|
2006年7月 6日 武蔵野大学能楽資料センター公開講座
(能楽師に聞くー年来稽古条々)
亀井広忠氏を迎えて(聞き手 リチャード・エマート)
特にこれといってテーマがあるわけではなく、広忠さんを手掛かりに大鼓への興味・理解を深めようというお話。聞き手がリチャード・エマート氏という聞き慣れないお名前でもちろん日本人で無い方だったので、どういうことになるのか何となく落ち着かない気持ちでお聞きする。
聞き手のエマート氏は武蔵野大学の教授であり長年能楽研究に携わってきた一方で、ワキ方と狂言方以外はすべてお稽古に通われたという強者、やや早口ながらも目を輝かせながら広忠さんのお話を聞く様子はお年の割にと言っては失礼だろうか以外に可愛らしい。
話す広忠さんはいつもどおりの爽やかさ。実に健やかにお育ちの気持ちの良い若者、と言うには少しとうがたってしまったでしょうか、いえいえ童顔ゆえまだまだ青年で行けますとも。今日は白のジャケットに黒のTシャツ、シンプルな服装はその話しぶりとも共通するよう。
お話の中では予想どおりというか、某NHKの番組映像が幾度かにわけて登場。まぁ、説明がましく話すより一目瞭然、稽古の実際を見るにはぴったりでしたから文句は全くございません。いろいろなお話があった中で、興味深かったのは大鼓の皮のお話。今は全て輸入の皮を使用するため、日本に着くまでの保存を考えて様々な薬品処理が行われ結果昔使用されていた国産の皮のようには音が出ないこと、「昭和20年30年代の皮は触っただけで音が出るんですよね」と実に羨ましそうに話していたのが印象的でした。皮には今は合成(アルミとプラスチックを合わせた物とのこと)があるというのにもビックリでした。ただ打つととても痛くて使うのは難しいとのことでしたが。
ご兄弟の稽古の様子や三響会のこと、歌舞伎と能、謡いへの想い、能楽現在形のこと実に多様なお話がでましたが全てのお話がすっきりとまとまっていて何と賢い人なんだろうとひたすら感嘆。賢い方のお話を聞くのはそれだけで十分な喜びです。謙虚で誠実な話し方で、理に走る(つい比較してしまう悲しいくせ)こともなく満員の聴衆と共に気持ちの良い90分に感謝でした。
|