沈黙のクレオパトラ

忌野清志郎に三沢光晴・・・二人が今生きていたら、どんな行動をしただろう?

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現在、高校3年の長男の通う私立の男子校は、
私の母校でもある。
私が卒業したのは遠い昔
昭和57年3月だから、もう27年前だ。

女子中高生向けティーン雑誌に、
「イケメン揃いの○○高校」という誤報が載ったものだから、
学園祭は、出会い目当ての女子中高生で溢れかえっているが、
何のことはない、ごく普通の男子校である。
但し、私立の中での学費の安さは特筆すべきであり、
都内男子校の中では最安値を記録更新中である。
従って校舎は古く、私が学んだ時とまったく変わっていない。
ぼろい校舎に傷んだロッカー。
砂埃舞う校庭。エレベーターなんかあるわけない!
こんなところには、金持ちのぼんぼんも居ない。
昔も今も、どこにでもいる普通の野郎どもばかりである。

さて、私の高校時代であるが、
ビートルズが好きで、髪は校則違反のマッシュルームの長髪だった。
白のワイシャツなんて着たことがない。いつも柄シャツだった。
学ランのカラーはいつも外していた。
(ここは今や都内でも珍しくなった、学ラン詰め襟の硬派なのである)
不良でもないのに不良を気取り、学生鞄はぺっちゃんこだった。
まわりに女の子なんか一人もいないのに、コロンを着けて登校していた。
でも、自分なりに勉強は一生懸命やった。

その時の担任のM先生が
今なお、母校で教鞭を取っていらっしゃる。
私の在学当時から、ずっと野球部の監督をしていて、
未だに見果てぬ甲子園への夢を追っていらっしゃる。

長男は今年で六年間その学校に通っているが、
私はなんだかんだで恩師にご挨拶が出来ぬまま
今日まで来てしまった。

本日、長男の三者面談の話が来た時、
これがご挨拶のラスト・チャンスだと思った。
長男が来春に卒業してしまったら、
挨拶のチャンスはほぼ永遠になくなってしまう。
恩師に対してそんな不義理をしたら、
私はご先祖様に大目玉を食らうであろう。

面談のスケジュールを立てる時、
私は長男の担任の先生にこう言った。

いつでもいいです。
何時でもいいです。
すべてお任せします。
平日の昼間でも構いません。
何だったら会社は休みます。
但し、M先生にご挨拶ができる日時にして下さい。
お手数ですが、M先生のご都合を聞いてはいただけないでしょうか。

*

長男の担任の先生のご好意により、
本日、恩師と約30年ぶりに再会した。
担任だった期間は1年間だったが、
私の事を覚えていてくださった。

「学園祭でうちのクラスがやった劇、覚えてるか?」

「ジュリアス・シーザーですか?」

「そうだ。お前、何の役やったっけ?」

「多分・・・見ていただけです・・・」

*

「お前、いくつになったんだ?」

「今度の誕生日で46になります。先生はおいくつになられたのですか?」

「56。お前の担任だった時は、26だよ」

「ええ! 26! ホントですか!」

「何だよ、それ。どういう意味だよ(笑)」

「40くらいかと思っていました。すみません」

*

高校の3年間は、今でもとても良く覚えている。
M先生は世界史担当だった。
世界史の授業をなめていた私であったが、
一番最初の先生の世界史の試験、よく出来たつもりが60点だった。

世界史ってのはえらい厳しい科目だ!
覚えることが多すぎる!
生半可な覚悟ではものにならない!
そのテストで心の底から反省した私は、
それから世界史に猛烈に力を入れ始めた。

大学受験は、圧倒的に世界史より日本史のほうが有利と言われるが、
私は敢えて世界史を選んだ。
その後、世界史には絶対的な自信を持つことにより
大学受験がかなり楽になったことを覚えている。
そう考えると、先生は私の恩人だ。

修学旅行前、M先生は私に言った。

「お前、髪の毛、切って来い。」

「嫌です。長いとは思っていません。特例で認めて下さい。お願いします。」

「そんなことは出来ない。切れ」

私はやむなくマッシュルームを少々短めにカットしていった。

「さっぱりした。そのほうが全然いいぞ」

こう言って、先生はニコっと笑った。

*

久しぶりに職員室に入ったが、悪さをして呼び出されたような気分だった。

先生の前では、私はいつまでも教え子だ。


今度、飲みにでも行くか。

先生はそうおっしゃってくれた。

ちなみにツーショット写真を撮ったのは長男。
「受験まであと3ヶ月、頑張れ!」と
先生は長男にまで喝を入れて下さった。

閉じる コメント(6)

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4〜5年前に珍しく地元で高校の同窓会があったときに、恩師と同じような会話をしました。先生と思っていた以上に年齢が近かったことに気がついて皆で会話がはずみました。その先生も現役です。世界史でなくて英語ですけどね。今は県内の違う高校で頑張っていらっしゃいます。

2009/11/8(日) 午前 6:27 ヒッチさん 返信する

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子供の頃って大人の年齢が全然判らないものですね。
私もまさかそんなに先生と歳が近いとは思ってもいませんでした。
今改めて卒業アルバムを見返すと、なるほど20代だなとは思うのですが・・・

2009/11/8(日) 午前 7:17 mat*noa* 返信する

どちらが先生ですか?
ウソです(笑)
勝手に想像していたクレオパトラさんとあまり変わり無いです。素敵です
恩師、再開できてよかったですね。胸が熱くなります。上の子の担任は私が教わった時は助手で今は教授。文化祭でご挨拶することができました。時間が経つのが早いです。

2009/11/8(日) 午後 6:41 amano 返信する

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りーさん、またまたご冗談を・・・^^
顔にブロックを掛け過ぎることを懸念しましたが、全体から醸し出される年輪が、私と先生では段違いです。今だに私はマッシュルームとは行かないまでも、サラリーマンになりきれないヘアですし・・・
想い起こせば私の人生で、30年ぶりに人に逢ったということは、これまで無かったように思います。気が遠くなるような期間を一気に埋めることが出来るのですから、人間関係とは不思議なものですね。

2009/11/8(日) 午後 10:00 mat*noa* 返信する

いいお話です。お子様の三者面談にあえて懐かしの思い出多き恩師と再会する、素晴らしいですね。私立高校だから、先生は変わらずお勤めなのですね。

2009/11/12(木) 午後 9:02 ontakarin55 返信する

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ジャム兄さん、ありがとうございます。
公立は人事異動がありますから、3年くらいで居なくなりますけど、私立はずっと居ます。校長先生も教頭先生も、私が在学中は平の教員の方たちでした。

2009/11/12(木) 午後 10:20 mat*noa* 返信する

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