませにくい

という事実です。食欲が無くなった猫の場合、さらに困難であり、たいていの飼い主が諦めます。

諦めちゃ、ダメなんです。でも、ほんとうに猫って薬飲めない子が多いんです・・。



疼痛緩和のために、ビスフォスフォネートと呼ばれる薬(ゾレドロン酸)は注射で投与できるので

なんとかなる。(チャメちゃんは怒る子なので、かなり手を焼きましたが)

問題は食事と投薬をどうするか。抗炎症剤の痛み止めも飲まないとQOLが低下してしまいます。

ここで、私がいつも推奨するのが食道瘻チューブです。

投薬から食事の補助まで多方面に使えて、在宅看護ができる素晴らしいアイテムです。

しかし、たいていの飼い主さんは「そこまでしなくても・・・」と拒否される事が多いのです。

どうしても、チューブを付けるというのは抵抗感があるヒトが多いのですが、

チューブをしていてもご飯も自由に食べる事ができますし、栄養補給だと思って利用してほしいです。

麻酔をかけないと設置できないというリスクがあるのですが、それを上回るメリットだと思ってます。

腎不全の猫にも絶大な効果を発揮するのですが、みんな嫌がります。うーん、いい方法だと思うのだが。



今回も説明をして、「食道チューブをした方が良い時間が過ごせるよ」と説明させてもらったところ

「お願いします!!」

と、予想外(いい意味で)の返事がありました。飼い主さんがチューブに理解のある方だったので

これを付けるか付けないかで寿命が大きく変わります。

ただし、それなりに消毒や手入れは最低限必要なので、世話ができないヒトには向きません。

チャメちゃんも、チューブを設置して扁平上皮癌との闘病がはじまりました・・・。

written by vet TM

イメージ 1
意外に、猫も気にしないので、通常はカラーなどなくても問題なく過ごせるのですよ!!
とても、在宅看護に便利な方法だと思います。

闘病の結果・・・ 1

今回は飼主さんとの闘病を書きます。
 
最近は個人情報保護の方向から、なかなか症例を使えません。
 
一緒にがんばった症例を今回紹介します。飼主さんが伝えて欲しいことがあるとのことで許可を得ました。
 
今回の病気は猫(チャメちゃん)、口腔内扁平上皮癌という病気です。
 
 
 
猫の口腔内扁平上皮癌
 
平均10.5歳の猫に発生する癌であり、猫に発生した場合
 
犬に比べて攻撃的(進行が強い、局所の破壊性が強い)であり、歯槽骨への侵入が多い。
 
部位にもよるが、外科や放射線療法への反応は悪く、治療をうけての一年生存率は10%以下
 
局所浸潤による食欲不振が問題になりやすく、全身投与の抗癌剤は重要性が低いといわれる。
 
可能性としてカルボプラチン、ドキソルビシン、ミトキサントロンなど。
 
獣医としても治療困難であり、非常に厳しい病気です。
 
 
はじめの主訴は
 
「涙が止まらない」
 
というものでした。猫で涙が多い場合は、猫風邪といわれるヘルペスウイルス感染が多いのですが
チャメちゃんは口腔内のチェックをしてみると、歯肉が腫れていることが目につきました。
 
(通常の腫れではないな・・。涙を気にされているが、問題はここの腫瘍化が原因か!?)
 
獣医としては、見て腫瘍の存在を疑っただけでは治療法は決定できません。
 
「精密検査をしたほうが良いでしょう。CT検査と、一部できものを切除して病理検査を同時にするのが望ましい」
 
と、お伝えして麻酔下での精密検査を実施することにしました。
 
続く・・。
written by vet Miyake
 
 
どうして獣医が生検(組織を一部とって細胞形態の検査:バイオプシー)を重要視するのか?
 
腫瘍の場合は、病理検査による診断が非常に重要だからです。
 
腫瘍の種類によって治療法も切除するべきか、切除できないのか、抗癌剤が良いのか、全く違ってしまいます。
 
1にバイオプシー、2にバイオプシー、3,4がなくて5にバイオプシー
 
と言うぐらい重要です。
 
 
 
なかなかパッと見では分からないものですが口の中は腫れてます。
 
イメージ 1
 

FIPにはWET型とDRY型が存在するといいますが、どちらも同じ原因から発生しています。

FIPはFcovから変異を起こすと、14日以内にマクロファージから全身に広がります。

血圧が高く、乱流が起こりやすい所、血管分布が多いところで炎症、癒着が発生します。


腎臓、腹膜、眼のブドウ膜などを中心に多臓器が障害
  ↓
炎症と免疫反応が発生
  ↓
補体や起炎物質が大量に発生→→→→→→→→→→↓
  ↓                               ↓
補体により血管透過性を亢進              起炎物質が組織を損傷させる
  ↓                               ↓
血漿中のタンパク質が漏出               タンパク質分解酵素が活性化する
  ↓                               ↓
タンパク質を豊富に含む漏出液が形成          免疫介在性血管炎は凝固系を活性化
                                  ↓
                            血管内播種凝固(DIC)を引き起こす


といった形で、滲出液大量のWET型と炎症主体のDRY型が生じます。混合型が一番多いようですが。

症状は非特異的で、慢性の体重減少、抗生剤に反応しない発熱、再発性の発熱などです。

病気の正体は全身性の化膿性肉芽腫性血管炎で、脳、眼、腎臓、肝臓、腸、血管、どこでも発生します。



FIPに対する治療法はありません。(夢も希望もない話ですが)

緩和してあげる方法はありますが、ほとんどが失敗して死亡に至ります。

症状が深刻で、体重の低下が認められるものは心の準備が必要になると思います。


緩和療法ではプレドニゾロンやシクロフォスファミドのような

免疫抑制剤の使用が最も成功率が高いといえます。

が、免疫抑制剤は進行を抑えることはできないでしょう。

調子が良い限り、抗生剤や補液療法などの支持療法は行うべきでしょう。


トロンボキサン合成酵素阻害薬(塩酸オザクレル)は血小板の凝集を抑制する薬ですが

少数のFIP猫に対して使用して、症状が改善したという報告があるようです。


インターフェロンは猫インターフェロンωが使用されることが多いが、データが少ない。

FIPが疑われた浸出液を伴う猫12頭に投与して、4頭は2年生存した報告あり。

(この4頭もFIPは確定していないが、滲出液を伴う疾患で2年生存するのは通常考えられないので

 興味深い内容であるといえる)

詳しい研究が必要であると結論付けられています。



データとして言えるのはこの程度です。民間療法は効くかどうか分かりません。

この病気は、予防も難しく、治療法も存在しない難病です。

いつか、FIPが完治できるようなることを皆で願いましょう。それしか手がありません・・・。

以上、FIPについての解説を終了します!


<注意>今回の治療法は、あくまで私が調べた範囲の治療法であり、それがすべてではありません。
治療法に対する質問や疑問は、あなたの主治医としっかり話し合ってください!!なので、治療法についての細かい相談などはご遠慮ください。このブログはあくまでも1つの意見に過ぎません。

written by vet MIYAKE

さて、どんどん書いていきます。


FIPのもとになっているであろう、猫コロナウイルスについてです。

基本的に伝播するのは口鼻感染で起きるようです。

コロナウイルス単独では弱いウイルスであり、室温で24-48時間で不活化します。

通常は糞中に存在し、乾燥状態で7週間ほど生存します。

一般に糞を介して感染するので、トイレが最大の危険となります。

唾液や舐めあい、共通食器、密着接触などを介して感染もありうるようです。

胎盤感染はありうるが、稀なようです。



これらの感染を予防するのは、非常に難しいと言わざるをえません。

FIPを効果的に予防する方法がワクチンで達成できないからです。

FIP用のワクチンは開発が試みられたことはありますが、良い結果が得られていません。

FIPには抗体依存性増強というシステムがあり、これがまたFIPの防御を困難にしています。



通常はウイルスに対する抗体が体内で作られ、マクロファージなどに貪食されて排除するのですが、

FIPは抗体が作られ、マクロファージに飲み込まれると増殖し、病気を早める結果となるからです。

経鼻的に使用されるワクチンがアメリカにあるようですが、効果はマチマチです。

この経鼻ワクチンは、抗体依存性増強は引き起こさないようですが・・・。

ワクチンの効果と安全性が確立出来ないので、使用できません。

感染ネコを検査して、防除する方法も難しい。(コロナウイルス陽性猫を捕獲していたらきりがない)

なので、BESTと思える方法を選ぶべきかと考えられます。以下、文献に即して提案します。



単頭飼育でFIP猫が亡くなった場合
   新しい猫を飼うのは3ヶ月は待つべき(ウイルスは7週間存在すると考えるべき)
   家を掃除して新しい子を迎えてください。
 
多頭飼育でない家(5頭未満)でFIPネコが亡くなった場合
   同居の猫はコロナウイルス(以下Fcov)には感染している可能性は大である
   したがって、同居猫の抗体価は陽性となる可能性が高いと考えられる。
   なぜなら、Fcovに暴露されれば95%以上の可能性で感染し、2−3週間で抗体産生するから。
   注意:抗体陽性と発病は必ずしも関連していないので、過剰な心配はしないように!

   Fcov感染猫は大部分はFIPを発症しない。1−2頭飼いの猫なら、清潔を維持すれば
   最終的には感染から離脱できることが多い。6−12ヶ月ごとに抗体価の検査が望ましい。

   飼い主は危険性を最大限下げるには、全ての猫が抗体陰性になるまで新しい猫の導入を待つべき。
   ただし、何年も抗体価陽性の猫もいる・・・。(しょうがない)
   高い抗体価=予後不良ではないが、50頭の抗体価高値の猫を追跡し、4頭がFIPを発症した報告あり
   それに対して抗体価が陰性のものは、FIPをおこさなかった。


多頭飼育(5頭以上)
   1頭に発症すれば、他の猫も同じFcovに暴露していると考えるべき。
   FIP猫と接触した猫には、FIPを防止する方法はほとんどない。発症率は5-10%である。
   特に注意が必要なのは、同腹の血縁ネコ(遺伝的に発症しやすいと考えるのが妥当であろう)。
   家からFcovを排除しうる方法を考えるべき。清潔に保つのは有効であり、掃除をまめにする。

   抗体価陽性のネコの1/3はFcov排泄するので隔離する。抗体陽性は感染源と考えるべきである。
   ストレスも発症要因となるので、模様替えをしないようにする。
   避妊手術もストレスとなるが、しないと子供が増えるので、よく考えて実施するべきと考える。


子猫
 Fcov排泄中の母ネコから生まれた子猫は、移行抗体に守られ5-6週間は感染しない。
 母ネコを出産前から隔離し、生まれた猫を生後4−6週間で早期離乳かつ他のネコと隔離すれば大丈夫
 だが、このような単純な方法は明快だが難しい。
 絶対にウイルスが進入しない隔離室が必要であり、猫が5頭未満であることが必須。
 適切な条件が完璧に維持されないと必ず失敗する。さらに早期離乳しても必ず成功するとも限らない。

 Fcovのいない家庭では、日常的に実践する必要性は認められない。
 うまくいけば、12週でもFcov抗体陰性を保つだろう。
 だが、遅かれ早かれFcovに暴露されるのは不可避と思われる。
 この方法の目的は、感染阻止ではなく、感染の遅延にほかならないことは注意が必要である。


動物保護センター
  FIPを予防するには、全てを別々のゲージで(隔離病棟なみに)飼い、かつ無菌的操作が必要。
  つまり、ほとんど不可能であるということである。
  隔離しても、通常は衣服・靴・埃・ネコにより伝播は容易に達成されてしまう。
  掃除の徹底と、ストレスをかけない生活を心がけるようにして、
  引き取ってくれる飼い主に対し、FIPの可能性を伝えておくべきである。


人への伝播は今のところ認められてはいない。
しかし、このコロナウイルスはSARSとして世界を震撼させたウイルスであることは覚えておいてほしい!


次が最後。病態と、緩和治療について。

集中講義となり、難しいお話なので興味がある人はがんばって読んでください!!

興味がない人は、読まないか・・・。

written by vet TM

FIP 猫伝染性腹膜炎3

前回のトピックの続きです。


最近はPCRという遺伝子を増幅してウイルスの存在を証明する検査が注目されていますが

末梢血液中にPCRにて陽性反応=FIPという簡単な公式は成り立たないようです。

非病原性の猫コロナウイルスとFIPウイルスを鑑別するような単一の突然変異が見当たらないからです。



PCR検査は当初、FIPの診断に感度、特異性ともに高いと言われていましたが、

同様の検査をしたトルコにおける報告では健康な猫25頭中14頭陽性結果が出たと報告しており↓

The detection of feline coronavirus in blood samples from cats by mRNA RT-PCR.
Can-Sahna K, et.al. J feline Med Sug 2007;9;369-372

PCRが特異度の高い検査であるとは言い切れないようです。



FIPという病気は生きている間に確定診断を下すのが難しい病気であり、

発病時の症状も「食欲がない、元気がない、熱がある」など、どんな病気でもありうるような症状であり

FIPに特有の血液や生化学的検査結果に乏しいため、



(※炎症の反応を示唆するような高グロブリン血症や眼底血管の異常所見などあるのですが、
これだけで確定診断とはなりえない。「FIPの可能性が高い」とまでは言えるが・・・)

(※腹水が出ているもので、マクロファージ内のFIP抗原陽性ならFIPといえるが、
陰性でもFIPを否定できない)



結局は、FIPを支持する臨床症状と他の可能性の除外。できれば組織採取による特徴を考慮して

総合診断するしかない病気である。ということになります。



このFIP、野外の猫には稀な病気でありますが(トイレを土の上で行い、自分で埋めてしまうから?)

多等飼育の猫のグループで危険性が最大となるようです。(コロナウイルスへの暴露確率が上昇する)



たとえば、野外の猫で捕獲されたときにコロナウイルス抗体価が陰性のものも

保護シェルターにいると抗体価が上昇することが示されています。(コロナウイルス回避不可能?)

なので、たくさんの猫が雑多に存在し、トイレを共有することが感染の最大の危険なのかもしれません。



野生動物ではチーターがFIPになりやすいそうですが、免疫機能の先天的に弱い固体が罹患しやすいのは

同じようですね。



次は予防や病態を少し書きます。

writen by vet miyake

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